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勇者だった者が幸せになるまで  作者: 覇道ギン
2/3

一転機

どうも

5 か 月 ぶ り の 投 稿 で す

あとがきにて少し語ります

「着替えとかは、客人用のがあるから好きに使っていいよ。」

浴衣しかない。流石に使い方はわかる。

「今度買いに行きますか…」

などと呟く。

…広すぎる浴場にシャンがぽつりと一人。

シャンは久しい湯船に正直困っていた。

いくらなんでも深すぎる。一段目に座れば肩まで浸かれる。それ以上進むと間違いなくシャンの身体では文字通り、全身沈むであろう。

シャンは早々に切り上げることにした。

風呂場をあとにして、自室で髪を乾かしたのち、書斎へ向かった。

見上げれば見上げるほど積みあがった本棚、その一つ一つに本が詰め込まれている。

外から見た時よりも高さがある。そもそも、ここまで高く突出した塔の形状は外からは見受けられなかったはずだ。

そんなことがシャンの頭をよぎる。

とりあえず、一番下の本棚をめぐることにした。

「魔術の生活応用」、「栄光の魔術師」、「魔族の魔導士」と言ったおおよそ魔術関連の本が多くあった。

その中に一つだけ、「宝石眼の竜」とあったので手にとり、その本を開いた。

「宝石眼の竜、それはかつて存在した宝石の眼を持つ竜のことだ。その宝石は周囲の魔力を吸い取り、様々な力を得る。炎を吸えばルビーのように赤く燃え滾る眼へと変化し、また、氷を吸えば静かな凍てつく眼へと変化をする。」

ここまで読んでもシャンは何も理解できなかった。

夜も更けた頃、ラズリーは実験室から自身の部屋に向かっていた。シャンの部屋の付近を通った時に、シャンの部屋からする音に気が付いた。

扉を開き中を確認すると、シャンがうなされれているようだった。

彼女はゆっくりとシャンに近づき、顔を覗き込んだ。

悪夢の呪術でもかかっているのかとも疑ったが、そうではないらしい。

シャンの手を握ると、握り返してきた。そして、安心したかのように彼は眠りに落ちていった。

…動けない。その4文字が頭を駆け巡る。

このままでは自分が眠れない。しかし、動こうとすると起こしてしまうかもしれないし、そもそも彼が握る力が以外にも強いので動こうにも動けない。

どうしようかと考えているうちに、ラズリーの中で諦めの感情が湧いてきた。

そうして、彼女は睡魔に身を任せることにした。


目が覚めたシャンは、自分が何かを握っていいる感覚があったので、そちらの方向に顔を向けると、目の前でラズリーが眠っていた。声が出そうになるが抑える。

状況がわからないが、シャン自身が握っていた手が、起きた出来事を物語っていた。

ッスゥーとシャンは息を吸った。そうして息を止め、ベッドを抜け出した。…足音を立てぬよう抜け出すのに小一時間かかったが。朝からここまで神経をすり減らしていたら持たない、と思う。

早いうちに朝食を作ってしまおう、と倉庫の中の食材を確認する。しかし、明らかに昨日確認した時と比べ、減っている。買い出しに行くことが確定した。それと同時に、

「侵入者の可能性も念頭に置いておかないとな…」と言葉をこぼした。


ラズリーの館から少し離れた村に買い出しに来たシャンは、大声で叫ぶ男がいる感覚がしたのでその方向へ向かって見る。人だかりができているので遠目から観察をする。

「この村の愚民どもはこの程度の代物しか出せんのか!?」

税の徴収…だろうか、とは言え出てくる言葉としては信じられないものだ。民衆も怯えているようだが、朝食を作らずにラズリーを待たせている為、巻き込まれる前に撤退してしまおう。何より、嫌な事を思い出しそうだ。そうしてそそくさとその場を後にするシャンを、叫んでいた男は見ていた。

「これくらい買えば十分か。」

買い物を終えたシャンを狙ってか狙わずか、あの男が話しかけてきた。

「そこのお客人、ちょっとよろしいかね?」

シャンは少し不服そうに、「はい?」と応える。男は続けた。

「その品物、うちの村で買った代物ですね、では税を納めていただかなければ。」

「そいつは初耳ですね、少なくとも、旅人から税をとるような場所はここくらいですかね。」

勇者として旅をした中での経験則で対応する。

「払う気はないと。」

「当然だ。それに貴様みたいな支配者面した雑魚は気に食わん。」

二人の声色が変わる。男は強気に出る。

「ふむ、では君のその眼の宝石でも頂きましょうか。」

「やるものはないと言っている…待てよ、こいつなら…」

といい、シャンは鞄の中に手を入れる。男は、シャンが取り出すものを早く見ようと顔を近づける。

シャンは鞄の中で拳を握り、魔力を込める。そうして鞄から勢い良く男の顔面に向けて拳を飛ばした。男は大きく吹き飛んで道端に倒れた。シャンは

「貴様のような支配者にはこいつがお似合いだ。」と言い、館目指して走り去った。


館に帰って来たころには、もう昼になっていた。玄関を抜けた辺りで書置きを忘れたことに気が付くが、最早手遅れもいいところだろう。

ラズリーに顔を合わせないと心配していることだろう。と思いながらラズリーの部屋に向かった。

部屋の扉を叩くと、すぐさま開き、中からラズリーが飛び出してきた。ラズリーは「おかえり」と言って飛びついてきた。顔を見ると涙のあとがあった。シャンは、心配させてしまった申し訳なさとこの場所こそが自分の帰ってくる場所だということを感じながら、

「ただいまです。ラズリーさん。」

その夜、館に忍び込んだ者がいた。彼は、迷うことなく倉庫へと向かった。そして暗闇の中、錠前に触れた瞬間、彼の手に電流が流れた。

「がああああああ!?なんなんだこれはぁぁぁ!?」

その声を待っていたと言わんばかりに、シャンは姿を現した。

「ネズミ捕りだよ、侵入者(ラット)さん。」

シャンの見た侵入者の姿は、見覚えがあった。

この男は今朝、シャンに絡んできた男だった。

「貴方でしたか。ここ最近、此処に忍び込んだ鼠は。」

放電するために確保したバッテリーの電力がなくなり、電撃から開放された男は怒りの矛先をシャンに向けた。

「ガキが、コケにしやがって…。その上、このキンサメ様を鼠呼ばわりだと?笑わせる!」

王都配属のキンサメ。旅をしてきたシャンが王都でも聞き覚えのない名前だった。

「随分とあそこの支配者程度でくすぶっていたようですね。」

シャンはあくまでも平静を装う。騒げばラズリーすらも巻き込む恐れもある。

「貴方が王都配属のように、私も魔王に従ってるもんでね。主になった方を護るため、全力で相手を致しましょう。」

とは言え、この場所は館の中、魔力を使おうにも場所が悪い。そんな思考を巡らせていると、キンサメが目にもとまらぬ速度でシャンに突撃してきた。

その速度は、シャンに防御姿勢すらも取らせないまま、キンサメの身体はシャンに直撃していった。

シャンは大きく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

強い衝撃により、全身に痛みが巡る。足が折れた感覚さえある。それでもシャンの意識は、はっきりとしていた。痛覚がいくら悲鳴をあげようと、気を失うことができなかった。

しかし、ただのタックルにしては、魔力を感じた。ただでさえ過剰気味のシャンの魔力に追加で魔力が上乗せされたため、シャンは気絶することは免れた。

「てめぇが魔力を帯びた拳を扱ったように、俺様も全身に魔力を纏ったというわけよ。ただ、それだけではないがね…。」

埃で隠れていたキンサメの下半身が見えるようになると、シャンは目を見開いた。

彼の足は、強靭といえるほど太くなり、黄金の鱗で包まれていた。

シャンの目と同じように、魔力で変化させたのだろう。それを見て、シャンは起き上がりながら、

「全身に魔力を纏えるということは、貴方は全身を強化することが可能なのでしょうね。」

「察しのいいガキは嫌いじゃないぜ。」

キンサメはそう言いながら、全身に鱗を発生させた。

顔まで鱗を纏うと、指先は大きく、鋭く。顔は、それこそ鮫のように凶悪な牙を持つ顔に変貌した。

最早、面影はどこにもなかった。

「これが魔族力だ…!素晴らしいだろう!王都だろうと俺様を止めることはできねぇ!」

キンサメが声を荒らげる。

「流石に声がでかすぎますよ。お嬢が目を覚ましてしまう。」

あくまでもシャンは奴隷として寄越された身である以上、魔族と繋がっている疑惑のある者の前では、家族ではなく召使いを装う。

「知るかよ!てめぇ諸共、焼き尽くす!」

そう言うとキンサメの口の中から光が漏れ出た。その光は燃え盛る火炎となり、シャンに向け放たれた。

シャンの折れた足では、回避が間に合わず、炎は勢いのままシャンを飲み込んでいった。

シャンを炎に包みこんだキンサメは、フッと息を払うと燃え盛っている火炎に背を向けて次の部屋を漁りに、次の部屋に向かって歩き出した。


ラズリーは、館のどこかで大きな物音がしたように感じ、反射的に目を覚ました。

館の中に、二つの大きな魔力を感じ、部屋を飛び出していった。

途中、シャンの部屋を覗き込んだが、シャンの姿がどこにも見当たらない。

ラズリーは、嫌な感覚に駆られた。

空室に魔力の反応があったので警戒していると、その部屋で大きな爆発が起こった。

その部屋から大柄な異形が吹き飛ばされてきた。

「なんなんだ!ここはトラップハウスかなんか!」

起き上がったキンサメは、視界に入った少女に目を向ける。

「お前は…ガキが言ってたお嬢ってヤツか。」

ガキという言葉がシャンのことだと悟ったラズリーは、警戒態勢に移行した。

「俺様とやろうってんのか?あいつと同じように焼き尽くしてくれるわ!」

そう言った矢先、キンサメは後ろに大きく吹っ飛んでいった。

「全く。声くらいあげてくださいよ。お嬢。」

ラズリーの目の前にはシャンが立っていた。しかし、あの時の弱々しさはなく、頼もしい背中が映っていた。

「さーて、反撃すっかな。」

キンサメは再び起き上がるとすぐさま炎を吐き出した。

その炎はシャンの左手で止められ、左目に吸収されていった。

シャンの左目の宝石は紅く、手足は炎をまとっていた。しかし、宝石は目の周辺にまで広がっていた。

「てめぇ…」

「お前さんの魔力を吸って俺も回復しちまったみたいだ。」

シャンは足元から火柱を立て、その炎で加速をしてキンサメへの距離を詰めた。そうして勢いのついた拳をキンサメの顔に突きつけた。

「昼間みたいだな、おい。」

そう言うと、思い切って振り下ろした。

そうして同じ手法で距離を離すと、腕の炎を使い切って火球を作り、キンサメに向けて放った。

キンサメは対抗して大きく息をため込み、火炎を吐き出した。

シャンの火球は、形を変え、「裁」の文字へと変化した。

キンサメの火炎は文字の間を通り抜け、シャンの炎を止めるほどの力は出なかった。

「この俺様が…あんなガキに敗れるだと!」

そう叫びながらキンサメは炎に飲み込まれていった。


炎が少し弱まって視界が晴れてきた、その炎の中からキンサメが飛び出してきた。

シャンとラズリーは身構える。

しかし、キンサメの身体は一瞬にして氷の結晶に覆われた。

二人は何が起きたのか理解ができなかった。

ただただ目の前にいる巨大な魔力の持ち主にシャンは圧倒されるしかなかった。

「私の大事な妹に手を出す輩は、私が全部コレクションに致します。」

どうやら、彼女はラズリーの姉のようだ。

「お姉様!どうして私の館のような辺境の地に?」

「ラズリーの館に明らかにでかい魔力の衝突が確認できたので、確認に参った所存です。」

その口調は氷のように冷たい。しかし、妹を想う親愛の気持ちは隠しきれてはいない。

シャンは、そんなことを考えていると、姉の方に声をかけられた。

「貴方がお父様に挑まれた方ですか。大切な妹を護っていただき、ありがとうございます。」

「まぁ、私は奴隷ですから。主人を護ることは仕事の一環ですから。」

互いに立場の差があるが一歩引いて会話を交わすので妙な空気感が広がる。

「お父様に施した隷属の呪印は消えているはずなのにどうしてここまでしたのです?」

「私は、私を信じてくれる人に尽くす。例え、それが自分の種族を裏切ることになろうともね。」

……………………

「さて、私は自分の迷宮にでも帰ります。」

「人間の私如きに大切な妹を任せても良いのですか?」

シャンの問いかけに彼女は答える。

「シャン、貴方なら任せられると感じたのです。私の勘は当たるのです。」

「…私名乗りましたかね。」

その言葉ではっとしたのか、多少表情が変わる。

「貴方が勇者として動いていた時に耳にしただけです。」

シャンの視線は鋭くなる。まるで忌々しい何かをぶつけられたような。そんな気配を放つ。

「一方的に名前を知られるのは気に入りませんかね。」

彼女はしらばっくれるようだ。

「必要ないです。きっと、関わることは少ないはずなので。」

「それでは、また次の機会にでも。」

そう言い、彼女は氷漬けのキンサメに乗り、飛び去って行った。

その時、シャンの眼の宝石の色は元に戻り、輝きが元より鈍くなった。…その場にシャンは倒れた。

それに気が付いたラズリーはシャンに駆け寄る。

「シャン!!大丈夫!?」

そう声を上げ、シャンの手に触れる。それは触れられないほどではない。ただ、明らかに人間が耐えられる熱ではなかった。

ラズリーは急いでシャンを部屋に担ぎ込んでいった。


ありがとうございました

ぶっちゃけ5か月もかかるようなクオリティじゃないんですよこれ

脳がバグり散らしてるので戦闘シーンの描写が苦手なんです

第三者視点で語るのは非常に向いていないので今後変わるかもしれないです。

次回投稿日は当然ながら未定です。

よろしければまたお会いしましょう!

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