終話⑤ 『三橋恭太』
『死』という形で復讐劇に終止符を打った恭太に、後悔の念はなかった。むしろ自身の描いた通りの結末に清々しささえ感じていた。
胡桃を殺したのに罪に問われない。法に囚われることなく、異物を駆除できた。
恭太を取り巻く環境に変化はなかった。家族も、友人も、真相を知らない彼らは恭太を咎めないどころか、むしろ胡桃に襲われたことに同情した。
浮気の傷が癒えることはない。たとえ復讐して相手を苦しめたところで、少し気が楽になることはあっても、決して浮気される前の自分に戻れるわけではない。
それでも恭太は、朝起きて、学校へ行って、ご飯を食べて、家に帰って、風呂に入って、寝る。そんな当たり前の日常を繰り返した。
胡桃のことなど忘れたかのように。
果たして虚勢を張っているだけなのか、真に吹っ切ることができたのか。それは、当事者の恭太にしか分からないことである。
いずれにせよ、二つの害がこの世から滅した。それが恭太の中にある、確かな事実であった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。これにて本作は完結です!
連載を始めて約半年。途中モチベが上がらず更新が滞ったりもしましたが、完走できたのは本作を読んでくださった読者様、感想をくださった読者様のおかげです。ありがとうございましたm(__)m
終わり方に不満、もっとこんな展開が良かったという意見もあると思います。執筆を重ねて、より良い作品作りができるよう精進いたします。
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また、本日から新作の投稿を始めました。「リバース・ダイジェスト」という役者界が舞台の、現代恋愛作品です。お時間があるときにでも読んでいただけると嬉しいです。
拙作、および長々とした後書きを最後まで読んでくださり、ありがとうございました。今後の犬野空の活動に、ご期待ください!