無駄な争いはやめよう
初の評価をいただきました!滅茶苦茶嬉しいです……!!
閲覧してくださる方も、本当にありがとうございます!
今はね、さっき……よりも前回?居たところから、北に少し行ったところにある島に来てるよ。
ここは南国にあたる島でね。咲いている花や住んでいる生き物が、華やかで明るいのが特徴。
何かおめでたい事があったときは、ここにしか咲かない花を花束にして送ることが多い。
それぐらい平和で綺麗な島なんだ~。君たちの世界もそうなのかな?
私はこの島も好きだよ。知り合いもいるし、なにより純粋に美しいからね。
紹介はここまでにしておいて、本題に入ろうか。
今回の神頼みはね、調査って言っていただろう?
その依頼主、まさかの“この島”だったんだ。幾ら私でも、少しの間文を読み返したよ。
何千年と神頼み聞いてきてこれが初めてなんだ。島自体からお願いされたのは。
かなり驚きつつも話を聞いてみたのね、そしたら
『私の周りに住む“海の者”達が、意味もなく魚達を狩っていて見てられない』とのこと。
それは一刻も早く止めないとね。分かった、任せなさい!
と伝えて、早速浜辺に居る。
今から海の様子を見る為に潜るよ。その狩りが行われていたのは、あまり深くない所らしいから、すぐに見つかるでしょう。
するりと身体を海に入れ、流れるように潜っていく。
うーん暖かいね。海から上がっても、風邪をひかないであろう暖かさ。
本当はのんびり泳いでたいけど、ハク達に見られて説教されるのも嫌だからな。早く探して一旦戻ろう。
結構深いところまできて違和感を覚える。
魚達がいない。浅瀬のほうでは沢山泳いでたのに。
思った以上に深刻なのかも知れないな。このまま生態系でも壊されてしまったら、私も然るべき罰を与えなければならなくなる。
出来る限り、罰とかは考えたくない。全くもって美しくないだろう。
そうはさせない、と決めた私のもとに島から言葉が届く。
『オゼ様、たった今、狩りが始まってしまいました』
そう聞こえると同時に、血の匂いが漂ってくる。
これはいい位置の知らせだ。視界がより一層クリアになったよ。
ああ、まだ言ってなかったね。私達創造神は、最初に生まれた獣でもあるから、少々野性味が強いものも居るんだ。
そもそも、本来の姿が人間ではないことを考えると、当たり前と言えば当たり前なんだが。
では何故人間の姿を取るのか、については、もう少し後でね。
話していない事と一緒に話すよ。
グンとスピードを上げて少し上に向かい、匂いを辿っていくと……あー、鮫の魚人の群れだね、三体いる。
“海底の国”の子達では無いか。ちょっと疑ったんだけど。
国の子なら、国に送り返して彼等流の償いをしてもらう。
しかし、国の子じゃない場合はどうしたら一番いいのか。
……神からのお説教だな。シンプルでいいだろう。
今にも鮫の子達の持つ槍に突かれそうだった魚達を、波で呼び寄せ逃がす。
視線を戻せば、鮫の子達からの鋭い視線が刺さった。そんな怖い顔しないの。
「君たち何やってるんだね。意味もなく命を奪うのは大罪だと__おっと?」
物凄いスピードで向かってきたと思ったら、槍で貫こうとしてきたよ。
おや、神に牙を剥くのかい?いいの?後悔しないか?
頭の中で問うてる内に攻撃してきたので、後悔はしないと見なすよ。
私はニンマリと口元を歪めると、もう一度私に向けられた槍を軽く握って壊す。
簡単に壊されたのを見て、流石に驚いたようだった。
目をパチリと閉じてるうちに、他の二体の槍も指で触って壊しておいて、海面との距離を測る。
ハッと我に返った鮫の子が、咄嗟に繰り出してきたパンチを受け止めて、海面上へ投げ飛ばした。
後の二体も波で押し上げ、海面上へ飛ばし、落ちてきたところに衝撃波。
おおー見事に吹っ飛んでくれたね。
島の浜辺まで飛んでしまったから、浜辺にぶつからないように受け止めて降ろす。
三体ともキョトンとした顔を浮かべているよ。
「もう、いいかい?」
にっこり微笑んでそういうと、鮫の子たちは一斉に
「申し訳ございませんでした!!」
と頭を下げた。
…………あれ?
何故謝るの?あれ?君達、今になってからどうしてそんな?
「急に……何故だかわかりませんが、こう、目に映るものを破壊したくなるといいますか……」
「それで私を攻撃してきたと?」
「……言い訳のように聞こえるかもしれませんが、オゼ様だとわかりませんでした。
目の前が霞むのです、動いているのは見えるのですがしっかりとは見えない。
そして……その動くものに、破壊衝動を覚えるのです……」
ほほう?なんだかよくわからないが、不思議な現象だな。
どうしてそれが急に解けたのかも謎だね。
これは皆と話しておいたほうが良さそうだ。あとは他にもそんなことが起きないか、見ておいてもらおう。
ゼンかシダなら分かるかもしれないし。
「……にしてもだよ、君達の手で、無意味に命を奪ってしまったのは事実だ。それは変えられない」
この世界では、命を奪った者は、地獄に行くか私達の空間で働くか、のどちらかとなる決まりだ。
余程の事がない限り、この決まりからは逃げられない。
今回の件は少し気になるし、ゼンとシダに情報を与えてほしいのもあるから……私達の所だな。
「君達三人には、私達の空間に来てもらう。情報もできるだけ欲しいし」
三人は私に深く頭を下げた。
破壊衝動ね~。それも抑えられないもの。あと、急に膨れ上がって急に解けたのが気になる。
聞いた事がないし、見た事も勿論ない。
ここにきて、新たな“何か”が発見されるかもしれないということ。
先ずは三人を連れて帰りますか、他の奴も帰ってきてるだろうし。
この島へ、知っているとは思うが『安心していいぞ~』と声をかけておき、私は鮫の子達を浮かせて空間への扉を開けた。