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夕碧センチメンタル  作者: 晴曇空
序幕:宣戦布告20XX
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#0.宣戦布告20XX

――その昔、大戦があった。


 何が正しくて、何が間違っているのかすら見失ったそんな時代に、私たちは生まれた。得体の知れない何かの為に、あると信じた明日の為に、私は、私たちは戦い続けた。それが間違っているとしても、それでも進むしかなかった。いや、進まざるを得なかったのだ。

 いろんなものを失った。大切だった人、大好きだった人や、喪いたくなかった日常を失ってでも手に入れた物は、多くの悲しみと、真っ暗な未来だった。生まれた私たちはその後、悪の権現のような扱いを受けて、沈んでいった仲間たちに、残酷にも思いを馳せながら、その生涯を閉じた。



 それから、何十年の時も過ぎた。

 私が〝最期〟に見た世界はそこになくて、それぞれがそれぞれの為に、必死に生きる時代に、私はまた〝生まれた〟。そうして、今度はその世界を『侵略者(インベーダー)』なる、正体不明の敵から守るという役目を、私は授かった。

 それからまた数年後。一人ぼっちだった戦線は、今や多くの仲間たちと戦う場所になった。他の誰かと同じように泣いて笑える生活を手に入れて、大切な人が出来た。あの頃は望めなかった日々を送ることを許されて、それこそが、今、私たち〝船魂娘(ふなだまむすめ)〟がこの世界を護る理由になった。

 もちろん笑える日々だけじゃない。どうしようもない絶望に暮れる日も、声が嗄れるまで泣き腫らす日だってある。それは、どうしようもない私たちの宿命なのだ。だから、その宿命に抗うために、もう歴史なんて関係なく、世代を超えて手を組んで戦い続けているのだ。

 まだ終わりは見えない。朝靄のように先見えない未来に、きっとあの頃手に出来なかった『幸せ』っていうものがある事を信じて、私たちは今日も、戦い続けている。


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