女神様
練習
目を覚ますと、そこは何も無い真っ黒な空間だった。
何が起こったのか理解しきれない僕は徐ろに立ち上がろうとしたが身体が上手く動かない。
それもそうで元々車椅子ユーザーだから自分で起き上がれないのだ。そこで初めて気がついた。「え?パソコンの前で仕事してなかったっけ?」
しばらく唖然としていたが、ふと冷静になり、ある仮説が脳裏を過ぎった。「これって死んで今居る場所があの世って事は無いよな……」ラノベを読み漁りまくっていた僕でも、この状況は有り得ないと、この考えを切り捨てようとした次の瞬間。「これは貴方が望んだ展開では無いのですか?」謎の声が何処からともなく聞こえて来た。
驚いて目を見開くと、そこには、およそこの世の言葉では言い表せないほど美しい。しかしどこかこの世ならざる存在感をひしひしと感じた。
「望んだとは?」と恐る恐る口に出した。すると、驚いたように「ずっと言っていたではないですか、転生したいと仕事から開放されたいと」とすぐさま返答して来た。なるほどと確かに口癖のように毎日言ってはいたがまさか叶うとも思っておらず「いや、そうはならんやろ」と思わず言ってしまった。
「それは日本の関西地方に由来する伝統芸ツッコミと言うものですか?」と微笑みながら言ってきた彼女?は正直言ってめっちゃ可愛い。この人の前では、はしかんなんて風上にも置けないなと、めっちゃ失礼な事を考えてしまった事をここで謝罪する。
「まぁ、そんな事より貴方は女神様なんですか?そして僕は念願の異世界転生出来ると、そう言う事なんですね?」ありえないと思いつつ聞かずには居られなかった。
不定期