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白馬と姫  作者: カーネーション


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第117話『3日後の訪問者』

 ――いつまでこうして大人しくいればいいのか。椅子に腰かけて、ぼんやりと考える。


 塔に幽閉されてから、すでに3日が経過している。その間にもエリエが食事や着替えの世話に通ってくれたから、日数は当たっているはずだ。


 「わたしは神子じゃないんだから」と言ってから、エリエとは気まずい雰囲気のままになっていた。


 情報を聞き出そうとは思っても、「神子様」と呼ばれると、話なんてしたくないと意地になってしまう自分がいる。そのため、残念なことに外からの情報を得られなかった。


 あとはルルさんだけど、これがまったくわからない。以前、ジュリアさんはルルさんが何らかの準備をしていると言っていた。でも、その準備が何なのか、明らかになっていないし、調べようもない。せめて、エリエと話せれば違うと思うけど、できるかどうか。


 なんてことを考えていたら、訪問者がやってきた。お昼にはまだ早いけど、エリエかなと思う。今度こそ話してみようと決意していたら、扉が開いた先にいたのは予想と違う人たちだった。


 マリアさんとフードで顔を隠した人のふたり。フードで顔を隠した人は、扉の前を守る騎士に「あなたたちはもういいわ」と告げる。


 だけど、団長のガストンさんの命令が軽いわけがない。


「しかし、そういったわけには」


 騎士が渋るのは当たり前の反応だと思う。それでもフードの人の強気な態度は変わらなかった。


「わたしが全責任を負うわ」


 フードの人の一声にどういった権限があるのか、あれだけ渋っていた騎士ふたりは声に負けて扉の前を離れてしまった。そして、わたしはこの強気な態度をとる人物が何となくわかった気がした。


「なんてお間抜けな顔をしているのかしら?」


「ニーナさん」


 わたしを嫌い、ののしることが大好きなニーナさんが立っているのが信じられない。ニーナさんがフードを落とせば、黒く長い髪が肩に流れた。珍しく、黒髪をアップしていないし、メイクもしていない気がする。


 今日は地味めなニーナさんが部屋に入ると、後ろに控えていたマリアさんが扉を閉めた。マリアさんだけなら飛びついて喜んで見せるのに、ニーナさんがいるからそうもいかない。


 仕方なく、わたしは椅子から腰を上げて席をゆずった。この部屋には椅子が1つしかないのでゆずってはみたものの、「いらないわ」と一蹴されてしまった。

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