表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白馬と姫  作者: カーネーション


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/144

第18話『失礼な教師』

 もやもやは晴れないけど、「ミャーコ」と呼ばれて顔を上げた。


「これからについて、ちゃんと話しておきたいのだが、いいかな?」


 ジルベール様はわざわざ聞いてくる。きっと、昨日の態度が悪かったからかもしれない。やっぱり気をつかわせているんだ。それが嫌だから、大きくうなずくことにした。


「きみにはまず正式に神子となる儀式を受けてもらう。それまでは30夜あるから、その間にこの国について学んでほしいんだ」


「30夜って何ですか?」


「こちらでは日を数えるときに夜を使うのです」


 クラウスさんが教えてくれる。そうなんだ。ということは「30日後」に神子の儀式は行われる。あれ? でも何で、クラウスさんはニホンの日の数え方を知っているのかな?


 その疑問をたずねる前に、ジルベール様が「さすがにクラウスは異世界のニホンについてよく知っているね」と称えた。なるほど、だから知ってたんだ。


「ミャーコ、クラウスはニホンが好きなんだ。きみも協力してあげてほしい」


「は、はい。わたしなんかで良ければ」


「ありがとうございます」


 クラウスさんはにっこりと笑みを浮かべてくれる。


「それで、きみに紹介したい人がいる。サディアス」


 ジルベール様が呼びかけると、花のアーチをくぐり抜けて、こちらへと歩いてくる男の子の姿が見えた。


 丸眼鏡をかけた無愛想な顔。赤い髪の毛はクセがあって、跳ね上がっている。ひょろりと高い背は姿勢が悪く少し曲がってしまっている。


「彼はサディアス・クロス。きみの教師だ」


 えっ? 教師なの? たぶんわたしと年齢は違わないんじゃないかな。首を傾げて眼鏡の奥を見ていたら、強い眼光でにらみつけられた。ニーナさんとは別の意味で怖い。


「……教えたくはないが、国王の命令なら仕方ない。俺は神子だとしても手加減はしないからな」


 サディアスがはじめて放った言葉に、わたしはただ見つめるしかできなかった。信じられない。初対面の相手にそんなことを言うのは何で? 横からニーナさんの上品に笑う声がした。


「サディアス。あなたのことはこれっぽっちも好きではないけれど、その姿勢はまあまあ素敵ですわ」


「俺もお姫様のことは好きじゃない。誉められても嬉しくないしな」


「何よ! わたしに誉められるのは名誉なことなのよ! 本当にあなたってバカ! ミャーコと一緒よ!」


 ニーナさんが相手でも失礼な態度をする。こんなやつと一緒にしないでほしい。絶対に違うんだから。


 わたしはよろしくなんて嫌だけど、一応、「よろしくお願いします」と頭を下げた。それにサディアスは「ふん」と鼻で笑った。


 やっぱり頭なんか下げなきゃ良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ