表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白馬と姫  作者: カーネーション


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/144

第16話『朝の中庭』

 今回は謁見の間ではなく、お城の中庭で国王様とお会いすることになった。小鳥のさえずりに誘われて花のアーチの下をくぐる。


 その先を見つめたら、神子の部屋の壁にも描かれていた花が実際のお庭にも咲き匂っていたの。とんがった赤い花弁にたくわえられた水滴は、跳ねるように地面に落ちていった。


 白いクロスをかけたテーブルの上には、すでにお茶の用意がされている。


 ニーナさんと国王様は席に着いていて、にこやかに言葉を交わしていた。


 今日のニーナさんは淡いピンク色のドレスを着て、頭にも同じ色のリボンを身につけていた。ニーナさんがこちらに顔を向けると、リボンのフリルが可愛く揺れる。


「あら、ミャーコ、ご気分はいかが。今日はずいぶんとマシな格好をしているわね。昨日はひどかったわよ。あんな小さい生地で、旅の踊り子かと思ったわ。クラウスもお元気そうね」


「踊り子?」


 踊り子ってダンサーってこと? 首を傾げたらニーナさんに鼻で笑われてしまった。


「頭の悪さは相変わらずね」


「ニーナ」


 ジルベール様の一声でニーナさんは赤い唇を噛み締めた。やっぱりお兄様には逆らえないみたい。


「ミャーコ。今日は大人っぽいね。淡い青のドレスがよく似合っているよ」


「あ、ありがとうございます」


 ジルベール様はさらっと誉め言葉を言ってくれる。背中がかゆくなるくらい恥ずかしくて、頬が熱くなる。


 でも、突き刺すような視線を感じて、頬の熱がみるみるうちにひいていくのがわかった。視線の先にはもちろん、ニーナさんがいる。怖い。


「さあ、立ち話は疲れるだろうから、座って」


 国王様が直々に椅子を引いてくれる。ジルベール様と向かい合うように座った。クラウスさんは「失礼します」と言って、わたしの横に腰を落ち着かせた。


「紅茶はお好きかな?」


「は、はい、大丈夫です」


 ジルベール様からの何でもない質問にも緊張してしまう。お茶会なんてはじめてだし。


 わたしの前にティーカップが置かれる。アイボリー色のカップの取っ手には金色の装飾がほどこされている。


 指で触れるのも申し訳ないくらい。お茶を一口すするまでに相当な時間がかかってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ