11話 『礼二の最後』
礼二の浮気はすぐに広まった。
元々噂があったからか、目撃者がちらほらいたからか、礼二が浮気したこと自体に驚くものはそう多くはなかった。
ただ、問題は数だった。
礼二の浮気が広まると、実は自分も付き合ってたとカミングアウトする女子が現れた。礼二は胡桃をはじめ、美里亜やその他にも多くの女子と浮気していたのだ。
以来、礼二は仲間の輪から外されるようになった。
他人の浮気なんて興味ないからと彼と連む男子も数人いたが、やがて痛い女子の視線に耐えられなくなって彼から距離を置くようになった。
胡桃と同じく、礼二も学校での居場所をなくした。
そしてすぐに、唯一の拠り所も失うことになった。
「ねぇ、礼二。美桜から聞いたよ……浮気してたんだってね」
「………ごめん」
「別れましょ」
知り合いを伝って礼二の浮気を知った月島は、すぐに彼を呼び出した。そして別れを告げた。
遠距離になってから会う機会が減り、ただでさえ関係が危うくなっていた月島にとって、浮気した礼二の言葉に耳を傾ける気など毛頭なかった。
「笹山先輩好きだったんだけどなー」
「中身がクズじゃねぇ」
「付き合ったら浮気されちゃうっしょ」
礼二は学校中の生徒から信頼を失った。
けれどその視線に耐えながら、礼二は残りの学校生活を過ごすしかないのだった。