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1、暇潰しゲームを探して

作者初のファンタジーへの試みです。

矛盾した表現や、ありえない表現等あふれてしまうかもしれません。気付いた際には是非ご指摘くださると嬉しいです。


それでは、レッツ・プレイ。

 深くて重い溜息を吐く。帰ってきて早々、スーツから着替えずにベッドに倒れこんだ私は、全身の力が抜けていくのを感じる。


 やっと1週間が終わった。いつもと何も変わらない仕事量だったが、金曜日は全ての疲れに押し潰されそうな1日だ。参ってしまう。疲労感を吐き出すように、また深く溜息を吐くと、のそのそと、ポケットからスマホを取り出した。


 暇さえあればスマホを弄る。実際にはやらなくてはいけないことだらけなのだが、完全にスマホ依存の現代人と化していた。SNSのトレンドを追って、友人の発言にいいねを押して、することが無くなって画面を閉じる。そして数秒後には、同じような行動をする。



 本当は、ゲームがしたい。だけど前までやっていたものは気分じゃない。のんびりできて癒されて、ワクワクするような、そんなゲームがやりたい。でも気軽にできる暇潰し程度でいい。生憎、ゲームに熱中する余裕は持ち合わせていない。多分。


 暇潰し、おススメ、スマホゲーム。無闇に調べても気にいるゲームに出会った試しがないので、ネットで検索するところから始めた。様々なサイトが出てきたが、一番上、最新版と書かれたサイトを開く。


 つい先日やって飽きたゲーム。ごく平凡なパズルゲーム。タップ数で物語を進めるゲーム。見たことあるような、ないような、そんなゲームが次々と紹介されているが、いまいちピンと来ない。さっと下にスクロールを続けていく内に、やっぱりゲームはいいかな、と思いかけた時だった。



【のんびりしながらやりこみたい人必見! 史上最大の異色MMORPG!】



 MMORPGはここ最近、広告でよく見かける。広大なマップを自由に探索できるオンラインゲームだ。昔、超有名なRPGに、どハマりしていた私はこの紹介文に目をひかれた。


 これまで目にしてきたMMORPGのどれもが、壮大なストーリーだとか、何億通りのキャラデザだとか、そんなことを売りにしていたのに、なんだこれは。いやまぁ、これはサイトの作者が書いただけであって、偏見など含まれるかもしれない。だとしても、史上最大の異色、なんて普通言うのだろうか。


 スマホに入っているゲームストアで、紹介されていたゲーム名『R・アーリアオンライン』を検索してみた。私は初めて知ったゲームだけど、非常に多くの人がプレイしているようだ。約3万人が評価をつけていた。詳細説明から、公式によるゲームの説明を読んでみる。



『繊細で鮮明で壮大な景色をプレイできる! レベルによって強くなる機能もストーリーも装備ガチャも無い。やり込めばやり込むだけ強くなれる新実力型機能と、他には無いキャラクターパーツガチャで、いつでも自由自在なキャラクターで遊ぶことができる!


 どんなスマホゲームにも負けない超高解像度グラフィックで、本物のような第2の世界を冒険してみよう! 更にアップデートでスマホのMMORPG初、一人称視点に切り替えすることも可能になりました!』



 ……これだけで、確かに異色だということがヒシヒシと伝わる。ストーリーが無いMMORPGなんて聞いたことがない。私が疎いだけなのかもしれないけど、ストーリーが無いなんて、まず普通に考えられない。しかも、新実力型機能って訳が分からない。レベルによって強くならないなら、どうやってキャラクターは強くなるのか。


 純粋な興味もあった。けどそれよりもツッコみたいというか、知りたいことが多過ぎて、ついインストールボタンを押してしまった。どうせ飽きたら消せばいい。久しぶりにRPGに手を出すのも悪くないし、折角だから。


 MMORPGなだけあって、インストールにはそこそこ時間がかかりそうだった。その間に、少し回復した体力で着替えを済ませる。今更何を、という感じだが、スーツにシワが出来たら面倒になるからだ。


 同僚に誘われて晩御飯は食べた。お風呂も、今すぐ急いで入る必要はない。再びベッドに倒れ込んでスマホを両手で持つと、丁度インストールが終わった。



 青から水色にかけた綺麗なグラデーションで、ゲーム名が書かれているタイトル画面。後ろには、風で滑らかに揺れている草原が広がっている。画面をタップすると、一瞬でキャラクター作成画面に変わった。


 髪型、目の形と色、肌の色が選べる。各4種類で、随分と少ないように感じた。私が昔ハマってたゲームでも、もう少し選択肢あった気がする。でもキャラクターパーツガチャとやらがあるらしいし、それが本命として少ないのかもしれない。


 とりあえず、これに時間をかけるのはなんだか勿体ないので、パパッと決定する。ぱっちりした茶色のタレ目と、真ん中分けでポニーテールの黒髪。それから、白すぎず焦げすぎない健康的な肌の色にした。これから先おそらく変えることはあるだろうしと、適当にリアルに近いキャラクターを作ってみた。


 ボタンを押してキャラクター作成の確定をすると、次は職業選択だった。しかしこれも、少ないように思える。一般的な種類がどのくらいなのか分からないが、たったの5種類から選ぶしかなかった。


 騎士、重戦士、魔術師、狩人、盗賊。敵に攻撃するタイミングが上手く分からない私は近距離ができない。だから遠距離の魔術師か狩人か……、間合いや細かい動きが重要そうな盗賊は無しかな。



 結果、いろいろな魔法を使ってみたいので、魔術師を選んだ。名前は本名の天野沙希から取って、天之川で決定。ようやくゲームが始められそうだ。

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