初めての異世界人の在り方
僕は虫が集まってた肉を再度洗い、毛皮に包めるだけ包んで、残りは捨てた
その後、その場に手を合わせて川沿いを移動し始めた
とりあえず、橋を目指そう
僕は川の周りをピョンピョン飛びながら移動している
力が強すぎるので、普通に走るより、この方が効率がいいのだ
川が合流してだんだん大きくなる様を見ながら黙々と進んでいくと、日が沈んできた
この体なら今日中に着くかと思ったけど、上から見て思ったより、距離があったみたいだ
ひらけた所を見つけたので、ここで晩ご飯にしよう
かまどを適当に作り、枯れ木を集め、適当なサイズに折る
木を組んで、枯葉を置き、木と木を擦って火をつける
肉を炙る、食う
最初の感動は何処へやら、味気ない肉をよく噛んで食べる
肉が少し臭くなっていた
(結構大きな鹿だったのに、明日はもう一度、今度はもっと小さめのを狩ろう)
肉を森に捨て、寝る場所を探す
ふと、怪物に襲われた事を思い出す
あの時は必死だったけど、思い返すと恐怖が蘇ってきた
あの時もし勘に任せて避けていなかったら
あの時もし怪物が最初からずっと本気だったら
あの時もし・・・
考え出すとキリがないので、頭を振ってその考えを頭から追い出す
木の上、見晴らしがいいひらいてる場所、大きな石があり盾にして逃げるのによい場所
色々考えた結果、茂みの中に身を隠すように寝ることに決めた
鹿の毛皮を体にかけて目を閉じる
風の音が聞こえ、木々のザワめきが聞こえ、時々何かの動物の鳴き声が聞こえる
闇の中でもよく見える視力を手にいれたとて、それは恐怖だった
朝起きたらこの手足がなくなってるんじゃないか
実はあの怪物は弱いモンスターで、もっと強いモンスターがここを襲ってくるかもしれない
あの鹿の肉は毒性を持っていて、じわじわと内部から破壊されてるかも
頭の中が恐怖に支配される
目標を持って動いていた時は隠れていた恐怖が、体中を脅かす
あの鳴き声は、僕を見つけた事を示しているのかも
実はあの怪物は僕の中にいて、人格を乗っ取ろうとしてるかも
もしかしたらこの夜は明けないかも
結局その夜は、あまり眠れず、うとうとしていたら夜が明けた
引き続き川沿いを移動する
偶にこちらを追いかけてくる獣がいるが、無視だ
あまりおいしくなさそうだったからだ
ちょっと大きめの兎のような動物を見つけたので、朝昼兼用のご飯にする
今度はうまくいったのか、殆ど生きていた状態とかわらない肉を手にいれた
炙って食べた、なかなかおいしかった
皮や余った肉は捨てた、手を合わせて後、移動する
速く、速く、できるだけ速く
それだけを思い移動する
最初に比べれば、天と地程の差がでるほどの移動速度だ
日が真上に登り、傾きだしたころ、ついに僕はたどり着いた
「橋だ・・」
お世辞にも立派とは言えないけれど、川を渡れるように、橋ができていた
「人工物だ・・・!」
嬉しさを爆発させながら、橋に近づいて作りをみる
どうやら石を組んで、その上に丸太を乗せて作ってあるようだ
幅はバスが一台通れるかどうかとういう程度
橋の上に立ち、辺りを見渡す
そう、橋があるということは、
「道だぁ~~っ!!」
道があるということだ
僕は迷わず上流から見て右に歩き出す
人にあったらどうしようか?
僕は受け入れてもらえるだろうか?
そうだ、言葉は通じるかな?
鼻歌でも歌えそうな気分で歩き出す、急ぐ必要はない
もうすでに、目に見える所に村があったのだ
そうしてだんだん大きくなっていく村に、ニヤけた顔が隠せなくなってきた時、それを見つけた
(人だ!)
怪物より遥に小さいが、僕より少し背の高い人が、門の入り口でこちらの方を見ている
僕は走り出しそうな体をぐっと抑えて、でも締まりのない顔のまま歩き出す
(よかった!人がいた!よかった!よかったぁ!!)
近づきながら、初めはなんて言おうか考えていると、相手が僕を見ているのがわかる
村人Aの20m程手前に差し掛かった頃、向こうが話しかけてきた
「それ以上こちらに近づくな、この魔物めが!」
臨戦態勢の村人Aを相手に、僕の顔が凍りついた
主人公、名前すらでてないのに、不憫です
というか魔血を吸ったのまだ一度だけですね、次まではもう少しかかります、タイトル詐欺・・・?いやいや