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王様でも旅は貧しい5

「えーと、確かこの道を右に曲がったら....!」


セグラルドが先程の店主から教わった道を進むと、見渡す限りの草原が広がっていた。遠くに見える白い小さな点々は、牛だろうか。そう思いながらセグラルドは感嘆のため息をついていた。



「ひっろぉ〜....!こんなのアグタラじゃまず見れない景色だぞ....それに空気も全然違う....!」



先程の店主から聞いたのは、この街とは違うモイズと呼ばれる小さいながらも、この国1番の古都があると、そこから聖獣に詳しい者や資料があるのではないかと教わった。しかしここから見る限りでは街らしき景色は全くない。あるのは緑と少し大きめな一本道だけだ。


「やっぱり言ってた通り、大分距離があるな」


街の外れには馬車を生業としているのであろう人達が、複数人客待ちをしていた。店主もここから徒歩だと数時間は掛かると言われている。だが、所持金があまりないセグラルドは交通費だけでも節約せねばならない。


「貧乏で鍛えられた脚力と体力....ここで発揮するか!」


よし!と気合を入れ、セグラルドは足を前へと動かしていった。幸いまず迷うことのなさそうな一本道だ。地図も要らないだろう。時折休憩を挟みながら歩を進めようとセグラルドは決意を固めた。が、現実はそこまで簡単ではなかった。





「.......あ〜〜〜....まだ見えてこないのかよ....」


あれからどのくらい時間が経ったのだろう。太陽の位置を見る限り恐らく今は正午と思われる。が、肝心の街は一向に姿を現さなかった。セグラルドの両脇はただひたすらに広がる草原のみだ。時折牛や畑などが見えたりするが、人の姿はほぼ見ていない。



ぐぅぅぅぅぅ......



「.........」


腹の虫が大きな音を立て、飯を寄越せと鳴いていた。朝、少ししか食事をしていない上に、これだけの運動量、腹が減るのは必然だった。しかも不思議なことに、何時もなら慣れている空腹も、何故かこの国入った途端、とにかく腹が減るのだ。


緊張のせいか?と思いながら歩を進めるが、やはり腹の虫は収まらない。水で少しでも膨らませたいが、限りがあるのでそうは飲めない。しかも止めとばかりに目の前にはそこそこ勾配のある小高い丘が見えてきた。



「あーーーーー!疲れた....!.......この丘を登ったら....休憩するか.....」


体力的にもそろそろ限界だ。いざというときのために持ってきた干し肉を、少しつまもうとどうにか足を前へと出す。



見る人によっては、恐らくこの丘はそこまで距離や高さはないのであろう。だが体力が限界のセグラルドにとって、ただただ地獄以外の何者でもなかった。


「あと.......ちょっと........!」


荒い息を吐き出しながら、一生懸命足を前に出していく。


「よし........これで.......着いたっ............!」


登り着いたセグラルドを受け入れたのは、突然吹いた風だった。ザアッと大きな音と共に、草原を靡かせている。心地よい風と共に、セグラルドは目を閉じながら大きく深呼吸をした。そして、ゆっくりと目を開けると、そこには待ち望んでいた景色が広がっていたのだ。


「おおっ.......あれがモイズか........!」


視界に写ったのは、一際目に入る白い時計塔のような建物と、その手前にある小さな街。そして何より目立つのは、時計塔の後ろに広がる大きな森であった。どのくらい続いているのか、まるで終わりが見えない森林がどこまでも続いている。そこから流れて来ている川もセグラルドにとっては全てが新鮮に写った。



やっと着いたモイズの景色に、本当は座り込みたいところを、セグラルドは我慢して先に進むことにした。街が見えたということは.....



「早く.....!めし屋に行きたい!!」



もう空腹が我慢ならなかったのである。


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