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第6話『ダンジョンの魔物、冒険者ギルドに行く』

今回短いです。これからの話はテンポ良くなると思います。

「おぉー!ここが街か!」

 リエッタとフェリスの家を後にした俺とセラフィは、冒険者が住まう『ヴェルカドーラ』と呼ばれる街へとやってきた。


「先程の貧民街と違って人通りが多く、賑わっているようですね。」


 大通りには道沿いに店が立ち並び、活気、いや、喧騒に溢れていた。


「そこら中にギルドがあるみたいだな。」


 これが薬師ギルドで、あっちが鍛冶師ギルド。

 遠くには商人ギルドが見える。


「ですが、冒険者ギルドは見当たりませんね。」


 セラフィの言う通り、結構な距離を歩いたはずだが、冒険者ギルドらしき建物は一つも発見できなかった。


「まぁ、もう暫く歩けば見つかるだろ。リエッタの話じゃ結構な数あるみたいだしな。」


 そうして暫くの間歩いていると、周りの建物より一際大きな建物の前に人集りができていた。


 人集りの中心を除くと、革鎧に身を包んだ男が12歳くらいの男の子を抱えていた。


「こりゃひでぇ。顔が凹むまで殴られてるぜ。おい、誰か回復魔法が使える冒険者を呼んでこい。」


 少年の顔は歪み、青く腫れていた。また服や顔も泥まみれになっていた。


「おい、お前ら。これはちょいとやりすぎじゃねぇのか?」


 そう言って建物から出てきたのは、屈強な白銀の全身鎧(フルプレート)に身を包んだ大男だ。

背中には大鷲の描かれた巨大な盾が背負われている。


 その男に返答したのは、酒気を帯びた二人の男達。


「あぁ?このガキが受付で冒険者になりたいだなんて抜かすもんだからよ、俺達がテストしてやっただけだろ。なぁ弟よ。」


「そうだぜ、兄貴。冒険者になれたとしてもどうせ直ぐに魔物に殺られてたんだから、命を取らなかっただけ俺らに感謝して欲しいくらいだぜ。」


「こんな貧弱な奴がギルドを出入りしてるってだけで俺らの面目丸潰れなんだよ。」


 そう言って男達が少年を見て嘲り笑う。


「試験官は俺だ。それにガキだろうが、貧弱だろうが、試験を受ける資格はある。すぐに少年に謝るなら許そうかとも思ったが、反省してねぇってんなら話は別だ。前々からお前らの素行の悪さには俺だけじゃなくエリシアさんも困ってたんだ。いくら7代目ギルドマスターの息子達とは言え8代目であるエリシアさんの顔に泥を塗るようじゃギルドを辞めてもらう他ねぇな。」


「なっ、なんだと!俺達の親に散々世話になっていたくせに生意気な口を叩きやがって。このギルド『天空の大鷲』にお前を入れてやったのも俺達の親父だろ!」


 男達は青筋を立てて怒っている。

 それに反して、屈強な男はいたって冷静に対処している。


「あぁ、だから今までは黙っててやったんだよ。だが今回は別だ。うちに入りたがってるガキに手ぇ出しやがって。そんなことを8代目はもちろん7代目が許すわけねぇだろ。お前らを金輪際このギルドに入れるわけにはいかねぇ。文句があるなら二人でかかってきな。」


「舐めやがって。サブマスターとは言え、俺ら二人を同時に相手にできるわけねぇだろ。」


 男達がニヤリと笑う。


『ガドラ、手が必要?』


 突如、屈強な男の背後から声が掛かった。


 恐らく透明化の魔法だろう。

 声も隠密魔法で隠しているのか、周りにいる人々は誰一人として気付いていないようだ。


 俺は、その少女に目を向けた。

 先の尖った長い耳を持ち、美しい金色の髪は肩ほどで切り揃えられ、僅かに靡いている。深い碧色の大きな瞳は宝石のような光を放っていた。

 彼女は恐らくエルフと呼ばれる種族だろう。

 魔法が得意と聞いていたが、年若いせいもあってか隠密魔法の技術は稚拙と呼ばざるを得ない。


 迷宮の使徒(アポストル)の中には俺が探知魔法を使っても気配を僅かにしか感じられない者もいるが、彼女の姿は俺が探知魔法を使わずとも丸見えだった。

 もちろん、セラフィも気付いている。


「いや、その必要は無い。俺だけで充分だ。」


「あぁ?誰と話してやがる。ビビって頭でも狂ったのか?」



 うーん。この変な決闘って見なきゃダメなのか?

 ここに俺の相手になりそうな奴はいないし、早くこの冒険者ギルドに入りたいんだけど。


 リエッタから、街で食べ物を買うにはお金が必要だって聞いているし、身分証の無い者がお金を稼ぐにはギルドに所属するしかないとも言っていた。


 もう我慢できない!俺は一刻も早く街の食べ物を食べたいんだ。

 よし、無視して中に入ろう。そうしよう。

 何より、俺達の敵と成り得る実力者を探さなければならない。


「セラフィ、行くぞ。」


「私も見飽きていました。早くあの串カツとやらを食べに行きましょう!」


こいつはリエッタから何を聞いてたんだ。

選ぶ奴間違えたかな。ゲルグニールが恋しい。


「まずはお金を稼ぐんだよ!行くのは冒険者ギルドの中だ。」


「そんな·····。あそこに食べ物があると言うのに·····。」


 ショボンとするセラフィを置いて、俺は歩き出す。



「ビビってなんかないさ。お前達こそ足がすくんでるこのか?」


「なんだと?! 行くぞ、弟よ!」

「おうよ!兄貴!」


 男二人が殴り掛かり、屈強な男もカウンターを狙っている。


「あぶねぇ、そこを離れるんだ坊主!」

  野次馬の一人が叫んだ時には遅かった。


 ()()()間に入った少年を両者の拳が襲う。


 両者の拳が少年にぶつか――


 巨大な岩が砕かれたような音が響くと共に、三人の男達の身体が吹き飛び、壁にめり込んだ。…


 辺りは静寂に包まれ、ギィィと少年が木の扉を開く音だけが響いた。


「おーい、セラフィ。早く入るぞー。」


「リラン様、待ってください。すぐ行きます。」


 少年の後を美しい女性が追いかける。


 二人の影が消えた後、静寂を破ったのは野次馬の一人だった。


「あの坊主、運良く当たらなかったみたいだな·····。にしても、流石は『天空の大鷲』サブマスターのガドラさんだぜ、二対一で相打ちにするなんて。」


「いや、相打ちじゃねぇ。 きっと あの二人を殴った後、勢い余って少年まで殴っちまいそうだったから、慌てて自分を殴って軌道を逸らしたんじゃねぇか?」


「なんだと·····。素手で二人を倒したってだけで凄ぇのに、ガドラさんは少年の事まで気付かったってのか。」


 一人を除いて、皆が口々にガドラへ賞賛を送った。


「ガドラ、やられた?有り得ない。あの少年、何者?」


 しかし、エルフ族の少女の小さな声は誰の耳にも届くことはなく、人々の拍手喝采に呑み込まれた。

ギルド名考えるの大変です。誰か助けてー。

某漫画家さん達はあんなカッコイイ名前どーやって思いついたのか·····。

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