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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
44/67

濁流の如き在り方

ゴウ隊長が、豪快に大槌の素振りをする


1回、


2回、


3回、


その横で、僕はといえばピョンと跳ねて、手から落ち、体勢の確認をする

擬音で表すならば、こんな感じ


ゴウッ、ピョン、ゴウッ、ピョン、ゴウッ、ピョン


・・・なかなかシュールな光景だ


「では、作戦を開始する!」


ゴウ隊長がそう言って腰を捻り、大槌を引いていつでも振れる状態にする

僕はその前で、中腰になって準備をする


「では、いくぞ、・・いっせいのっっせ!!」


ゴウ隊長がそう言って、大槌を振り始める

僕は少し跳ねて姿勢をとる

瞬間、足に衝撃が奔る

僕の足に大槌が当たったのだ

そのタイミングに合わせて、僕は大槌を蹴る

大槌の勢いと、僕の脚力、両方の力が僕の体を駆け抜けて、僕の重心を捉える

それらの力は全て、一方向に向けられている

そう、あの風船型の魔物の方向に、だ

僕は、恐ろしい速度でそちらに向けて飛び出した



トダの策とは、実に簡単な物だった

誰かを隊長の槌で吹っ飛ばして、橋の隙間を渡ると言う物だ

普通ならそんな作戦、不可能だろう

飛ばされる側が耐えられないからだ

しかし、そんな行為に耐えられる人間が、一人いた

僕だった

そんなこんなで作戦「ミコト砲(トダ命名)」が決行されたのである



僕は飛ばされたと自覚した瞬間に、両手を×字に構え、所謂フライング・クロス・チョップの体勢をとる

魔物側からしたら、気付いたら側に来てるのである

抵抗感はあったかもしれないが、空気の抵抗と大差なかった

そしてそのまま風船型の魔物にぶつかる

勢いと質量は、こちらの方が強いらしい

魔物を脇に吹き飛ばしながら、さらに進む

しかし魔物と接触したことで、方向がズレてしまった

危うく川に落ちてしまいそうになった所で、石の転落防止の柵に掴まり、なんとかぶら下がる


「危なかった・・・」


よじ登ると、そこには魔物が沢山いた

目が合った

どうやら風船型の魔物のせいで見えなかったが、後ろ側に魔物がいたらしい


「うわぁぁああっ!!」


すぐに怪力で体を浮かして橋に登り、近づいてきた魔物の頭を蹴り飛ばす!

魔物の足を掴んで振り回し、最後に投げ飛ばしてスペースをつくる

どうなることかと思ったけど、なんとかなった・・・!

そして、風船型の魔物に向き直ると、3匹がこちらを向いていた

そして、まるで突風が吹きつける様な抵抗を感じた

これがあの魔物の魔法か!

二本足では立っていられず、這いつくばって耐える

でも、このままでは、いつまで経っても奴等を退けられない!

しかも後ろには、同じように抵抗があるのだろうけど、こちらに進んで来る魔物もいる

・・・こうなったら自棄だ!

僕は指を石の橋に刺して、そこを引っ張ることで体を進める

右手の指を刺して進み、左手の指を刺して進み、また右手の指を刺して進む

そうやってどんどん近づいて行く

なんだか、どこかのホラー映画の幽霊になった気分だ

最後まで近づいて、イソギンチャク型の魔物と橋の間に指を突っ込む

ここまで来ると、抵抗感もなくなったので、魔物を掴んで立ち上がり、振り回す


「よいしょ~~っっ!!」


僕は川の方にイソギンチャク型の魔物と、風船型の魔物を投げ飛ばした

とりあえずは、これで一見落着だ


「皆さん!道が出来ましたよ!!」


僕が叫ぶ


「でかした!!ちょっと引いてろ!!!」


グランさんがそう言ったので、少し引いてると、皆が跳んで渡ってきた


「とりあえずは、向こう岸に渡るぞ!」


ゴウ隊長がそう言ったので、僕たちは向こう岸に向かって走り出す

もちろんその途中にいる魔物は、全員(物理的に)退いてもらった

そうやって向こう岸に向かって走っていると、今度は四足歩行の魔物たちが、向こう岸から大量に突進してきた


「「ここはオレに任せろっ!!」」


隊長と副隊長のコンビが、最前線にでて、その群れを食い止める


「ほっほっほっ、それじゃワシも手伝うかな」


ギラさんも後ろで手伝うようだ

何もしていない様に見えるけど、さっきより魔物が弾け飛び易くなったように見える

と、その時、地響きが聞こえた

しかもすごく近くでだ

しかし橋の上には、そんな地響きを起こせそうな魔物はいない

後は川だけだ

僕が川を見ると、そこから魔物が飛び出した!

ミミズとムカデの間の子みたいな巨大な魔物だった

しかも一匹じゃない、計四匹もいる

川から体を出しているのに、橋の高さを余裕で越えている


「だんなっ!これを使ってくだせぇ!!」


スーハがそう言って、何かを、巻いてある状態で寄越した

それはついさっき見た事があったような、細長い、しかし根元にかけて太くなっていくロープみたいだった

思い出した、あの大ナマズの触覚だ

スーハ、いつの間に回収していたのだろう・・?


「ありがとうっ!!」


僕はそう言って、太くなっている方に腕を突っ込む

そして、それを鞭の様に振り回す!

最初はうまくいかなかったけど、この怪力があればなんてことはない

一匹の頭を吹き飛ばし、二匹目は胴体を真っ二つに

三匹目は絡まってしまったけどそのまま引っ張って振り回し、四匹目にぶつける

衝撃で三匹目の体が切れて、あと一匹になったけど、そこで触覚が壊れる

僕が触覚に気を取られている隙に、残りの一匹が僕目掛けて襲いかかる


「させないっ!!」


横からきたレフィさんが、そいつの頭を蹴り飛ばす

そうして出来た隙に、僕はそいつの胴体に両腕を回して


「おりゃ!」


思いっきり絞めて、体を潰す!

それで胴体が折れて、下に来た頭を蹴り飛ばす

どうやら、これでもうミミズ型の魔物は大丈夫な様だ


「加勢します!」


そう言って隊長と副隊長のペアに加勢して、魔物を蹴散らす

魔物の群れは途切れずに向かってくるが、対して強くはなかった



しばらくすると、突進してくる魔物がいなくなった


「つ、疲れた~~・・・」


僕は座り込んで、足を投げ出しながら呟く


「ほら、とりあえず向こう岸に渡るぞ」


そう言うレフィさんに連れられて、僕は向こう岸に渡った



遠征が成功しない理由を、骨の髄まで感じた一日だった

スーハは橋を渡る前から、ずっと触覚を持ってました

私の中で、スーハが1番チートではと、思え始めてきました(汗

いや、1対1ではかなり弱い方の筈なのですが・・・

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