18話 『前触れ』
胡桃は恭太と美里亜が付き合ってると誤解し、二人の関係を破壊することで復讐を成功させようとしていた。
けれどそれが勘違いだと分かると胡桃は血迷ったように美里亜を襲おうとした……恭太が帰る途中に美里亜から聞いたことをまとめるとこうだ。
前の胡桃からは想像のつかない行為に、恭太は驚くと同時に不安になった。
今後胡桃が何をしてくるか分からない。復讐のためなら手段を選ばず、また誰か無関係な人を巻き込むかもしれない。
かといって恭太に胡桃の行動を抑制する術などなく、ただ身構えることしかできないもどかしさに襲われた。
「ひとまず先生にでも相談してみるか」
大事にすればするほど胡桃は動きずらくなるはず。そう考えた恭太は後日担任の相坂先生に相談することにした。
あわよくば、胡桃の親にでも情報が届けばいいと思って。
× × ×
「なんであいつがくるのよっ! あんなタイミングよく! 意味分かんない!」
胡桃は帰りながらぶつぶつと怒りを口にした。
恭太と親しげにしていた美里亜を痛めつけることで彼に責任を感じさせる。けれどギリギリのところで現れた恭太のせいで、胡桃は逃げざるを得なくなってしまった。
「……次よ、次。ここまできたらもう、手段は選ばない。私にしたこと、絶対に後悔させてやるわ」
作戦が失敗した胡桃は諦める……のではなく、より恭太への復讐を固めるのだった。
お腹を侵す些細な痛みなど、胡桃は一切気づいていなかった。