15話 東京連続殺人事件簿その十三 『優秀』な椿芽ちゃん
長らくお待たせしました。
最新話です。
「君は『優秀』なんだ。そう思うだろ?君は『優秀』、父親である私も『優秀』そして、私の父親も同様に『優秀』その前の代からもずっと変わらず『優秀』なんだよ。そうさ、僕たちの一族は『優秀』なんだ。だから君も『優秀』な僕たち一族のようにもっと『優秀』に育つんだ。でも、『優秀』になる為の教育を、全てこちらから施すわけじゃあないんだ。この一族の人間は自然と『優秀』に育っていく。皆んな、実に『優秀』だろ?でもこの世界には僕たち『優秀』な一族以外の人が沢山居るんだ。もちろん、その中には『優秀』である人も居る。そんな彼らは『優秀』に育つ君と真の絆を結べることだろう。でも、それ以外の人は駄目。彼らは決して僕たちの様に『優秀』になれないんだ。そんな人たちと過ごすと君の『優秀』が毀れてしまうんだ。そんな事は『優秀』である僕たち一族にとっての大きな損失になる。それは『優秀』じゃあないんだ。だから、君は『優秀』になる人と遊び、『優秀』になる人と学び、『優秀』である人と共に生きて行く必要があるんだ。彼らを見つける事は非常に難しい、なんせ『優秀』なんだから、でもね、『優秀』な君なら見つけ出す事が出来るはずだ。でも、始めのうちは『優秀』である僕でも難しかった。だから、孤独に包まれ、『優秀』じゃあ無い者への誘惑に負けそうになった。でも、『優秀』だった私の父親が救ってくれた。そのお陰で今の『優秀』になった僕がここに居る。『優秀』になる君が道に迷い『優秀』じゃあない方向に向かっても、僕が『優秀』になる為の方向へ、正してあげる。それが君が『優秀』になる為だったら、僕はなんでもしようじゃあないか。それが世の為、『優秀』な一族の為だと思っている。『優秀』になる事はとても重要なことだよ。もし君が『優秀』じゃあなくなったら、さっきも言った通り『優秀』な一族、いやこの世界にとって大きな損失になる。それは『優秀』じゃあないだろ?だからね『優秀』に『優秀』に育つんだ。それだけが僕たちのアイデンティティで『優秀』なことなんだ。理解してくれたのかい?それは『優秀』だ。そもそも、『優秀』という言葉は響きが良い。言われて嬉しくない人は居ないだろう。まぁ、コレももう一度言うが真に『優秀』な人間はほんの一握りしか居ないんだがね。いいかい、私は、渡志は『優秀』。そう『優秀』なんだ。だからね、娘である君は、椿芽は『優秀』になるんだよ」
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馬飼琉助が討たれたのとほぼ同時刻。都内の別の場所にて、一台の『フェラーリ』が走っていた。
その車の主人は吉田倉佐。目的地は愛染波雨明の住まうマンションである。今より十数分前に遡るが、馬飼琉助より愛染波雨明が2件目の事件の犯人になりゆうる情報が送られてきた。
琉助から連絡をもらった際、彼の身に何が起きてもいい様に、彼は吉田に対して証拠を送ったと同時に動くように命令してきたのだ。
「どうして最近のガキってのは生意気なんだ」
なぜ、彼がそう言ったのかというと、彼の捜査の対象が青木渡志という人物であるからだ。その人物の名前は木伐帆群の過去を振り返ってみても名前が出てきており、旧木伐家の事故物件に住んでいたり、愛染波雨明のアリバイの際にも名前が上がった謎多き人物である。
「くれぐれも無茶してくれんなよ」
今はただただ事態が進む事に流されるままになるしかない。この最後の歯車は回り出したら止まらないのだ。
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都内某所 マンション 愛染波雨明宅
馬飼琉助を始末した青鬼はここに住む弟を訪ねていた。
「兄上が来るなんて。中々、珍しい事もあるもんだ」
この兄弟が再会するのは実に3年ぶりのことである。そもそも、弟が東京に住んでいることを知ったのも偶然で、彼らの兄の葬式にも呼ばれていない弟と再会した時には大きく驚いた。
「そんなくだらない話をしにきたわけではない。お前、警察にマークされてるぞ。何しでかした」
そう言うが、馬飼琉助とのやり取りでおおよその事は把握している。この愚弟が、この連続殺人に加担しているのだ。それは、困ったことだ。
「木伐のやつはまだ捕まってない様だし、どうやってバレたんだ?・・それと麦茶でいいか?」
波雨明は兄の告げた事実に驚きつつも、冷蔵庫で冷やした麦茶のポットを机まで持ってきて、コップに注いで渡した。
「気が利くな。だが、質問を質問で返す事は感心はしないな」
「細かいことをつくなよ。で、どうなんだ?」
「知るかよ。それよりもここから逃げたほうがいいんじゃないのか?」
「人の心配か?自分の心配はどうなんだよ、普段、中東の戦場にいる兄上がこの街にいるってことは何かしてるんだろ?それも危険な香りがする案件だ」
「そうだな、俺の任務は暗殺だ。東京にいるある男を殺すために来た。これが終われば、一度本土に帰る」
「ターゲットは誰だよ。手伝ってもいいぜ」
「角なしのお前じゃ無理だ。それに下ごしらえとしてめんどくさい相手を殺す必要があるんだよ。それにターゲットも実力はある方だ」
鬼は生まれながらにして額に様々な角を生やしている。それで色種を判断するのだが、ごく稀に角を生やさずに生まれてくる子供がいる。そんな子供は妖気法を扱う才能がなく、身体能力も人間と同じになる。普通の鬼の家族であれば問題はなかったが、純血種は別、角無しは角無ししか産まない。血を繋げなければならない純血種にとって角無しは、一家の汚点なのだ。だから、そうそうにどこかの孤児院に捨てられた。角の無い鬼と人間の見分けはつかないから問題もない。
「ひぃっ、言うねぇ。養子のくせに、一丁前に兄貴面してよ。俺が角無しじゃあ無かったら、オメェは誰の温もりも知ることなく野垂れ死んでたんだぜ。その上、本来身を挺して守るべきだった長男の琅亜を目の前で殺されてよ」
彼らの兄、琅亜の死は不可抗力であった。テロ組織鎮圧のために中東へ向かったが、出陣と同時に頭をスナイパーライフルの狙撃で撃ち抜かれ即死、彼は勇者であったが故にこのような最後を迎えたのだ。
守ることなど出来なかった。それはあの場に居た全員が理解していだが、居なかった者たちからすれば、青鬼の怠慢ともう他なかった。
「確かにな。俺は兄を守れなかった。だが、お前と違うとこを教えてやる。俺は、努力して誰よりも妖気法能力を鍛え上げた。お前は成長もなく、帰ってくることが無かった」
鬼の中でも青鬼の妖気法能力は特に優れている。
「必要のない事だ。俺は兵士になるつもりもないしな。だから、これで満足している」
「では、なんでその平穏を自分から壊す様な真似をした?」
青鬼の目的は最初からこの件についてだった。隠れ蓑にすることは出来て幸運だと思っていたが、波雨明が関わっているのなら別だ。
仮に波雨明が捕まれば、自分の嘘も露見しかねない。
「それはよぉ、工板九坂の奴が殺したい程にムカついたからだよ。人様の名前をやれ、アイゼンハウアーだの馬鹿にしやがって。それに俺の功績を横取りしやがって昇進だと?舐めるなって、、、、」
青鬼は波雨明が喋るのを遮るように、コップの中身を彼にぶっ掛けた。水はしっかり口の中を含む全身に入ったようでむせていた。
突然のその行動には、波雨明自身も驚きを隠しきれていない様子。
「何しやが、、、。まさかッ」
「俺の能力は覚えているか?触れた水に様々な性質を与え、変化させるモノだ。その麦茶は俺が飲み、唇で触れた。既に能力によっていつでも変えることが出来る」
「義理とは言えど、一緒に過ごした弟を殺す気かッ!」
「いや、あまりにも耳障りだったから、黙らせようと思ってな。このまま爆死するか?俺の命令通り動くか、この場で判断しろ。俺にとってはお前の命なんざ、そのガラスの破片並みに価値のないものだ」
「何をさせる気だ?」
自分の置かれた状況を理解した波雨明は食い気味にそう尋ねた。
「コイツを今日中に仕留め来い。コイツの死を俺がニュースで確認したら解放して、二度と俺はお前には関わらない。好きに生きろ」
青鬼はマークされている可能性が高い為、下手には動くことが出来ない。だから、この愚弟を利用したのだ。
「それで、本当に俺を解放してくれるんだな?」
「ああ、約束するよっ。奴の死とのギブアンドテイクだ。さぁ行けよ、早く行け。俺はその間に敵を殺す為の武器を取りに行かせてもらう」
その武器はとても貴重な鉱石から作られた世界にも10本もない本当に貴重な武器だ。まさに妖気法を極めた者にしか扱うことのできない武器。それをわざわざ特殊なコネを用いて東京まで配達してもらっている。青鬼が本気で戦闘を行う際に用いる物。『山門健』を殺すのにはまさに最適なものだ。
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困ったことになった。後藤定正24歳、刑事は途方に暮れていた。
吉田さんが別件を追って、勝手に飛び出し別行動を取ってしまっている。こうなると、木伐捜索も少しややこしくなる。何故なら、あの人が現状の指揮を担当している。それがどこかに行くとなると、指揮系統が出鱈目になって、動こうにも動きづらい。
「まぁ、そんなに焦ることもないともうぞ、後藤。吉田さんも馬鹿じゃない。寧ろのこんな状況になったのに冷静なくらいだと思う。やるべき順序をしっかりと見極めてるはずだ」
そんなことを考えていると千代谷楓二先輩が話しかけてきた。その内容はまるで自分の思考を読まれたようで、スゴ味を感じる。彼は吉田さんの一つ下の世代の人であの3人ともまぁまぁ付き合いが長かった。
彼の言う通り、確かに吉田さんは同期の親友二人をこの事件で失ったのに悲しんで取り乱す様な事はなかった。多分、誰よりも辛いはずなのに。
「それでも、こうしている間に木伐によって都民の生活は脅かされているんですよ。そっちが先だと思いますけどね」
「なら、指示を待たずに動けよ。俺は今から行くぞ。この辺の空き家がまだ調査されていない」
千代谷先輩は流石だな。
この人もこの人でしっかりと考えているんだな。真剣に取り組めていないのは俺だけかもしれない。そう考えると情けないな。
「俺も行きます。行きますよッ」
「ふん。だったら、さっさと行くぞ」
その後は千代谷先輩の車に乗り込んで目的地まで、向かった。
そこはあまり人気のない住宅街で、誰かが潜伏するにはぴったりだと思う。
「まず、ここだな。行くか」
「はいっ。行きましょう」
この家は外壁に蔦がびっしり生えていて、庭の雑草は全く整備されておらず、本当に何年も人が住んでいない事が分かる。そして、空き家の中はまるで生活感を感じられない。
「ここはハズレだな。次のとこ行くか」
「そうですね。この辺とはどうですか?ここにも空家がありますし、飲食店やコンビニエンストアがあります。廃棄弁当などから、食料調達できるんじゃあないですか?」
2階まで調査したが、ここには誰も居ない事は明らかだった。自分達はスマートフォンに保存した区ごとの空き家の配置を記した地図を見ながら次の目的地を定めていた。
「そうだな、ここにするか」
ふと、下の階に人の気配を感じた。木伐か?いや、あり得ないだろう。この辺の浮浪者ってわけでもないだろう。この廃墟は生活感がない。となると、俺たちの後を追ってきた侵入者っていう可能性が高いな。
「待ってください。下のフロアに誰か居ます」
「ああ、そうだな。俺が様子を見てくる。お前はここで待機してろ」
「いや、ここは俺が行きますよ。先輩の方が待機していてください」
いくらなんでも、恐ろしい相手がこんな所に居るわけない。わざわざ先輩の手を煩わせるわけにもいかないからここは俺が率先して動く。
「分かった。気をつけろよ」
「はいっ」
そのまま階段を使い、下のフロアまで降りて行く。しかし、いくらそんな危険はないと分かっていてもスリルが無いわけではない。ジェットコースターによるようなモノだ。事故が起こらないのを前提に運営しているとはいえ、万が一を恐れる。
下のフロアに着くと、そこに居たのは。
「なんでここにッ!?」
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とぅーるる。トォぅルルゥ。
運転中に電話が鳴った。それもメッセージアプリからの着信だった。
「なんだ?荒馬谷、今運転中だ。昨夜の件の聞き取りなら後にしてくれ」
相手の名前は荒馬谷伊乃歌。新米の刑事で後藤の同期だ。彼女はこの間の高速道路での大事故を調べており、一応その関係者の私にも話を聞くことになっている。
「いえいえ、緊急案件ですぅ。倉佐先輩ならこの情報、ぜっったいに欲しいと思って電話しましたぁ」
彼女は普段から抜けた口調を取る事が多いが今日は特にそれが顕著だ。昨晩の事故発生からほぼ無睡で働いているのだろう。
「そうか、、、だが、流石に仕事関係なら普通の電話にかけてくれ。そう普段から言っているだろ?」
「でもぉ、私ぃから掛けるとぉ通話料こっちが払わなきゃぁですしぃ、それと、電話番号をわざわざ打つのだるくないですかぁ」
「ダウト。電話番号は一度かけた相手なら保存されるなら、打つ必要はほとんどない。それに一回は確実にこっちから電話をかけた事があるから、登録されているはずだ。通話料を払いたくないと言う理由じゃ弱いからって平然と嘘をつくな」
私がそう強気な口調で問い詰めると、反省もする気のないような腑抜けた返事が返ってくる。
「バレました?テヘ。それより今度はいつベッ、」
「そんな事はどうでも良いッ!早く本題に入れッ」
「だって、倉佐ちゃん。この事件始まってから全然誘っ、、、」
この甘女を放置してたらとんでもない事を暴露されそうだ。流石に彼女との関係が同僚にバレると、あだ名を変えられるそうだ。
「次に言葉が横道に逸れたら電話を切るからな、覚悟しろよ」
「えっーじゃあ続きは今度でぇ」
「早くしろ、こっちはもうすぐ目的地に着くとこだ」
残り5キロメートルくらいか?随分な長旅もこれにて終わる。
「じゃあ、本題に入りますぅけど。この間の事故で亡くなった方の身元が判明しましたぁ。それとぉ、監視カメラの映像から追突した車の持ち主もぉ、わかりましたぁ」
それはデカい情報だ。遺体は原型をとどめていないほどにボロボロになっていて監視カメラも時間帯が夜だったこともあり解像度とても悪かった。そこから情報を手に入れられた事は大きな一歩だ。
ここから青鬼の尻尾を掴む事ができるはず。
「助かる。で、亡くなった方の名前は?」
「まず亡くなったのが舞前豊楽って言う大手上場企業の役員ですねぇ。顔はぐちゃぐちゃですけどぉ、身分証明書が見つかったので間違いないと思いますぅ」
そこはやはりそうか。
馬飼琉助が青鬼たちに襲撃を受けた際に奴からスッた財布(犯罪)の免許証にその名前が書いてあった。名前が割れたから身分を変えると言う推理はばっちしだな。
推理では青鬼は追突した車の持ち主と姿を入れ替えている可能性が高い。理由としては、短期間しか入れ替わる必要がないと思われるから、誰でも良いと判断したのだろう。
「それで、車の持ち主は誰だったんだ?」
「えっと、それがですねぇ。『青木渡志』と言う人物ですね」
「ッ!?な、なっんだと」
馬飼琉助の推理が正しければ、現在の青鬼は青木渡志と入れ替わっている可能性が高い。つまり、、、。
「情報は以上ですねぇ、もう寝ても良いですよなぁ?なんなら、寝かし」
「すまん、もう切る。こっちも緊急事態だ」
このままでは馬飼琉助が青鬼に襲われる可能性が高い。そうなれば、彼が次の被害者になる。
進路を急いで変えて、彼の元へ向かう。その道中で電話を掛ける。しかし、繋がらない。
とぅーるるる、とぉおうるるぅ、とぉぅうぅぉるるるぅ!?
今度は携帯電話の通常の電話の方から着信がきた。
相手は草泉冬羽、千代谷の同期だ。
なんだか、嫌な予感がする。
「何事だッ!?」
「吉田さんのお知り合いと思われる少年が路上で腹に大きな風穴開けて、そこから血を流して倒れているの発見されてたった今救急車で運ばれたんですッ!」
救えなかった。
また、私は『間に合わなかった』。
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廃墟の階段を降りるとそこに居たのは小学生くらいの女の子だった。
「お嬢ちゃん。こんなとこでどうしたの?迷子かな?」
「うんっ」
ひとまずは危険はないな。安心だ。
「先輩ッ!問題なさそうです降りてきて良いですよ!」
とりあえず、上に向かって大声を出す。まぁ、聞こえてるだろ。
しばらくすると千代谷先輩が降りてきた。
「どう言う状況だ?と言ってもお前も分かってないようだしな」
その通りだ。
俺も全くもってこの状況を理解できていない。
「とりあえず。お嬢ちゃん、お名前わかるかな?ちょっとここにお名前書いてもらっていい?」
身元さえ分かれば、家まで送り返すヒントになる。
俺は普段から持ち歩いている手帳とボールペンを取り出して手渡した。
「うんっ。わたし『優秀』だから、ぜんぶかんじで書けるよっ」
そう言って彼女は慣れないボールペンを使って必死に自分の名前を書き始めた。
「書けたっ、ほら」
そこには『青木椿芽』と書かれていた。これはつばめって読むのか?最近の子供は難しい読み方をするってきくが、確かに難しい。だが、まだ読めるな。本当にやばいのは本当に読めない感じになっているのだろう。
「それじゃあ、お姫様。お家の場所わかる様なもの持っていないかい?おじさんたちが家まっで送ったあげるからね」
俺が少し横で関係のないことを考えていると、千代谷先輩が話しかけた。名前を聞くのではなく、最初からそれを聞けばよかった。これは失敗だ。
「ええっとね。これっ」
そこには困った時の家の電話番号と家の住所が書かれていたものだった。いくら、迷子の防止のためとはいえ今どきアナログ過ぎないか?いくらなんでも子供携帯ぐらい持たせてもいいんじゃないか?家庭によっては教育方針は異なるか。
「ここは、、ちょっと見ろ後藤」
「何ですか、、、、、ここって」
「ああ、ここは例の青木渡志の家だ。苗字が一緒だったからもしかしてと思ったがな。本当」
今、警察は木伐の関係者ではないかという理由で青木渡志をマークしている。理由は奴が木伐帆群の高等学校時代に一つ上の先輩であって。そして何故か木伐帆群のかつての家に住んでいる。
そして、その名前だけで見ればこの事件の色々なところに登場する。実に怪しい人物だ。
「これは不吉な匂いがするな」
ああ、その通りだと思う。
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馬鹿め。ただ劣等血種で養子の屑が。
角なしとは言えども、俺は純血種だ。どこの血筋かも分からない野郎が、歳が上っていうだけで俺の兄を名乗り、妖気法の才能が純血種にも劣らないからと言って俺を家から追放しやがって。
「奴がどれだけ能力を極めようとも、水が乾けば能力は発動しないんだよ」
こうなれば、奴の存在を警察にでも暴露してやる。ざまぁみろ、お前が任務をしくじれば上位陣が殺しに掛かるだろうよ。奴の能力がいくら強かろうと上位陣には『手も足もでない』。世界はそう出来ている。
奴の命令に従うつもりなんぞ最初からなかった。
しかも、どこで俺を監視しているのも不可能だ。この愛染波雨明を侮辱した人間は何者だろうとただでは済ませない。あの木伐も居場所を突き止めて必ず息の根を直接殺してやる。この俺を顎で使いやがって。
「アレはッ!見つけたぞ」
正面に二人の警官と小さなメスガキのトリオが居た。大人二人は木伐から得た情報で既に刑事であることが割れている。ほらな、やはり俺は選ばれた血筋なんだ。
「刑事さぁーん。助けッ」
「「ッ?!」」
俺がそう叫ぼうとした瞬間に顎と腹が一瞬熱くなった。ポロッと何かが下に落ちる。
それは血に塗れた下顎と舌だった。歯は何本も欠けており、全体的に少し黒焦げている。そして、少し思考が止まってからそれが俺の下顎であることを理解した。
さらに腹を手で触れると血がびっしょり付着しており、道路には血肉が飛び散っている。
「っっっっっっっっっっっっッ!?」
あの野郎俺にいつの間にか爆弾水を仕込んでやがったな。
なんたる屈辱だ、この青鬼種最後の純血種がこんな最後であって言い訳がない。
「!!??!???!?!?!?!?」
俺はこの怒りを、声にすらならないモノで絶叫にして発した。そのまま、バタリと地面に倒れて、意識が途絶えた。
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突然の事だった。
目の前で、そう目の前でだ。コチラに話しかけようとしてきた男の下顎と腹部が爆発した。そのまま何やら絶叫するようにその場で死亡した。
あまりの凄惨な光景に咄嗟に目を伏せそうになったが、先輩は即座に子供の目を隠してトラウマにならないように素早く行動した。それを見て俺も即座に動いた。羽織っているスーツを脱いで遺体にそれを被せて見えない様にした。
「先輩ッここは俺に任せてください。その子を早く親元に」
「ああ。頼んだ」
そう言ったものの、こんな状況は初めてだ。どうしたらいいものか、とりあえずは応援を呼ぼう。
後に判明したが、この男の名前は愛染波雨明と言って、吉田さんの追っていた男だった。
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この家の部屋はさっきまで丁寧に掃除の行き届いて綺麗だった。しかし今は血まみれ。そう思ったのだが、折られたはずのナイフが直っているということからこれはまたしても俺の妄想だな。
それを理解すると同時に世界が元に戻った。
「女ッ、あのガキはどこに行った?」
「さっき、つまらなそうな顔をして帰りましたよ」
何がつまらないだ、人の事を散々弄びやがって。だが、アイツのことだ。本当に通報するということはないな。
無駄にハラハラさせやがって。
だが、改めて奴との会話を通して、何故か過去を鮮明に振り返ることが出来た。
「お前の主人の部屋を見て良いか?なに、そこまで荒らさない事を約束する」
青木渡志の存在が怪しすぎる。
奴の存在は俺の人生において大きな存在感を残している気がする。それに、何故この家に住んでいるのかと、怪しすぎる。
「ええ、大丈夫ですよ。『是非にお願いします』」
許可を得た。
といってもそれが無くとも、今は俺が占拠しているわけで、自由に動かせてもらう。
あとは返事も返さずに俺は階段を登っていく。そして、謎大き青木渡志の部屋に侵入する。
まず目に入ったのは仕事用や机だ。そして、その下には謎のダイアル式金庫がある。
「番号はいくつだ?」
いくつかの番号を適当に試すが、そんな事で開くはずがない。しかし、ある考えが脳をよぎった。それがあり得ないと思うモノだったが、何故か試さずにはいられなかった。
「0719」
工板九坂が死亡した日だ。
恐る恐るその番号を入力すると、何故か鍵が開いた。
「ッ!?なんで、、、」
ありえない。なんで、まるで、まるでこの金庫を俺が開ける為に決められた番号だ。恐ろしい、、、俺は手を振るせながら、恐る恐る金庫を開いた。
金庫の中にはスケッチブックと日記が入っている。
まず目に入ったそのスケッチブックを手に取った。そのスケッチブックの中を覗くと何人もの少女の顔が写生されており、全ての左端に日付が書かれていた。
すでに薄気味の悪い内容だが、絵の描かれた最後のページで、一時思考が停止した。スケッチブックの最後のページには見覚えのある顔が絵が描かれていた。
思考が働きだすと、すぐにコレが何かを理解した。そして、戦慄しそれを床に落としてしまった。
「母さんッ」
死んだ俺の母親の写真と死亡した日付がそこには書かれていた。あまりの衝撃に理解が追いつかなかった。
素早い手つきで俺は日記帳を手に取った。それを目からもどのページも白紙で何も書かれていない。まるで新品だ。
だが、最後のページは別だ。
『君がこの日記を読んでいるということは、僕がこの世には居なくて、君は僕の代わりに優秀になってくれたという事だね?木伐帆群くん。先にスケッチブックを見ていると思うが、あそこに描かれた人達は僕が高校生の頃に殺した少女たちと君の母親だ。と言っても君にはほとんど関係のない事だよね?それじゃああとは頑張って』
俺へのメッセージがそう書かれていた。
吉田の件は僕なりの配慮です。
これだけ待たせておいて言うのはなんですが、次回は過去編なのでクッソ長いです。でも、終わればとうとう決戦になるのでお楽しみに、夏には次の章入ります。(多分)
ちなみに波雨明が家追放されたのはガチの愚か者だからです。




