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現代→古代  作者: 一理
アッシリアのようで
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番外『イナンナの冥府下り』

本編とは関係ない話なので、読まなくとも大丈夫な息抜き。

 愛と豊穣……そして金星の神である女神イナンナはある日、姉であり、冥界の女王であるエレシュ・キ・ガルの権力をいただくため突如冥界に行くことを思い立った。

 イナンナは王冠や首飾りや腕輪などの装身具で身を飾り、召使の女神ニンシュブルを呼び寄せて、神々を訪ねて回り、イナンナが冥界で酷い目に遭ったり、殺されたりする事がないように助けを乞うようにと命じて行きました。

 そうして冥界に下ったイナンナは冥界の門番ネティと押し問答をした後、姉のエレシュ・キ・ガルの許しをようやく得て、七つの門をくぐって進んでいきました。

 第一の門では頭を飾る「大王冠」を。

 第二の門では「耳飾り」を。

 第三の門では「首飾り」を。

 第四の門では「胸飾り」を。

 第五の門では「誕生石をあしらった腰帯」を。

 第六の門では「腕輪」と「足輪」を。

 そして第七の門では立派な「衣服」を。

 このように門を一つ通るたびにイナンナは王冠・首飾りなど装身具を次々と取り上げられ、七つ目の門をくぐる時には衣服まで召し上げられて全裸にされてしまいました。イナンナは不服を言うも、それが冥界の掟であったので仕方なく受け入れました。

 イナンナは全裸のまま冥界の宮殿に連れて行かれ死者の女王姉と再会します。

 女王エレシュ・キ・ガルは、冥界の神々の控える裁きの庭で、生者と死者の境界を越境したイナンナに有罪の宣告を下しました。

 そうして女王は冷たい目を向け、死の判決を言い渡した途端に、イナンナの魂は飛び去り、その場に倒れました。

魂のない死体は、やがて無慈悲にも釘にかけられました。

 三日三晩経った頃、召使のニンシュブルは言い付けどおりに神々を訪ねて回り、主人のイナンナが冥界に行った事を告げ、援助を求めました。

 ところがどの神々もイナンナの勝手な振る舞いをなじり、訴えに耳を貸そうとしません。最後に彼女はエリドゥのエンキ神を訪ねると、幸いにもイナンナの運命を心配し、爪の垢でクルガルラとガラトゥルという二人の人物を造り、クルガルラには生命の食物を、ガラトゥルには生命の水を与え、冥界に赴き、これで病に苦しむエレシュ・キ・ガルを癒し、その礼として与えられるものを断り、釘にぶら下がっているイナンナの死体を貰い受けるように命じました。

 さらにそれに生命の食物と生命の水を振り掛ければ、イナンナは生き返るだろうと教えてくれました。

 言いつけを守り、このようにしてイナンナは蘇生し、地上に戻る事になったのですが、そのためには身代わりを差し出さねばならない事になったのです。

そこでイナンナは代わりの者を差し出す事を約束し、受取役の精霊ガルラ達を伴って地上に上がって行きました。

 精霊達はイナンナの姿を見て喜ぶ喪服姿の召使ニンシュブルを身代わりとして冥界に連れて行こうとしますが、イナンナはこれを拒みます。

 次いでガルラ達は、同じく喪服姿でイナンナの死を悲しんでいたシャラ神やラタラク神を身代わりにしようとしますが、イナンナは彼等の忠誠を誉めて精霊達の要求を拒みました。

 拒み続けられ最後に精霊達は、イナンナの夫である若い牧神のドゥムジの許に赴きました。

 イナンナの従者たちは皆イナンナの死を悲しんでいたというのに、夫であるドゥムジは喪服もつけず、一向に哀悼の態度を示そうとしません。

 その姿を見たイナンナは怒り狂い、ドゥムジを冥界に連れて行けと精霊達に告げました。

 ガルラ達は彼に飛び掛り捕えましたが、ドゥムジは恐れおののき当然の如く冥界を拒み、イナンナの兄である太陽神ウトゥに助けを求めました。

兄ウトゥはドゥムジを哀れみ、その懇願を受け入れて彼を蛇に変えて逃がしてやりましたが、精霊達の追及は激しく、「羊小屋」に隠れていたところを捕えられ、ついに冥界に連れ去られてしまいました。

 結局ドゥムジは一年の半分を冥界で過ごすことになり、なんのとばっちりか残り半分はドゥムジの姉ゲシュティアンナが冥界暮らしをするように、と取り決められたのでありました。

 



 

 『イナンナの冥府下り』より

イシュタル冥府下りと似たり寄ったり

イナンナ=イシュタル(?)同一視されているメソポタミアの女神

どちらにしても最高位

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