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王様でも旅は貧しい3

教えて貰った店の前に来ると、長年経営していると思われるような古い店構えだった。絹織物屋らしく色とりどりの柄の絹が、所狭しと並べられており、奥にはかなりの数の布が折り重なっていた。


店主が見当たらないので、奥を見ようと体勢を前屈みになると、突然下から声が聞こえてきたのだ。


「いらっしゃい」

「わっ!!」


驚いて後ずさると、にょきっと店主らしき老人が長い髭を揺らしながら立ち上がった。しかしその姿はセグラルドが想像してたより、かなり背が低く横にずっしりとした男性だったのだ。


「あれ?店主...もしかして異種族ってやつっすか?」

「あ?あんたドワーフ見たことないのか?」


そう、そうだ。ドワーフだ。よく見ると耳も横長だ。


「すんません。俺アグタラから出るの初めてで....」

「ああ.....あそこはヒューマン以外は排他的な国だからな.....ん?でもここに来る奴は少なくとも関わりがあるやつがほとんどだが.... 」

「あー....俺下民なんですよ。だから....」


また蔑まれると思い、自然と口が重くなる。しかしドワーフの店主の反応は思ってたのと違った。


「下民だと?....あそこの悪い所だ。同じ国民なのにここまではっきりと階級を付け差別をする」


はぁ、と大きなため息と共に思ってもみなかった言葉を聞いて、セグラルドは目が点になった。


(....新鮮な反応だなぁ....)


どこか他人事のような感想だったが、セグラルドは少しだけこそばゆい感じがした。


「というかあそこがよくあんたを国境越えさせてくれたな。庶民は通らせてくれんと聞いたことがあるが」

「これには理由があって....実は....」


セグラルドは今までの経緯と、店主に聞きたかったことを尋ねてみた。



「なるほど....だが俺はここに80年以上居るが、魔獣ってのは聞いたことがないぞ」


やはり魔獣のことを聞いても、先程の女性と同じ反応だった。これはもしや魔獣とやらはいないのではないか?とセグラルドが感じ始めた瞬間、店主からあ、と声が漏れたのが聞こえてきた。


「魔獣....じゃねぇが、この国には聖獣様がこの大地を守護しているっている神話ならあるぞ」

「神話?」


セグラルドが聞き返すと、店主はちょっと待ってなと言い、奥へと入っていった。しばらくすると何やら古ぼけた布を一枚持ってきていた。


「ほれ、この布の刺繍を見てみろ。3体の動物が居るだろ」


見せてもらった布をよく見ると、色とりどりの糸で縫われた刺繍で、確かに3体の動物らしき謎の絵があった。1つは空らしき場所に鳥らしき物。もう1つは海に大きな魚?なのような物。そして最後に大地に大きなオオカミのような動物が画かれていた。


「鳥....魚?オオカミ?.....か?でも何だか俺が知ってるような姿じゃないような....」

「聖獣だからな。俺達が知ってる一般的な姿じゃないさ。ちなみに魚じゃなくて鯨な。アグタラには海がねぇから知らねぇのも無理はないな」


鯨....初めて聞く名前だな。


「こいつは昔から受け継がれる絹織りでな。俺のじ爺さんの爺さんの...とにかく昔から伝わってんだ。非売品だから何時もは仕舞ってんだが。久しぶりに外に出したよ」


カラカラと笑う店主に、つられてセグラルドも薄く笑ってしまう。


「これは大地、海、空を統べる聖獣様の姿を模していると伝わる刺繍だ。この御三方がこの地を創造し、今でもこの国にマナと呼ばれる魔力を与えてくださってると言われているのさ」

「....魔力?????」


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