1章1話
天候の激しい空の下、真ん中に白い英雄の像が聳え立つ。
その頂上には白い頭部部分の円形のフィールドが広がる。
そのフィールドには鉄の十字架があり、そこには心臓を数十本の剣で貫かれた金髪の女神がいた。
その正面に正義の大神英雄の男が冷徹な両眼をし、口元は笑みを浮かべる。
その時、後ろから圧倒的な闇のオーラを放ち、風雨を追いやる男が現れる。
目を引く坊主、妖しげな青眼、黒影の人型こそが魔王。
「……」
「……」
吹き荒れる嵐の中、無言で睨み合う両者。
そして、シュトラウスは右手を振り上げ、その場に最強の臣下を召還する。
「駆逐しろ」
真ん中の十頭龍の王獣が青色マントを翻し、巨躯と凶暴な槍で威嚇する。
右側には巨大な盾を持った黒い大鬼神。
左側には全身の白い鎧を纏い、片目の赤眼が妖しく光る孤高の剣闘士。
三体共、3Sのレア度を誇る聖霊。
すると、魔王の後ろから遅れてやってくる怒りの二人。
長年の経験を纏った存在である老龍聖霊騎士。
次にロングの銀髪をした、冷徹な濃い青の両眼の女。
不敵な笑みを浮かべる大神英雄。
笑みを受けてか魔王は、即座に攻撃を仕掛ける。
「まず、スキル合成を完了させる。破壊の巨大弾丸スキルと引力スキルを合成させ、大月丸を完成」
瞬間的に、魔王の右手には巨大な黄金の月が創造された。
「更に、チート(改造)を完了。そして、百段階発展を完了し、範囲拡大微増、威力最大級に更新する。さらに、炎属性を付加し、砲撃開始」
放たれた燃え上がる月が大神英雄の頭上に落下しようとする。
しかし、大神英雄はゆっくり立ち上がり、無表情で、
「鬼神は巨大盾を展開し、攻撃を吸収。剣闘士は空を飛び、その均衡状態に陥る月を死の光線で破壊しろ」
次の瞬間、予想は的中し、月と盾が均衡し、巨大な爆風が発生した。
そして、剣闘士が黒い光線で月を途轍もない魔力で破壊し、飛び散る月の破片は黄金のダイヤの輝きを煌めかせる。
そして、魔王と大神英雄は敵の力量を計り、笑みを浮かべた。