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午時葵の吸血鬼  作者: うつのうつ
午時葵の吸血鬼
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その女

 私はいつも窓際の席に座っている。

 いつだって私は窓際から外を眺めている。

 私の席はいつも窓際だ。私はいつも窓際の席を希望する。

 窓から眺める景色が好きだ。

 夏の日差し、秋の落ち葉、冬の雪化粧、同じ窓から外を眺めているだけなのに、全く違う世界を映し出す。

 私はそんな窓際の席が好きなんだ。

 生き物とは何なのだろう。人間とは何なのだろう。

 人に何かを与える存在? 人から何かを奪う存在?

 それとも何画を作り出し生活を豊かにする存在?

 人は人を愛する生き物? それとも人は憎み合う生き物?

 私にはわからない。わからないにも関わらず、私は彼ら人間が羨ましい。

 もちろん人間が怖く恐ろしい生き物であるということも私の経験から知っている。

 人間に酷い目に遭わされたことだって多い。その度に私は逃げ出し、生きながらえてきた。

 逃げるたびに仲間を失った。

 私は嘘をついている。私は嘘をつき、そしてそれを誰も知らないでいる。

 きっと誰もが嘘をついているものだ。

 私は嘘をついている。きっと友人も嘘をつく。誰もが嘘をつき、そして意外に嘘に気づかないのかも知れない。

 世の中とはそういうものなのだと知っている。そして誰もが嘘を知らない。

 誰もが嘘を知らないことさえ知らない。この時代には嘘が多い。誰もが嘘を知らないことさえ誰も知らないのだろう。

 私は今、そんな時代に生きている。


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