次週の火曜ワイド劇場は……?!
「怖くなって、頭がパニックになりました。すぐに警察に行くことも考えましたが、それも怖くてできませんでした……」
富樫麻衣子は両手で顔を覆い、しばらく黙り込んだ。
「主人を解放してあげてください、あの人は悪い人じゃありません。私が……」
聡介は震える彼女の肩をぽんぽんと叩くと、和泉に車を出すよう目で合図した。
いつだってそうだが捜査本部が解散する時には解放感と疲労感、そして寂寥感が漂う。
事件解決おめでとう、の意で刑事達は昼間から一升瓶を空けて紙コップに日本酒を注いで回る。
「高岡警部、お疲れ様でした!」
白うさぎは頬を紅潮させて、聡介の紙コップに日本酒を注ごうとした。
が、彼はやんわりとそれを拒む。
「すまん、俺はアルコールがダメなんだ」
そうなんですか……と、白うさぎは残念そうな顔をした。
「うさこちゃん、ちょうだい」
和泉が手を伸ばすと、
「私、ホステスじゃありません」彼女はツンとそっぽを向く。
「……あのね、君が女の子だから言ってる訳じゃないの。新人だから言ってるんだよ」
本当かしら? という顔でそれでも白うさぎは和泉のコップに日本酒を注いだ。
それから、
「今回は本当に、いろいろ勉強になりました!!いつかきっと捜査1課にきて、高岡警部の下で働きたいです!!」
「ああ、待ってるぞ」
笑顔でぽんぽん、と聡介に頭を撫でられた新人女性刑事は、顔を真っ赤にしたかと思うと次の瞬間には気を失って後ろに倒れた。
「おい、うさこ?!」
聡介はまったく知らない。
若い女性が男性にされて嬉しい仕草ナンバーワンが、頭をぽんぽんと撫でられることだなんて。
彼女がどこにも頭をぶつけずに済んだのは、すぐ後ろにいた駿河が抱き止めてくれたからだった。
相変わらず無表情な若い刑事は黙って彼女を椅子に座らせて、すぐに飲むのをやめた。
「今回はお前のおかげで、だいぶ捜査が進展した。よくやったな」
と、聡介は三枝に声をかけた。
彼がいなければ、被害者の同僚達から詳しい話をなかなか聞くことができなかっただろう。石油王子はにこっと笑った。
「なんとかとハサミは使いようってね……」
和泉と友永がハモってそう言った。
二人の刑事は顔を見合わせ、そうして互いにそっぽを向いた。
初めは問題児だらけのメンバーが集まった班のように思えたが、確かに使い方によっては県警内『最強』になれるかもしれない。『最凶』かもしれないが。
1人1人の良い部分を最大限に引き伸ばすように部下達を扱っていこう。
ただ、なんだか出来の悪い息子が1人から4人に増えた父親の気分だ。
これから頭痛や胃痛の原因が増えるのだろうか?
そう考えたら自然と溜め息が零れた。
お読みいただいて、まことにありがとうございました!!




