表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白馬と姫  作者: カーネーション


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/144

第51話『開けろ』

 口はあるし、かたちから見ても、人間だとは思う。だけど、こんな夜遅くに何の用なんだろう?


 戸惑っている間にも目の前の唇が動いた。でも、相手の口パクは、言葉を知らないわたしには伝わらない。


 窓ガラスに穴が開くんじゃないかというくらい観察してみたけど、全然意味が入ってこない。


――何?


 しばらく見ていたら、白く骨ばった人差し指が窓に移った。数回弾いたとき、「窓を開けろ」と言っているのだと、ようやく伝わった。


 クラウスさんやエリエ、マリアさんからも窓は開けるなと言われてきた。いつもなら絶対に逆らったりしないのに、逃げたいという気持ちがそうさせたのか、自分でもわからない。


 両窓を押し開けた。風が吹いて涙で濡れた頬が冷たくなる。部屋をおぼろに照らしていたろうそくの明かりが煙となって消える。


「あなた、誰なの?」


 見上げないといけないくらい背が高い。彼はわたしとの距離をつめたかと思うと、フードをはぎとった。


「サディアス?」


 眼鏡がなくて、一瞬、誰だかわからなかった。ただ、薄暗いなかでも不機嫌そうにひそめた眉と瞳でサディアスだとわかった。


「相変わらず、ひどい顔だ」


「し、失礼ねっ」


 やっぱり、サディアスだ。神子に対して配慮のない口調も、人を小バカにした冷たい目も一緒。涙の跡を手探りで拭いてみたけど、ひりひりするだけでひどい顔は変わらないかもしれない。


「で、何の用? 遊びに来たわけでもないでしょ?」


「まあな。お前に聞きたいことがあって来た」


 めずらしいこともあるんだ。教えたがりのサディアスがわたしに教えをこいたくて、わざわざ現れたなんて、かなり面白い。顔がゆるみそうだったのに、当のサディアスは真剣な顔になるから、わたしも顔を引き締めなくてはならなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ