決断の在り方
奇しくもこの話で、丁度連載一ヶ月です
お待たせしました、それでは
どうぞ
なんて奴だ、僕はクズだ、クズ以下だ!
最低の人間だ、いや、もはや人間ですらいないのかもしれない
僕の頭の中には、自らを罵倒する言葉が渦巻いている
でももう、全ては手遅れだ
遠征部隊は旅立ってしまった
もう、どうすることも出来ない
何故僕はあの時行かなかったのか
何故僕は今ここでボケッとしているのか
後悔が、僕の心を締め付ける
日が昇っていた、また朝がやってきた
僕は未だにベッドの上にいる
僕はベッドに座って、虚空を見つめている
もうこの部屋を訪ねる人はいないだろう
そう思うと、また胸が苦しくなった
そんな僕の部屋に、ノックの音が三つ転がった
虚ろな目で入り口を見ると、背の高い、無表情な男が立っていた
(どこかで見たことがある・・・?)
僕はその男に見覚えがあった
記憶を巡らすと、思い出す事ができた
(そうだ、初めてこの街に来たときに、ダイジさんの手紙の宛先になっていた人だ)
たしかマトン、というような名前だったはずだ
男はゆっくりと歩いてきて、僕の前に立ち止まった
僕は問いかけた
「どうしたんですか?僕を討伐しにでも来ましたか?」
男を虚ろな目で眺めていると、一枚の書類を取り出した
「ああ、僕は字が読めないんですよ」
知らなかったのだろうか、まあどうでもいいことである
それを聞いて、男は呪文を唱えた
『読め』
すると、書類を見るだけで、意味が大体分かった
これは、ゴウ隊長が、しばらく僕をこの部屋にいてもいいように書いた手配書の様だ
だから僕は未だに、この部屋を追い出されずに済んでいるのか
次に男はさらにもう一枚、書類を取り出した
『読め』
内容は、誓約書のようなものらしい、スーハが遠征に参加することを誓った物のようだ
文章の横に、スーハの指紋が押してあった
スーハは僕と一緒だから遠征部隊に参加すると言っていたけど、他の人が強いから、安心したのだろうか
今度は、黒く塗りつぶされた手紙を僕に見せつけて、
『在りし日の記憶よ、伝われ』
そう、呪文を唱えた
すると、それがダイジさんがマトンさんに宛てた手紙だとわかった(街中の在り方参照)
ダイジさんは、僕を信用してなかったのだろうか?
マトンさんが語りだした
「ダイジは、昔から何でも出来た」
そうなんだ、知らなかった
「ダイジは、責任感も強かった」
確かに、だから僕の面倒を最後まで見ていたんだ
「だからダイジは、人に頼ることはなかった」
そうなのか、でも、それがどうしたというのだ
「そのダイジが、私を頼ったのだ」
・・・マトンさんの言っている意味が、少しわかった
ダイジさんがマトンさんを頼ったのは、僕の身元を証明するため
つまり、僕のために、滅多に人に頼らないダイジさんが、マトンさんに頼ったんだ
・・・僕に何を期待したんだろう、こんな駄目人間に
マトンさんは、もう一枚書類を取り出して言った
『読め』
それは僕の誓約書だった、遠征に参加する人は、指紋を押せば誓約は完了する
でも、もう遅い、もう遠征部隊の人たちは・・・
マトンさんは、西門の方を指差した
そして一言、
「走れ」
と言った
もう丸一日以上経っているのに、走れだと
まだ間に合うとでも言うのだろうか
その時、何故かラングさんの言葉が頭をよぎる
(わからねぇことで悩むくらいなら!!今出来る事を精一杯やるのが筋ってもんだろ!!!)
(そこで駄々こねてたって、何一つ変わりやしねぇんだよ!!!)
そうなのか?本当にそうなのだろうか?
また一つ、思い出す
(待ってる)
フーさんの言葉だ
それは、そう言う意味なのか?
(私はお前に期待しているんだからな!)
ゴウ隊長が、そう言ってたっけ
本当にそうなのか?
(遠征はどうにかするが、死んでしまってはいかんぞ?)
レフィさんも、そう言う意味なのか?
そしてスーハも・・・
(ダンナと一緒ならきっと生きて帰れるでやんす)
待って、くれているのだろうか?
僕は、走ってもいいんだろうか?
涙が、流れていく
僕は、何を心配していたのだろう?
こんなにもいい仲間を持って
何故、ここで座っているのだろう
もう、僕がここに留まる理由は、
ない
僕は涙を拭い、マトンさんから書類を引ったくり、インクを親指につけ、すぐに押した
それをマトンさんに渡し一言
「ありがとうございます!!」
そう言った後、僕は猛然と走り出した
宿舎を出て、門をくぐり、一気に走り出す
もう悩むことなどない!
ただ、出来るだけ早く皆に追いつくだけだ!
はしる、走る、奔る
渡り鳥より速く、風より早く
まだまだ、こんなもんじゃない!
走る、奔る、ハシル
誰より速く、何より早く
もっともっともっと!!
そう、音より速く!!!
景色が猛スピードで後ろに流れていく
遥か前の景色が、一瞬で過ぎ去っていく
音が消え、前方の視界が一点に集約されていく
見えない壁に遮られるが、それすら越えていく
僕は、音速を越えた
~レフィside~
私だ、レフィだ、ん、誰だだと!
ミコトに一番初めに斬りかかった遠征部隊員だ!
うんうん、思い出してくれたようだな
胸?はて、ナンノコトダ?
私は今、西門から旅立ち、途中の村に立ち入っている
もちろん村に人はおらず、代わりに魔物どもがうじゃうじゃ居た
楽しいからいいのだが、こうも斬っても斬っても沸いてくると、いい加減飽きがくるな
しかもそこらの魔物より強いから、他の隊員は苦戦しているようだ
うむ、せめてもう一人、強い者がおったらな
まあ無い物強請りをしても仕様がない
っ!!後ろか!
咄嗟に振り向くが、間に合うかどうか微妙な所だ
だがその時、かなりのスピードで飛んできたナイフが、後ろから襲ってきた魔物の目に刺さる
余裕が出来た私は、すぐさまその魔物を斬り刻む
「助かったぞ」
「お安い御用でやんす」
私はスーハに例を言って、また魔物に斬りかかる
スーハのサポートは絶妙で、とても戦いやすい
遠距離攻撃と言う意味ではフーに及ばなくとも、援護は安心して任せられる
「一旦引くぞ!!後ろからの攻撃に気をつけろ!!」
ゴウ隊長がそういった
本来ならこのまま押し切った方がいいのだが、戦力が足りない
致し方ないか・・・
その時、後ろから何かの気配がした
「やっと来たでやんすか」
「そのようだな」
スーハとゴウ隊長は、何かわかっているようだ
「撤退辞め!!このまま斬り込むぞ!!」
ゴウ隊長が指示を変えた、味方がきたようだ
「へっ!やっと来やがったか!!」
「・・・」
グランも知っているし、フーもわかっているようだ
少しして、突風が吹いた
思わず顔を庇い、その後腕を下ろして見てみると、そこには
ミコトが、立っていた
~マトンside~
少年が猛然と走り去った後、私は自分の部屋に戻ろうと歩いていた
すると、ある男に出くわした
「おいおい、儂だって面倒なことさせて悪かったと思っとるわい」
こいつのせいで、少し仕事の時間が削られた
「その顔は、自分ですればよかったじゃないかって顔じゃな?」
その通りだ、私の表情が分かる奴などこいつぐらいだ
「何、男と男の再会は、もっと、どらまちっくじゃなくちゃ、いかんのじゃよ」
この男には毎度呆れさせられる
なあ
ダイジよ
いや~、カッコつけ過ぎましたね
特に前話の後書き
私は物語作者ってwww
・・・ほんと、期待はずれだったらすみません
これが私の全力です
ああ、文章力が欲しい