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王様でも旅は貧しい2

複数の商人達と共に、石畳出できた大門をくぐる。見上げる程に大きな門は、異様な威圧感を放っていた。ゆっくりと足を前に出すと、いきなり大きな谷底が現れた。掛けられている橋も大きく距離があるり、向かいにあるはずの土地はまるで見えない。


(こんなとこ落ちたらまず助からないなぁ)


そう心の中で呟き、橋からそーっと下を覗くと真っ暗で底は見えない。風が通っているのか反響する音を聴くと、背筋がゾクッとなった。



勢いよく元の姿勢に戻すと、心なしか早足に橋を渡った。



かれこれ10分間ほど歩いたか、何やら白い建物が小さく見えてきた。ようやく崖も見えて来ている。

やっとかと、少し小走りに国境へと向かう。

見えた建物が大きくなるにつれ、人の気配も段々と多くなって来たように思う。



(これがルクスの国境か)



見上げたそれはアグタラと大差はないが、心なしか綺麗な気がする。許可書を門番に見せ門の中に入ると、沢山の人が小さな街を行き交っていた。


(なんだろう....あっちと違って空気が軽い気がする....)


同じような景色なのに、街を歩く人々を見てもなぜだかキラキラと輝いて見えた。


「いらっしゃーい!採れたての野菜だよー!今日はレタスがお買い得だよー!」

「お兄さん!レモンはいかが?新鮮で上手いよ!」

「ちょっと!そこのお兄ちゃん!」



ふと自分に声が掛けられたような気がした。


「そこのマント羽織ってるお兄ちゃんだよ!新鮮なフルーツを絞ったジュースだよ!お一ついかが?」

「あ、えと。すみません...俺持ち合わせあんまなくて....」

「大丈夫、試飲だよ!サービスさ!」


そういうと小さなカップに入った、オレンジ色の飲み物を手元に渡された。あっちでは基本嫌悪感に満ちた眼差ししか向けられないのに、この女性は満面の笑みでセグラルドに話しかけてくれた。どこかこそばゆいが嬉しかった。差し出されたジュースをおずおずと受け取り、ほんの少し飲んでみた。



「おいしい....」


ジュース自体は初めて飲んだわけではない。でもあの街で見かけることはほとんどないのだ。最後に飲んだのは確か12歳になったとき。いつの間にか住んでいたギールが、何処からか持ってきてくれたのだ。薄くほんのり甘いだけのジュースだったが、なぜだかとても美味しかったのだ。その頃を思い出し少しだけしんみりしてしまった。


「お兄ちゃん?どうしたんだい?」


動きが止まったセグラルドを心配したのか、女性が声を掛けてくれた。


「あ、すみません!その、とても美味しいです。こんな濃いジュース、初めて飲みました」 

「あっはははは!お兄ちゃん旅行は初めてなのかい?そりゃ良かったよ!」


「あ」


旅行と言われ思い出した。そうだ自分の目的は魔獣退治だ。


「聞きたいことがあるんだが、この国に魔獣とやらが居ると聞いたんだが何か知りませんか?」

「魔獣?....いや〜....私ここに来て3年ほどなんだが一度もないよ?ごめんね、私この国の生まれじゃないんだ」

「そうでしたか....ありがとうございます」

「あ!でもここから右に2、3件先の絹織り屋に行ってみなよ。そこのじいさんはルクス産まれの人だから何か知ってるかもよ?この国の伝統の模様も知ってるし」

「そうか!恩にきる!」



少し手がかりの光が見えたような気がして、心なしか足取りが軽くなって、小走りに目的の店へと向かった。

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