ある手紙の在り方
ようやく、ようやくだっ!
「見えた~~っ!!」
苦節7日間!ついに僕はたどり着いた!
長かった、長かったよ
隣の村に行くだけだとタカをくくったのが間違いだった
こんなに長くなるなんて・・・
無論、それには理由がある
アレは、村を出て2日目のことだった
~回想~
僕は気分よく走っていた、もうすぐ隣の村に着くからだ
おかみさんの話では、間に2ヶ所、広めの野営する場所があり、その次が村になっている
僕は1つ目の野営ポイントを飛ばし、2つ目でテントを張って就寝
よって翌日、つまり今日中には隣の村に着く予定なのだ
そうこうしている間に村が見えてきた
最初は魔物だと思われるだろうが、話せばきっとわかってくれるはず
もし駄目でも、僕には切り札がある!
僕はスピードを落とし、旅人を装って(実際に旅人なのだけど)門に歩いて向かった
そして、前回の教訓を生かし、遠目から話しかけた
「すみませ~ん、旅の者なのですが~!」
「おお、どうした!早くこっちへ来い!」
それを聞いて歩き出す
しかし、しばらくして、門番の態度が変わった
「ま、魔物!?この村になんの用だ!?」
「私は魔物ではありません!!隣の村から来ました!」
「ではノウの村は滅んだのか!?」
因みにノウの村とは昨日までいた村のことだ
「だから違いますって!僕は旅に出たのです!」
「しかし、お前、目が紅いじゃないか!」
「そ、それは生まれつきです!」
「そうなのか・・・っ!いや、騙されないぞ!この村に魔物は一歩たりとも入れん!!帰れ!」
くそぅ、うまくいかなかったか・・・
だが、僕には切り札がある!
「この手紙を読んでください!僕の身元を保証するものです!」
そういって取り出したのは、蝋で封のされた手紙
村を出た後、森に入る時いつも装備している袋を確認したら、中に入っていたのだ
ダイジさん・・・
「そうやって近づいた所をグサっと「しません!」・・・ではこうしよう、お前が半分こっちに来い、そこで手紙を置いて、2倍下がれ」
何故2倍も・・・しかしこれしか手段がないならしょうがない
「わかりました!」
僕は言われた通り、半分距離を詰め、手紙を置いて大体2倍下がった
「よし!」
門番は手紙に近づき、こちらを警戒しながら、2・3回掴み損ないながら手紙を手にした
そして、門の方に下がっていき、
「誰か~~!字の読める人呼んできて~~!!」
村の方に叫んだ
そういえばこの世界の識字率ってどれぐらいなんだろう?
しばらくして、おじいさんが来て手紙の表面を読んで門番に伝える
「おい!この手紙だが・・」
「どうしたんですか?」
「宛先がここじゃないぞ?」
「は?」
「いや、ここより2つ隣の街だぞ、この宛先」
「・・・え?」
「開けてもいいのか?そうすると手紙の信用がグンと落ちてしまうが・・・」
「・・・!い、いや、ちょっと待ってください!」
どういうことだ?てっきり隣の村に入るための、口利きの手紙だと思ったのに・・
「字だけでは誰が書いたか判別は難しいぞ?」
それはそうだろう、しかしここから2つ隣か、まさかライドではあるまいし、どういうことだ?
「・・・とりあえず返していただいてもよろしいですか?」
「うむ、よかろう!ただし村には入れんぞ!」
なんという頭の堅い・・・
「いいじゃないですか!入れてくださいよ~!」
「いや、駄目だ!魔物かもしれない存在を村に入れる訳にはいかん!!」
「どうしても、ですか?」
「どうしても、だ!」
試しに一歩近づいてみた
ジャキンッ!!
門番は即座に戦闘態勢に入った
「それでも通りたくば、俺を殺してからにしろ」
・・・これは無理そうだ
「わかりました、村を迂回してもいいですか?」
「それぐらいならいいだろう、ただし、畑を荒らすなよ!」
僕をなんだと思っているんだろうか・・?
そうして迂回して、そのまま進み、次の村では・・・
「・・・!魔物か、よし、かかってこい」
「違います、魔物じゃありません!」
「どちらにしても、お前の様な不審な存在を、この村に近づける訳にはいかん、去れ」
「せめて何か食料をくれませんか?動物の毛皮ならありますよ?」
「・・・いや、駄目だ、去れ」
前の村の門番より、さらに堅物だった
~回想終了~
そうして今、ようやく手紙の宛先の街にたどり着いた
ダイジさん、どういうつもりだったのだろう?
それも、この街に入れば判明するだろう
街が段々近くなってきた
・・・大きい
これまでのが村で、ここが街と呼ばれるのも頷ける
門もこれまでよりもしっかりしているし、壁も厚く、高い
これなら多少の魔物が来もビクともしないだろう
僕は、少し遠目から呼びかける
「すいませ~ん、ノウの村から来た者ですが~!」
「おぉ、長旅ごくろう!早く来るがいい!」
「それなんですが、僕の目を見てください!」
「・・・!紅い!?貴様、魔物か!?」
「違います、生まれつきです、兎に角、僕の身分を証明する手紙があります!近くに置くので取りに来てくださいませんか?」
「お、う、うむ、よかろう!」
そうして手紙を門番に渡した
「これは・・・この街の統括主任への手紙だな、しばし待たれよ!」
そうして、僕はずいぶん長く待たされた
~統括主任室~
コンッ、コンッ、コンッ
「失礼します!本日東門にて門番の任を負っている者です!」
「入れ」
「失礼します、主任宛の手紙を持った紅い目を持つ男がいます、こちらがその手紙です」
・・・感情を感じさせない、鉄の様な男が手紙を受け取り、差出人を見る
「ダイジ・・・か、懐かしい名前だ」
そう呟いて封を開け、黙々と読んでいく
「私は仕事を片付けてから行く、お前は門番の任に戻り、その男を待たせておけ」
「はっ!」
静かになった部屋の中、男の口角が僅かに上がる
「紅い目の男とは、つくづく出鱈目な奴だな、ダイジ」
鉄のような男は、火に手紙を近づけて、そして・・・
結構難産でした、、
毎日シンドイ、ワタシ、ヤメル、イチニチ、カンカク、アケル
とか言い出すと、多分書かなくなるので、まだまだがんばります
ふるえるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!おおおおおっ!!!