捜査
長い間更新できていませんでしたすいません。
久々の更新です。
「それでインキュバスが現れたのはおしえてもらったのですが。具体的にどこにいるんですか?」
俺の仕込んだ血液入りの炭酸飲料を飲み、我慢できなくなった明石さんは俺からたんまりと吸いつくし顔色もご機嫌よくなっていらっしゃる。
圧倒的腕力差、筋力差になすすべなく押し倒され血を吸われた。
いやらしい展開などなかった。
ただ単に服に血つかないようにと上着を脱がらせ、押し倒され、問答無用で血を吸われ、吸血行為が終わったら服を着て普通に怪異について話をしている。
やっていることは病院でいうところの血液検査と同じこと。
血を吸って満足した明石さんは超ご機嫌。
契約内容通りということだ。
「インキュバスがどこにいるのかわからないから調査から始めるのよ」
「わからないって、大学内にいるんじゃないんですか? 学生とか教授とか大学職員とかなんじゃ」
「インキュバスが操られてる男子学生と接触したことがあるのは間違いないけど、それがどこにいるのかはわからないわ」
「どこにいるのかもわからない相手を虱潰しに探せと?」
この大学はかなりの学生数がいる。
職員、教員、学生達、そんな中から探すのはほぼ不可能に近い。
「総当たり、虱潰し、そんな感じで探すつもりはないわよ」
「というと? どうやって探すんですか?」
「あなた、本気でその質問してるの? 私が吸血鬼だってことにすれ違っただけで気づいたようなあなたに思いつかないとは思えないけど」
そんな話をした数日後。
俺たち2人は予定を合わせて文系学部の入っている建物にやって来た。
「あとは任せたわね」の一言と共に自動販売機に飲み物を買いに行く彼女。
血液入りコーラとか人骨サイダーは自動販売機には売られていなさそうだ。
その間俺はというと。
ただ眺めている。
ベンチに座り、行き交う学生達の姿をただただ眺めているだけである。
「あなたがそこに座って学生達をただ単に眺めていればいいのよ。それで判別できるでしょ。本気で人間のフリをしている私を見つけたぐらいなんだから」
とのことである。
いや、無茶なことを言われたもんだ。
仕方がないので探すしかない。
見つかるかはわからないけれど。
綺麗な女性の姿でも見ながら心を癒しつつ男を探そう。
「ひやぁ!」
後ろから冷たい飲み物を首筋に当てられた。
「綺麗な女性を探すんじゃなくて男を捜すのよ」
「心を読まないでください。総当たり、虱潰しで調べるつもりは無いと言っていたけど、今やってるこれって総当たりというのでは?」
「何言ってるの? どちらかというとやり方的にはオービスよ」
「大学内の歩行者に速度制限があるなんて知りませんでしたよ」
「それでオービス君、スピード違反者は見つかったのかしら?」
「たった今、違反者かも知れない人を見つけたところです」
「優秀なオービスね」
「そりゃどうも」