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王様でも旅は貧しい

「ここが国境かぁ」


あれから何時間歩いただろう。国の中とはいえアグタラ帝国は広い。雨季が来てないからだろうか、荒野が広がる場所が見えたと思えば、横に広がる大きな壁が見えてきた。


(亡命させないようにここまで大きな壁を造ったんだろうが...)


石畳が何段にもわたり積み重なった壁は、その両端はとても肉眼では捉えられない。すると、今までほとんど人とはすれ違わなかったのに、国境沿いの小さな街が見えてきた途端、まばらだが人の姿が見えてきた。


「あの街の中に検問があるんだな。やっぱ商人が多いけど、どっから来たんだ?」


実はセグラルドが通った道は、所謂獣道というとこで、まず人は出歩かない。商人達は王都から直通の道があるのだが、下民は通ることはできないし、セグラルドも知る由もなかった。


まぁいいかとセグラルドは街へと入っていった。

小さいながらも物流が多いため、人の数はかなり多い。いくつか商店もありセグラルドが見たこともない物がいくつか並んでいた。


セグラルドが検問所へ向かうついでにと、商品に目移りしていると何やらコソコソと話し声がいくらか聞こえてきた。


「ちょっと、あの身なり。あれ下民じゃない?」

「下民はここにすら来れられないのに、何で居るんだよ」

「憲兵に頼んでとっ捕まえてもらうか?」


やはりというべきか、王都に住む商人達からの蔑む目はここに来ても変わらない。



ため息をつきながら、早足に変え検問所へと向かった。


しばらく歩くと大きな木で出来た扉が見えてきた。人通りも先程の街並みとは違い、圧倒的に多い。数名ほどだったが普段中々見ない肌の色をした人が居たので、恐らくルクス国の住民なのだろうか。


「おい、何だ貴様。ここを通れるのは商人、貴族、王族のみだ!下民が居て良い場所じゃない!!」


検問へと行くと案の定、槍を持った憲兵がセグラルドへと切っ先を向けてきた。


(仮にも無抵抗の国民に普通剣先向けるかね....)


内心呆れながらも、懐に入れていた許可書を取り出し憲兵へと渡した。王子から渡された荷物の中に入っていたのである。


「こ、これはエリオン殿下のサインが入った....!

き、貴様何故これを....?!」

「本人から渡された許可書ですよ。で?渡ってもいいんですよね?」

「ぐっ.......ちょっと...待て」


すると、検問所の小屋の中へと書類を持って消えたと思えば、すぐにもう一人と一緒出てきて、二人して何やら慌てた様子で、セグラルドの顔をまじまじと見てきた。


「これは...本物の殿下の印だ。とりあえず、お前何故こんなものを持っているのだ?下民のくせに」

「さっきも言いましたけど、本人から貰ったんですよ!ルクス国に行って欲しいって。でなきゃこんなとこ来ませんって」


さり気なく侮辱してくる憲兵にイライラしながら、何回も同じ説明をする。いい加減に通して欲しいんだが。


「...今上官が王宮へと連絡したら、確かにセグラルド・フィニムに許可書を出したと確認ができた。仕方がない許可する」

「はいはい」


まだ国境だというのに、どっと疲れた。


始まったばかりなのに、早く行って終わらせてさっさと帰りたい気持ちがむくむくと湧いてきていた。

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