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2、胸の高揚感と初めての世界

*始まりの都市・(ハルカ)




 灰色のコンクリートの広い道。その両脇には、清潔感のある縦長の白い建物が並んでいる。その扉の木目は艶やかで、少しざらつきを持っていて、道に軽く出っ張った窓は街の景色を映し出す。


 空はよく澄んだ青の中、緩やかに真っ白な雲が流れていく。少し行った先、中央に見える噴水の水は、遠目からでも分かるほどに透明感があって、跳ねる水の粒ひとつひとつが太陽の光に照らされて輝いていた。



 成る程、公式が売りにするだけある。街の全てが繊細で鮮明にできている。グラフィックの荒い部分は、今この場から見てどこにも見当たらない。ちょっとした質感、本物に似た色の鮮やかさ、建物や道の細かい凹凸まで何もかも丁寧に、横画面いっぱいに表されていた。正直、ここまでだと思わなかった。


 見惚れていると、画面右側に小さな妖精が現れた。妖精……というより、光った羽に近い。透けている黄色の羽が淡く発光している。



「ようこそ、R・アーリアオンラインへ。最初は私から、この世界の説明をさせて頂きますね!」



 どうやら、チュートリアルみたいだ。右下の丸いボタンがキャラクター移動、左下がカメラ移動、左上からメニュー、右上からチャットやスキル使用。慣れるまでは少し大変そうだ。操作画面は自分のやりやすいように少し改変することもできるらしいので、難しかったらそうしてみよう。


 にしても、MMORPGだというのに、周りには人1人見えない。今だけオフラインなのかと疑問に思いながら、羽の話を聞いていく。


 戦闘は自分のタイミングでボタンをタップして攻撃する自由形。それと、この都市には鍛冶屋や合成屋、ショップとクエスト受付場、あとはマイルーム(これは購入すれば使えるらしい)など、数多くの必要な場所が集まっているとのこと。

 


「それと、この世界で一番大切なことなんだけれど……。この世界では、モンスター討伐数とクエストクリア数によってレベルが上がるの。でもね、レベルが上がってもキャラクターは強くならないよ。強くなるためには、パラメータを上げるしかないの」


「方法はいくつかあって、パラメータダンジョンをクリアすること。パラメータの上がる装備を身につけること。専用のスキルを習得すること。あと一時的な効果で、アイテムを使うこともできるよ」



 レベルによって強くする機能がない、とはこのことだったのか。装備やスキルを取れば楽でも、ダンジョンで上げるなら地道に頑張るしかないということ。確かに新しい機能だと思うけど、なかなか面倒臭い。



 その後も暫く説明を受ける。量が多くて忘れそうだった。というよりいくつか忘れた。でも事細かに説明はしていなかったし、結局のところは習うより慣れろなんだろう。


 各パラメータ上限は99,999。そして全パラメータを上限まで上げた時にだけ挑めるボスがいるらしい。ストーリーが無いので、それがこのゲームの一応の最終目標だって。



「それじゃあ、是非この世界で第2の貴方を楽しんでみてね!」



 最後に言い残した羽と一緒に、画面が暗転する。そして再び明るくなった時には、街のあちらこちらで他のプレイヤーが動き回っていた。画面下のチャット欄が、怒涛の勢いで流れていく。


 なんだか胸が熱くなった。久しぶりに感じる高揚感。これから始まるゲームの世界で、出来ることを出来るだけ遊んでみたくって仕方ない。


 まずは近くの土地でモンスターを討伐してみよう。それで戦闘に軽く慣れたら、早速パラメータを上げるダンジョンに挑んでみても良いかもしれない。ちなみに確認してみたところ、今のパラメータはこんなだった。



[天之川 Lv,1

 最大HP:300  最大MP:200

 STR:1     INT:1

 VIT:1     AGI:1

 DEX:1     LUK:1   ]



 STRは物理攻撃力を大幅に上げ、INTは魔法攻撃力を大幅に上げる。VITは体力・防御力で、AGIは速さ、DEXは命中力、LUKは運。


 最終的にカンストを目指すなら、それぞれバランス良くあげるのもアリだとは思うけど、私がまずお世話になるのはINTかな。攻撃力の高い魔術師になれるようにするつもりだった。

 



*約束された荒れ地




 遥からは3箇所の土地に行ける。その中から適当に選んだ先は、約束された荒れ地。あまり賑やかではない場所だ。


 同じような格好をしたプレイヤーが、必死にモンスターを倒している。ここには、リンゴを背負った(?)モンスターと、石のモンスターがいるようだ。



 まずは近くにいたリンゴを背負ったモンスターに近付いてみる。すると『タートルナット Lv,4』といった表記が出てきた。ひのきの棒のような、何の変哲もない只の杖を構える。数歩下がった私は、恐る恐る魔法の弾を投げた。


 ぼんやりとした黄色の弾は真っ直ぐに、狙いを定めたタートルナットへ飛んでいく。抵抗もなく一撃を食らった相手は、今更こっちを向き、ゆっくり、ゆっくりと手足を動かして歩いてきた。


 名前でも分かるが、甲羅がリンゴのだけで、完全に亀だ。動き遅いし。顔や手足は薄い黄色で、甲羅代わりのリンゴは少し萎びているようにも見える。なんだか、そんなところまでリアルなのは、ちょっと嫌だなぁと思いつつ次の攻撃を加えた。これでHPは残り半分。


 敵が目前まで来てしまったので一旦距離を置くと、連続で2回攻撃を与えた。地面に張り付くように力を失った敵が徐々に消えると、宝箱が出現する。寄るとそれは自動で開き、中からアイテムが出てきた。



[リンゴ。HPを10回復]



 アイテムの確認をしてみると、どうやら回復として使えるようだった。初めての入手アイテムで、初めての回復アイテムだ。初期の頃は重宝するかもしれない。今は捨てずに大事に取っておこう。



 改めてエリア内を見回す。赤みかかった短い草が薄っすらと生え、ヒビ割れた瓦礫や燻んだ木材が所々に散乱していた。一言で言えば殺風景、だがグラフィックが良い為に、この景色でさえ惹きつけられるものがある。


 このゲーム、やって正解だったかもしれない。グラフィックが凄いというのは、それだけでゲームの楽しさや満足度が想像以上に高くなる。



 エリアには、さっきのタートルナットの他、縦長の石に小さな四角い足が2個生えた敵がいる。サイズは小さく、移動時に足を物凄いスピードで動かしていた。それでも歩幅が狭いのか、全然前に進めていないのが可愛い。


 その敵とも戦ってみようと奥に向かうと、途中、足元に物が落ちていた。



[腐ったリンゴ。食べても効果はない]



 拾って確認すると、特に意味のなさそうなアイテムだった。恐らく、プレイヤーが物を落とすことは出来ないので、エリアに元々あるアイテムだろう。どうしてこんな物が落ちているのかは不思議だけど。


 気を取り直して、先程の敵の元へ向かう。タートルナット同様、近付いても攻撃してくる様子はない。名前は『チルドストーン Lv,3』だった。近付いて気付いたけど、滑らかな石の真ん中よりやや上には、ゴマのような黒い目が付いていた。これまた、可愛い。


  ほかのプレイヤーが戦っている様子が見える。貧相な、私と同じ服装をしていて、そのプレイヤーも初心者なんだろう。特に苦戦しているようには思えず、剣で4回攻撃して倒してしまった。


 その戦いを見届けた私も、チルドストーンに戦いを挑む。杖を構えて狙いを定めると、初っ端からスキルを発動してみた。



 最初から唯一持っているスキル『マジックアロー』。杖を強く握りしめた後、空へかざして前に振り下ろす。すると杖の先から、白く光る鋭い矢が突出された。


 先にいる敵をめがけて、矢は猛スピードで突き刺しにかかる。たった一撃だったがスキルのおかげで、敵のHPは半分まで減った。


 いよいよ反撃してこようと、攻撃を食らった敵がこちらに走ってくる。案の定、そのスピードは遅い。今のうちにもう一度食らわせてやろうと、私は再度マジックアローを発動した。しかし発動してみると、呪文を唱える時間がやけに長く感じる。


 私のもとへ辿り着いてしまった敵の体当たりを、危うく受けてしまいそうになったところでスキルの発動が完了。ぎりぎり倒すことができた。魔術師は発動までに時間がかかるから、油断するとすぐに攻撃を食らってしまいそうだ。ソロプレイをしているときは、十分に気を付けなくては。


 倒したチルドストーンの宝箱を開き、確認する。



[滑らかな小石]



 何も効果はなさそうだ。アイテム名しか表記されていないけど、これは何かに使うことができるんだろうか。やはり定番の、いくつか集めると装備や武器が作れるものかな。




――とりあえず、戦闘に慣れる意味でも、アイテム集めの意味でも、タートルナットやチルドストーンを8体くらい討伐。操作も早々と慣れ始めたので、そろそろパラメータダンジョンに挑戦することにした。


 いくら討伐しても強くはならないのだから、他のゲームのように、同じ場所でひたすら戦っていても仕方がない。私は、このマップ内にあるダンジョンに近づいた。



[荒れ果てたダンジョン(パラメータUP) Lv,5]



 一見、廃墟のようだ。2階建てのそれは、あまり大きくはない建物で、窓ガラスはどれも割れてしまっている。ぼろぼろと壁の塗装も剥がれていて、思春期の子供が夏の真夜中に冒険しに来るような……うーん、そんなイメージ。


 ダンジョンレベルも全然高くないので、流石にクリアできるだろう。初めて挑むのに独りぼっちなのは、いささか心細かったが、強くなるためには仕方がない。なけなしの回復アイテムの個数を確認してから、「中に入りますか?」の問いかけに私は、はい、を選択した。



 中は思ったよりも明るかった。割れた窓から、外の光が差し込んできている。既に視界には何体かの敵がいたが、外にいた敵と同じなので強くはないと思う。地面はコンクリートだが土や草でほぼ覆われていて、人工物の壁がある獣道でも歩く気分だった。


 1歩歩くと、草を踏みつける音がする。その音に反応してか、1体の敵がこちらに向かってきた。もしかして、ダンジョンの敵は好戦的になっているのかも。そうなると、少々分が悪い。入ってしまった以上、逃げるなんてことはしないけど。


 魔法の弾をぶつけて、4発ほどで倒す。予想通り、敵はそんなに強くない。これならサクサクと進めそうだ。今度は私から積極的に攻撃を仕掛け、どんどんと奥に進んでいく。と、途中で2階に上る階段を見つけた。


 相変わらず土と草で覆われているそこに、ひとつのリンゴが転がっていた。傷んでない、普通のリンゴだ。ありがたく頂戴することにして階段を上る。すると目の前に、これまで倒していた敵の3倍くらい巨大化されたタートルナットが現れた。


 他のタートルナットとは違って、背中のリンゴは萎びておらず綺麗だ。目と口と思われる横棒も見える。レベルは7で、現段階では苦戦しそうだが、きっとラスボス。こいつを倒して、私は初めて強くなるんだ。



 まずは普通に魔法の弾を投げる。しかしHPの減りは少ない。そりゃあそうかと思いながら、温存しておいたMPを使って、マジックアローを唱える。私より一回りほど大きい相手は、気付けば目前で、覆いかぶさるように体を持ち上げていた。


 これはまずいと思ったが、唱え終わるまでほんの僅か。一か八かにかけて、攻撃を避けるよりも詠唱することを優先した。ゆっくりとした動きで倒れこんでくる。食らってしまうことを察した時、マジックアローの詠唱が完了。鋭い矢が腹部を貫く。


 相手の動きをそれで止めることはできず、そのまま50ほどのダメージを受けてしまった。今の私のステータスでは、かなり痛いダメージ。だが相手にも先ほどのスキルは相当効いており、残りHPは半分ちょっとになっていた。


 今度は部屋の隅までしっかりと移動してから、マジックアローの詠唱をする。のそのそと近寄ってくる敵が体を持ち上げようとした時点で、発動を完了することができた。


 続けてスキルを使うと、MPが無くなってしまった。敵の討伐まであと少し。反対側に逃げて、魔法の弾を飛ばす。また反対側に逃げて弾を飛ばすの連続で、敵を無事討伐。ダンジョンクリアのメッセージが画面上に表示された。



[荒れ果てたダンジョン クリア――パラメータポイント10獲得!]


 この難易度で10も貰えるなんて、優しすぎるのではないか……? 面倒なシステムだと思っていたけれど、これくらいなら、雑魚狩りでレベルを上げるよりも楽かもしれない。手に入れたポイントは、早速INTに全振りした。10上がった程度じゃ強さに変わりはないだろう。他にやることは今ないし、もう2週くらいしておこう。



[天之川 Lv,1

 最大HP:300  最大MP:230

 STR:1     INT:31

 VIT:1     AGI:1

 DEX:1     LUK:1   ]




*始まりの都市・遥




 プレイヤーレベルも上げるついでに、クエスト受付場に来た。ここが、外観からは想像できないほどに広くて目がくらむ。多人数で走り回っても良いんじゃないかと思えるほどの広さ。画面奥にはカウンターが横にまっすぐ伸びている。


 受付をしているNPCによって、何ができるかはそれぞれ違うらしい。入ってすぐ、一番目立つポジションにいる子の担当は、クエスト受注とクエスト依頼受付だった。そこから右に行くと、クエストの完了報告や報酬受取ができるNPCがいた。


 このゲームでは、たかがクエスト受付場ではなさそう。何の用があるのか、カウンターとは反対側にあるベンチに座っている人が大勢いる。チャットも、街の中と同様の早さで流れていく。私はクエスト受注のNPCに話しかけた。



「こんにちは! プレイヤークエストとNPCクエスト、どちらになさいますか?」

「えっと……、じゃあ、プレイヤークエストで」

「かしこまりました! ただいま受け付けているのは、こちらのクエストになります!」



 はて……何が初心者用なのかさっぱり分からない。薬草30個下さい、とか、毒々しい木の実8個、とかいろいろある。報酬もプレイヤー自身が決めているのだろう。この世界の基本通貨『G』が報酬だったり、多分何かに使うのであろう『ダイヤ』が報酬だったりする。


 お金が貰えて、且つ私でも出来そうなクエストってなんだろう。終わりの見えないクエスト一覧を必死に見続けて、『初心者限定。タートルナット15体討伐 報酬300G』というクエストを受注した。タートルナットなら簡単に倒せる。それに、もう戦い慣れた相手だ。これで報酬が受け取れるなんて美味しい話はない。



「お気をつけていってらっしゃいませ!」



 可愛いNPCのお辞儀で見送られながら、ちゃちゃっとタートルナットを討伐しに行く。ダンジョンを3周したおかげで、今はもう、2発くらいで倒せるようになったんだ。15体くらいなら、ものの5分で終わるはず!




 ――結果、予想通り5分もかからずに討伐を終えた。流石に簡単すぎたなぁと思い思い、またもクエスト受付場に顔を出す。今度は受注じゃなくて完了報告だ。



「こんにちは。何のクエストを報告しますか?」

「プレイヤークエストの『初心者限定。タートルナット15体討伐』を報告で!」

「…………報告完了しました。報酬の受け取りは『報酬受取』からお願いします」


「お疲れ様っす! ここは報酬受取っす!」

「『初心者限定。タートルナット15体討伐』の報酬を下さい!」

「そのクエストの報酬はこちらになるっす! お疲れさまっした!」



 NPCにもそれぞれ性格があるんだなぁ。業務的なやり取りだけど、話していて少し楽しい。クエストをクリアしたことでプレイヤーレベルも上がったし満足だ。折角だから、貰った300Gで何か買えないか探してみよう。


 そうしてクエスト受付場を後にした時だった。チャット欄のすぐそばに、ビックリマークが付いた。これはさっきまでなかったと思うけど、何のマークなんだろう。チャット欄を上に開いてみると、左側に出てくる『世界』『PT』『ギルド』『個人』のチャット選択欄で『個人』にビックリマークが付いていた。


 個人チャットを選択すると、チャットをくれた相手は志摩という方。全く知らない人だけど……と思ったら、どうやらさっきのクエストの依頼主だったらしい。



「初めまして。クエストのクリアありがとうございます、依頼主の志摩と申します。もし宜しければ、冒険ご一緒しませんか?」



 随分と丁寧な方だ。しかし、初めて冒険に誘われるのはとてつもなく嬉しい。私なんかで良いのだろうかとも不安になりながらも、恐る恐るチャットを返した。



「初めまして、こちらこそありがとうございます! 私、ついさっき始めたばかりの初心者ですが、良いですか?」

「構いませんよ。僕の暇潰しに付き合うと思って、ぜひお願いします」



 そう返信がきた瞬間、パーティーの誘いが来たことを知らせるアイコンが表示された。それをタップして承諾する。サーバーと居場所を合わせると、初心者盛りの私とは正反対の、どことなくオーラのあるかっこいい志摩さんと合流することができた。


 黒いポンチョに黒いズボンと、その服装に映える、右目が隠された綺麗なボブの白髪。青いジト目の下にはうっすら隈があるように見える。首からはターコイズのような大きな宝石(?)のネックレスを下げていた。


 志摩さんのキャラをタップして詳細を確認してみる。恰好だけでなく、レベルも段違いだった。上級魔術師であり、プレイヤーレベルは……200!?



「あ、あの……志摩さんって、結構このゲームやっていらっしゃるんですか?」

「配信開始とほぼ同時に入れたので、もう6年くらい経ちます」



 ど、どおりでプレイヤーレベルが高いわけだ。ようやくレベル2になった私とは、段違いなんてものじゃない。やり方によっては、全然強くなくともプレイヤーレベルを上げることは可能だが、6年もやっているなら強さも計り知れない。



「天之川さんはいつ頃からこのゲームを始められたんですか?」

「私は今日です。2時間ほど前から……w」

「あぁ、本当についさっきなんですねw じゃあ、ダンジョンとかは行きました?」

「ええと、荒れ果てたダンジョンには何回か行ってきました!」

「なら折角のパーティですので、歪められた希望のダンジョンに行きましょう!」



 ……希望の無さそうな名前だなぁ……。





*歪んだ希望の地




 先行く志摩さんの後を追いかけて、遥からひとつマップ移動をした場所に来た。整備されていない石の地面が平坦に続くマップだ。しかし不気味なのが、闇みたいに黒い塔のような建物が、あちらこちらで沈んでいたり傾いていたりするところだ。そんな建物が多すぎて視界が悪い。ちょっと迷路みたいになっている。


 そんな地を迷いもなく進む志摩さん。初めて見るモンスターに時々目を向けながら、離れないようになんとか付いていく。奥のほうまで来て志摩さんが足を止めた。倒れかけた黒い建物に、囲まれるようにダンジョンがあった。



[歪められた希望のダンジョン(宝箱専用) Lv,13]



 私にはちょっとレベルが高い気もする。でも今更遠慮もできない。実際、挑んでみないとどのくらい難しいかは分からないし。「志摩がダンジョンに挑もうとしています」の通知に、私は準備完了を選択して、中に入った。

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