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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
36/67

選択の在り方

出来ればこの話は、後書きまで読んで欲しいです

夜、トイレに立つと、扉の前に時間が経っても食べれる、乾パンの様な物が置いてあった

きっとスーハが置いていったのだろう

一口二口食べる

久しぶりの味は、とてもおいしかった

けど、僕はこの美味しさを味わっていいのだろうか

僕のような存在が、喜びを感じていいのだろうか

僕は、今は人間だと自信を持って言える

しかし、遠くない未来に、皆が言う通りの魔物になってしまうんじゃないだろうか

散々皆が僕を魔物だと指差した

僕は必死で否定したけど、本当は僕は魔物なんじゃないだろうか

僕が魔物でないと証明できる方法なんて、一つもないんだから

僕はトイレを済ませ、また布団に絡まった



ドンッドンッ


「オラァ!!!出てこいコラァ!!!」


この声はグランさんだ

さっきから随分な勢いで扉をノックしている、これをノックといえるのだろうか?


「おい!!いい加減にしろよぉ!!!」


乱暴なノックを続けながら、ラングさんは僕に呼びかける


「・・・チッ、いいぜ、そこまで出てきたくないなら」


やっと帰ってくれる気になったんだろうか

扉から離れる足音がして、少し後に

強烈な破壊音と共に、扉が蹴破られた

振動が布団の中にいる僕にまで伝わってきた


「おい、いつまでそうしてんだっ!!それで何かが変わるかよっっ!!!」


その通りだ、何も変わらない、けど、何もやる気が起きないのだ

ズカズカとベッドに近づいたグランさんは、布団を無理やり剥ぎ取り、僕の襟首を持って無理やり立たせた


「お前は!!そこで何をやってんだっ!!!そんなことしてたって村が元に戻る訳じゃねぇんだぞっっ!!!」


その通りだ、僕はなにがしたいんだろう

僕はただ、生きたかっただけだったのに

今、僕は何故ここにいるんだろう


「何のためにダイジさんがお前を生かしたんだと思ってんだ!!!布団の中で震えさすためか!?」


グランさんが、僕を大きく揺さぶりながら叫ぶ


「魔物だと蔑まれるためか!?」


鼓膜が破れそうな程の大声で叫ぶ


「部屋の中に閉じ込めるためか!?ちげぇだろっ!!??」


僕の顔に唾を飛ばしながら、叫び続ける


「おめぇは魔物を狩りたくねぇのかよ!!!仇を取りたくねぇのかよっ!!!」


気づけば僕は泣いていた、ラングさんに目を合わせて、僕も叫ぶ


「でも僕はっ!魔物かもしれないんですっ!!もうわかんないんです!!」


声が枯れている、喉が痛い


「僕が魔物じゃない理由なんてないんです!!!いつかもしかしたら、皆を襲うようになっちゃうかもしれないんですっ!!!」


もう止まらなかった、胸の中の叫びが、声になって飛び出す


「それならいっそ!こんな僕ならいっそ!!いな「うるせぇっっ!!!」」


ラングさんが一喝した


「いつかぁ?もしかしたらぁ??そんなもん誰にもわからねぇんだよっ!!」


言葉が、僕の中に染み込む


「未来なんて誰にもわからねぇ!!もしかしたらっていうのはな!!ただの逃げだ!!!」


「出来ない奴の言い訳でしかねぇんだよ!!!」


「わからねぇことで悩むくらいなら!!今出来る事を精一杯やるのが筋ってもんだろ!!!」


「そこで駄々こねてたって、何一つ変わりやしねぇんだよ!!!」


そういってラングさんは僕を突き飛ばし、扉の方に歩いていった

そして、部屋を出たところで一言


「一応言っとくが、ダイジさんは死んでねぇぞ、あの人が死ぬ訳ねぇんだ」


そういって去っていった

ダイジさんが死んでない?

そうなのだろうか・・・?

しかし、どちらにせよ、僕は村の人々を見殺しにしたんだ

僕はまた、布団に絡まった



コンコンッ


扉はなくなってしまったので、おそらく脇の壁を叩いてノックしているのだろう

足音が近づいてきた

何もしゃべらずに近づいて、いきなり布団を剥いだ


「・・・」


そこにいたのは、フーさんだった

フーさんは、僕の肩を優しく掴み、僕を上半身だけ立たせた

そして、


思いっきり頬を引っ叩いた


余りの威力に星が飛んだ

そして、僕に寄りかかりながら一言


(待ってる)


と囁いて、去っていった

待ってる?何をだろう?

でも、僕は、僕は・・・




遂に、遠征開始当日がやってきた

ここで起きて、西門に向かえば、僕は遠征に参加できるだろう

行こうかとも思う

でも、もう皆僕のことなど見捨ててしまったんじゃないだろうか

行った所で、僕を厄介者扱いして、討伐隊の人たちみたいな目で僕を見るんじゃないだろうか


怖い、怖い・・・っ!!


でも、参加しなければ、僕は本当に価値のない存在になってしまう

魔物を倒さない魔物は、人間の味方ではない

ならば僕は皆に、討伐されてしまうんじゃないだろうか

それは、一番避けなければいけない自体だ


結論は決まっている

行くべきだ、行かなければならない

わかってる、わかってるけど!

僕には、もう、なにもデキナイ・・・!!



その日は、そのまま一日を終えた

討伐部隊は、旅立ってしまった

最低の状態です、最悪です

皆さんにも経験がありませんか?

やらなくてはいけないのに、何故かやる気が起きなくて、大事なチャンスを逃すこと

できれば、ミコト君に、存分に自己投影していただきたいです


何故なら、ここからが私の仕事ですから

舞台は整いました

私は物語作者ストーリー・テナー、小さな奇跡を起こす者なり


次話、待たれよ

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