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白馬と姫  作者: カーネーション


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第19話『似ている』

 ジルベール様はサディアスに向かって説教をしたけど、当の本人は平気そうな顔をしていた。


 何でこんなやつが教師なの? クラウスさんを見たら、わたしの気持ちを察してくれたみたい。


「サディアスはこんな男ですが、我が国に関する知識を、どこの誰よりも持ち合わせています」


「そーですか」


 知識はあっても、友達とか彼女とかいない気がする。


 まさか、そういうところがわたしに似ているって言うの? ニーナさんは嫌味みたいに言っていたけど、全然、似てない。わたしは敬語とか使えるし鼻で笑ったりしない。


 考えているそばからサディアスは鼻で笑った。


「俺に教えてもらいたかったら、そちらから勝手に来い。ほとんどの時間は城の自室にいる。あと、朝だけは来るな。その時間、俺は寝ている。わかったな」


 「うなずかないとただじゃおかないからな」みたいな顔をしてくるから、仕方なく顎を下ろす。これで満足でしょう。


「話は済んだ。俺は忙しいので失礼」


 サディアスは言いたいことだけ言って、花のアーチの下をくぐっていった。


 ほら、こんな態度。わたしとどこが似ているの? ニーナさんの様子を見たら、彼女は眉毛をつり上げていた。めちゃくちゃ怒っているみたい。


「お兄様がお優しいからって、サディアスのあの態度は何なの!」


「ニーナ。サディアスはあれでいいんだ。彼の知識は多いに役立っている。それに彼は不器用なんだ。本当に嫌ならこんな場所にもやってこないだろう。つまりはミャーコに会ってみたかったんだろう」


 会ってみたかったわりにはひどい態度だったけど。


「お兄様ったら本当にお優しいんだから」


 ニーナさんはうっとりとジルベール様を見つめる。しかも、顎の近くで両手を握っている姿は、ぶりっこのようだった。それでも、ニーナさんは可愛らしいから許されるんだろうな。


 兄と妹が仲良く見つめあっている中で、わたしは何だか、朝からとても疲れた。


 ニーナさん的にはいやしいかもしれないけど、わたしは食後のお茶を思い切り飲み干した。


 用が済んだなら、神子の部屋に戻りたい。レーコさんの日記を読みたいかも。


 そう思ったら、カップに吹きかかるくらいのため息が出た。


「ミヤコ様、お疲れですか?」


「ええ、少し」


「ジルベール様、ミヤコ様がお疲れのようなので、これにて失礼いたします」


 クラウスさんはジルベール様とニーナさんにそう言うと、わたしににっこり笑ってくれた。


 「し、失礼します」と国王様にあいさつをして、椅子から立ち上がる。クラウスさんは優しくわたしの手を取り、中庭から連れ出してくれたの。

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