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捜査本部=帳場:1

 捜査本部が佐伯南署に置かれ、日中聞き込みに回った刑事達は3階の会議室に集まってその成果を報告し合った。

 被害者の川辺都には、深い関係にある男性がいたようだ。

 彼女のマンションに出入りする姿を、同じマンションの住民に何度も目撃されている。

 ただ、人目を忍ぶ中のようで、男はいつも帽子やマスクで顔を隠し、俯き加減に歩いていたという。

 石原警部補の読みは一部当たっていたと考えられる。

 痴情のもつれ。

 別れ話がもつれてカッとなり、そんなつもりはなくても殺害に至ってしまう。よくある話だ。

 捜査本部を指揮する管理官、小西警視はまずその男の身元を明らかにするよう命じた。

 それから捜査員の組み合わせが決められる。

 聡介のような管理職の人間は捜査本部に詰めて、捜査員達が集めてきた情報を精査し、今後の捜査方針を計画するのが普通だ。


 しかし聡介は自分の部下達に関して、ものすごく不安があった。

 所轄の刑事達に迷惑をかけてはいけない。そこで彼は自ら立って管理官の元へ行った。

「あんたが自分で聞き込みに回るっていうのか?」小西警視は呆れた顔で言った。「管理職なんじゃけん、そんなのは部下に任せておけばええじゃろう」

「……その部下に任せるのが不安なんです……」

 すると管理官は腹の上で両手を組み、椅子の背もたれを倒した。

「ふーん、まぁあんたがそう言うんなら、好きにすりゃええよ」


 聞き込みは必ず二人一組のペアで行われる。

 捜査1課の刑事と所轄の刑事が組むのが一般的だ。その組み合わせを決めるのも管理者の仕事である。

 佐伯南署刑事課長の永井警部と聡介は、誰と誰を組ませるかの話し合いをするために額を突き合わせていた。


 とりあえず友永には三枝の面倒を見させる。

 日下部は取り敢えず誰とでもいいだろう。駿河も問題はない。


 一番の問題は和泉だ。組んだ相手が気に入らないと、途端に独りで勝手な行動をとりはじめる。

 過去に何度かそういう事例があって、いつしか彼のことは県警内で少なからず有名になりつつあった。


 後で和泉から理由を訊ねるともっともな理由はあるのだが、なんといっても事件捜査で一番大切なのはチームワークだと思っている。

 中には手柄を自分のものにしたくて大切な情報を共有したがらない刑事もいるが、聡介はその考えが好きではなかった。

 刑事達が一丸となって解決を図ることが、市民の公僕である警察官の仕事なのではないか。所詮は理想であり綺麗事に過ぎないのかもしれないけれど。


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