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終話① 『矢吹美里亜』

 かつて好きだった元の恋人の死から数日。その浮気相手の訃報が、美里亜の耳に届いた。


「……嘘」


 言葉を失った。身近な同級生が立て続けに死に、それが恭太と揉めあった末での事故死だと言うのだから、美里亜の脳裏には一つの予感(正解)が浮かんでいた。


 恭太は胡桃を意図して刺したのではないか。


 推測でしかない。ただ、近頃の彼は心が正常ではなく、もしそうだとしても納得してしまうほどの気を美里亜は感じていた。

 もしそれが復讐のためで、彼女の死をもってして終止符を打とうとしたのなら、はっきり言って異常だと思った。

 

 元より、美里亜は礼二に浮気をされて、けれど復讐しようとは思わなかった。

 だから恭太の強い復讐心自体に激しく同意していたわけでもなく、それによって人を殺してしまうともなれば、尚更美里亜には理解し難い感情だった。


「……でも」


 彼の復讐を止めることなら美里亜にもできた。実際、何度かヒートアップしていく恭太の復讐に危機感を持ち、止めるように促してみたが、けれど恭太が止まることはなかった。

 あの時もっと強く言っておけば、もっと自分が無理矢理にでも恭太の復讐心を鎮火していれば。こんな結末にはならなかったのではないだろうか。


「もう……無駄ね」


 結果を見て物事を言ったところで、それは綺麗事でしかない。きっと推測は外れている、考えすぎだろうと、美里亜は現実から目を背けるようにその後を過ごすのだった。

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