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終話③ 『花咲家』

 恭太が胡桃の死を望んだように、彼女の死を強く悲しむ者がいる。それが、家族であった。


 病院から連絡があると、母は血相を変えたように急いで向かった。弟も合流し、夜には仕事を終えた父も合流する。


「…………」


 言葉が出なかった。代わりに、大粒の涙と言葉にもならない悲情が腹の底から込み上げて、愛する娘を失った。


 明日も明後日も、何年経っても当たり前のようにそこにいると思っていた娘。

 元恋人を襲って、誤って刺されてしまったという最期。


 真面目で良い子だと思っていた娘が妊娠し、昔から付き合いのあった恭太を裏切って浮気していたと知った時は酷く落胆したが、それでも娘である。

 動かぬ娘を見て気持ちが昂る。胡桃が悪いとわかっていても、恭太を恨んでしまう。胡桃を刺した恭太を、胡桃を殺した恭太を。


 


――けれど、胡桃の母、家族が、恭太に檄を飛ばすことはなかった。謝ることもまた、決してないのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「胡桃が悪いとわかっていても、恭太を恨んでしまう」 戦慄する描写ですね。 「正当防衛」の判断は極めて厳しいものです。 「人の死」ですら合法とするのですから当たり前ですね。 すこしでも不十分…
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