一周年記念『ポッキー・ゲーム』
※ 本編とは一切関係ない、お遊び話です。苦手な人は戻ることをお勧めします。
ハロウィンネタと似たような、暴走気味がきっと含まれているでしょう。
めずらしく甘々だよ!!
「紀伊さん!」
「お前の声から始まることは、すべてのことが最悪なことである。ゲスイ女神の七菜さんなんですか」
「超嫌われてて笑えるー」
ひきつった笑顔をどうもありがとう。
「そんなことより、今日は何の日だー!」
「今日?」
11月11日
カオルは首を傾げた。
「どれだろう」
(どれだろう……?)
カオルの言葉に七菜が耳を疑った。気持ちが顔に出ていたのかカオルは知らないの? と小ばかにした顔を見せた。
「いただきますの日だろ? ピーナッツの日だろ? 麺の日だろ? 介護の日だろ? きりたんぽの日だろ? 聖マルティヌスの日だろ? ポーランドとアンゴラの独立記念……」
「もういいでーす! 違いまーす!! っていうかよく外国の日まで覚えてるね!!」
手をふって話をおらなくてもいいのに
(わりと、こんなどうでもいいことはすぐ覚えれます)
しかし、とカオルは首を傾げた。
「じゃあ何? お前の誕生日?」
「違うよ!」
七菜は気を取り直して、とポケットから何か取り出した。
「ポッキー! だよ」
「Pockyだ。おいしいよね。……でもなんでイチゴ味」
ここは王道のチョコ味だろJK
「ポッキーゲームをするためだよ!!」
「なるほど。何それ」
七菜は信じられないものを見るような目で見た。
「知らないの?」
「食べ物は食べるものだろ」
イチゴ味のポッキーを食べながら答えれば、手に持っていたポッキーを奪われた。
「いい? ポッキーゲームってのはね」
ポッキーなどのスティック状のスナック菓子を用いたパーティゲームのひとつ。2人がポッキーの両端をくわえて同時に食べ進むゲームであり、合コンや酒宴で行われることが多い。また、恋人同士が行う遊びとしても有名である。
ポッキーゲームに明確なルールは存在しないが、一般に遊ばれているルールを総合すると、次のようなものになる。
2人で行う場合 2人が向かいあい、1本のポッキーの端を互いに食べ進んでいき、先に口を離したほうが負けとなる。お互いが口を離さずに食べきった場合、その2人はキスをすることになる。
複数人で行う場合 2人組みのチームに分かれ、目をつぶって上記のルールで行う。終了時のポッキーの長さが、最も短いチームが勝ちとなる。途中で折れた場合や、唇が触れた場合は負けとなる。
byウィキペディア
「じゃがりこでもいいわけだ」
「それでもいいけど、甘くないじゃん!?」
「じゃあ博多の女バームスティックでいいじゃん」
「味の甘いじゃないの!!」
首を掴んで叫ばなくてもいいじゃないか。
「そういうの、求めてないので」
「私は求めてるの!」
「じゃあ皇子としてきなよ」
というと、目に見えて七菜のテンションが下がった。
「やろうとしたよ? そうしたら『お前はバカかもしくは子どもか』って一蹴されちゃった」
「酷いね」
「でしょ!?」
「両方なのにな」
「紀伊さん!?」
涙目で肩を揺らすなよ~。
「だからね、みんなでしよ」
イルタもルシアも連れてきたんだって誇らしげにいってるけど、二人ともきょとんとしている。
きっとなんで連れてこられたのか分かってないんだろうな。
「おいカオル。お前ここでなにしてんだよ」
「お昼寝」
ロスタムとナサ一家もぞろぞろ集まった。
お昼寝しようと木の下でまどろんでいた数時間の私に戻らないかなぁ
「説明は聞いたわよ」
シーリーンが腰に手を当て、にやりと笑った。
「こういうのは恋人どうしでやらないとね」
「そうですね」
カオルは頷いた。
「じゃあアクバルさんとマミトゥさんどうぞ」
イチゴ味ですが。
後ろで七菜とシーリーンがずっこけるのが見えた。
「違うでしょ! 夫婦だから恋人じゃないわよ!!」
「いいじゃないですか。そういう遊びですよね」
照れるわね~。といいながらスタンバイしているマミトゥさん。行動派ですね
「喰えばいいんだな」
アクバルさんはマミトゥさんの咥えているポッキーの先っちょを咥えた。
「……ドキドキする」
ぽっと頬を染めるカオルにロスタムはそうか? と、わりとどうでもよさそうに返した。
しばらく無言ぽりぽり食べていると、唇が近くなった。
「……」
二人とも止まっている。
こういうのは外野がはやし立てるものじゃないのだろうか。ルールをしらない外野は黙って眺めている。
発案者にいたってはワクテカと呟きながら息を荒げながら見ている。
うん、不審者っぽい。
アクバルさんがちらっとこっちを見た。
「?」
カオルは首を傾げていると、シーリーンが「後ろ見ましょうね」といい、ホマーの目を手で隠しながら後ろを振り向いた。
あぁ、察し。
しばらくたって後ろを見ればハートを飛ばしているマミトゥさんが見えた。いつまでも可愛い人だ。
ホマーがポッキーを手にカオルの手を引っ張った。
「やろーやろー」
「いいですよ?」
「俺もやりたい! 俺も混ぜて!! できれば美女相手で」
どこから嗅ぎつけてきたのかハニシュが現れた。
「散れ!」
ロスタムにとび蹴りされていた。みごとなタイミングだった。good!
「カオルちゃん、カオルちゃん」
聞きなれた声。振り返るとスタンバっているアリーが居た。いつポッキー盗ったんだ。
「かもーん」
怒鳴ろうとしたロスタムを片手で諌め、カオルはにっこり微笑んだ。
「いいよ。アリーも混ざりなよ」
「まじで!?」
「ちょうどやりたがってる奴いるし。ね? ハニシュ」
「え?」
ハニシュの肩と頭を掴んでアリーの咥えていたポッキーを咥えさせた。
「「!?」」
「ちなみに食べ物無駄にしたら……ラウェイな」
「「!!!」」
カオルはしゃがんでといわれ、ホマーの高さに合わせると「はい」っと口にポッキーを入れられた。
「はい、落としちゃだめだよ?」
ホマーはてててと離れていき、ロスタムの手をひいた。
「はい、お兄ちゃん咥えて!」
「!」
シーリーンがなるほどねとニヤニヤ笑う。
「偉いねホマー。ほら、兄さん据え膳喰わずばってね」
サイードに背中を押されるが、顔を真っ赤にしたロスタムは首を振った。
「で、できるわけねーだろ! だ、誰がこんな、幼稚なこと、するか!!」
「……」
カオルはとんとん、とロスタムの肩を叩いた。
「な、なんだよ」
「ん」
ポッキーの先を揺らす。チョコのほう食べたから溶けて来た。落ちる前に早くしてほしい
「~~~ッ。分かったよ」
目を閉じて口に入れるロスタム。
お前は乙女か。
ぽりぽり……甘いイチゴ味が口に広がっていく。どうでもいいけど、食べろよロスタム。
ほとんどカオルが食べた。
あと一口。
ロスタムは目を閉じたままだ。
「……」
しつこいけど……お前は乙女か。
これってそもそもポッキーゲームって言えるのだろうか。まあ、遊びにそんなこと言ったって仕方ないけど。
「どうするの? ねね、どうするの?」
わくわくと七菜は頬を染めながら問う。イルタは気を使ってなのかルシアの目を手で隠している。
「……」
ぱく。
「!?」
唇が当たった。ついでにプレッシャーキスをして離れた。
キスをされ目を見開いているロスタム。
「乙女か」
顔を真っ赤に染め上げ、んなわけねーだろと叫んでいた。
「今日は機嫌イイのね」
シーリーンがそういうと、カオルは微笑んだ。
「えぇ。誕生日なので」
「「「「!!!!!」」」」
11月11日
今日は私の誕生日。
「なんで言わないの!?」
「だって本編まだ秋なんですもん」
「そういうこと言っちゃダメ!!」
ホマーにめってされた。
「誕生日おめでとうカオル!」
改めて言われるとやっぱり照れる。
カオルはにっこり微笑んだ。
「いつ死ぬかも分からない中、皆さんに愛されて見守っていてもらって……生まれ来てよかったって思ってます」
ゆっくり頭を下げた。
「皆さんには感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。これからもどうぞお付き合いください」
「ってことは、紀伊さん二十代後半入りだね!」
26歳ですからね。
「あと四年もすれば三十路だねー!」
カオルは七菜に飛び蹴りをかました。
その際七菜の持っていたイチゴ味のポッキーが空に舞う。
「……あ」
ルシアがポッキーに描かれていた文字を読み上げた。
「おわり」
一年経つのも早いモノで、最初から最後までお付き合いくださっている方には感謝の言葉が尽きません。
評価・感想・お気にいり・アンケート 本当にありがとうございます。
正直最後まで書けず消えるだろうなって思っていただけに、ここまで続けていることに驚きです←
皆様の期待通りの内容にはなっていないかもしれませんが、広い心の目で楽しんで読んでいただけたら幸いです。
これからもどうぞ現代→古代をよろしくお願いします。
by一理