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意外にミーハー

 被害者の所属していたタレント事務所に到着した聡介はふと、和泉が聞き込みに行くならここがいいと言っていたことを思い出した。

 あの息子は意外にミーハーなのだ。

 

 受付にいた若い女性に手帳を見せてしばらく待たされた後、事務所の責任者だという中年男性が姿をあらわした。

 一見したところどこかの組員かと思ってしまった。

 それというのも角刈りにした頭といい、薄いサングラスといい、白いジャケットに黒いシャツという出で立ちで、先の尖ったエナメルの靴を履いていたからだ。

「警察です。お話を……」

「あらぁ、本物の刑事さん?! ドラマに出てくる刑事みたいに本物もカッコいいのね」

 外見とは裏腹に口を開いたらオネェだった。

「ミヤちゃんのことでしょ? 何でも聞いて。さ、こっち」

 歩き方もクネクネしていて、後ろからその姿を見ていて聡介は胃の辺りがずーんと思くなるのを感じた。

「どーも、私、この事務所の所長をやってます、佐山っていいます」

 名刺を出されたので、聡介と駿河も自分の名刺を差し出す。

「あらぁ、刑事さんも名刺持ってるのね。へぇ、県警捜査1課ってことはエリートなんでしょう? 素敵!!」

 素敵かどうかはさておき、一刻も早く用件に入ろう。


「川辺都さんのことですが……」

「ミヤちゃんねぇ、おしかったわぁ。元の顔はどうってことないんだけど、愛嬌があって、なんていうか覚えやすいのよ。本人は元々女優になりたかったらしくて、一度東京に出たものの、芽が出なくて地元にカンバックしたってわけ。ねぇ、そうよね? マユちゃん」

 応接セットにコーヒーを運んできてくれたのは、さきほど事務所の入り口のところで応対してくれた若い女性だった。


 マユちゃんと呼ばれた女性ははい、とだけ答えた。

「彼女、ミヤちゃんとは同期でねぇ。うちの専属モデルなの」

 モデルと聞いて納得した。確かにスラリとスタイルがよく、顔立ちも整っている。

「でもねぇ、なかなか定期的な仕事もなくてね。こうしてうちの事務員もやってくれてる訳なの。どう、刑事さん、この子を今度の交通安全ポスターか何かに使ってやってもらえないかしら?」

「それは、我々ではわかりませんので……それよりも」

「そうそう、ミヤちゃんのことよね。彼女に特別親しくしてた男はいなかったかってことでしょ? いたいた、詳しいことは知らないけど確実にいたわ。それもどうやら、不倫だったみたいでね」

 オネェな所長は口元をごつい手で隠しながら、ひそひそとそう答えた。

「なぜ、不倫だと思ったのですか?」


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