ガーデンチャンネルを運営していたら、ダンジョンの中に森ができました!
接続……よし!
お……フォロワーさんもう来てくれてる。うれしいなぁ。
「こんにちは! カエデ・ガーデンのカエデです! 今日もよろしくお願いします!」
”よろしくー”
”パチパチ”
”きたよー”
”お、はじまった”
”おめでとー”
「あ、先に言われてしまいましたね、ありがとうございます! 今日はなんと! フォロワーさん200人達成記念なんです!」
すごいなぁ……私が200人いくなんて。十四歳から園芸チャンネルの配信始めて、そろそろ八年。続けて良かったぁ!
”おー200人”
”おめでとー”
”おめでとー”
”めでたい”
「ふふ、ありがとうございます! それでですね、今日は特別な配信なんで、特別な植物を用意しました! こちらなんですけど~」
撮影機材であるスマホで用意した植物を映してみる。
基本的に私の撮影はスマホとインカムだけ。派手なことをするわけじゃないし、私がしゃべって植物を植えるだけの配信。
それでも、少しずつフォロワーさんは増えていった。ほんとにちょっとずつだけど。
それが、とうとう200人。
はい、奮発しました!
「こちらの植物なんですけど、ルーメリア、って言うんです。これはまだ苗なんですけど、青白い綺麗な花が咲くんですよ! 今日はこちらを植えていこうと思います」
”知らない花だな”
”カエデが植える植物大体わからんw”
”また知らないの出た”
”カエデに癒されに来てるだけだからなー”
「あらら。まぁいつものことですねぇ。じゃあ、植えましょうね! んしょ……うんしょ」
スマホをスタンドに置き、スコップで土を掘っていく。
この、”誰かと一緒に園芸してる”感がとても好き。
私の配信はホント動きが少ない。土掘って苗植えたり、育ってきた植物に話しかけたり、ちょっと剪定してみたり。
誰かに教えるような知識もないから、基本は私がずっと園芸やってるだけ。
うん……地味だよね。八年これです。
「はい、植えました! おっきくなるといいなぁ」
”かわいい”
”おつかれー”
”花咲くの楽しみ”
”咲くわけないじゃん、なにこのチャンネル、ヤラセ?”
”おつかれさま”
……ん?
なんでしょう。なにやら、とても攻撃的な方が……。
「あの~……ヤラセでは、ないですよ? 私が買ってきた苗ですし」
”なんだなんだ”
”見ない顔だ”
”ヤラセじゃないなら無知なの? 長い事やってる園芸チャンネルかと思って覗いたのに損した”
”カエデちゃん一生懸命やってるよ?”
”なんだこいつ”
「あの、それはどういう……」
やってますけど……長いこと。
”なんにも知らないの? ルーメリアは相当強い魔力がある土壌じゃないと育たないし、咲かない。枯らすだけだよ、そのルーメリア”
”ガチ勢キタ”
”やさしくしてあげて”
”そうなの?”
「ああ! そういうことだったのですね! なら大丈夫ですよ! ここ、魔力いっぱいありますから! ダンジョンですし!」
”???”
"いまダンジョンっていった?"
”自宅の庭かと思ってた”
”ダンジョン?”
”カエデちゃんちだと思ってた”
”いまダンジョンって言った?”
あ、あら? 皆さん……ご存じない?
そうえいば……別にダンジョン配信っぽいことしてないし、特に言ってなかったような……?
「すいません、その説明がいると思ってなくて! あ、あの! 今いるの、こんな感じなんです!」
スマホをスタンドから外し、周りの風景を撮ってみる。
ごつごつした岩肌に突き刺さるような魔石水晶。天井にあるたくさんのヒカリゴケ。おかげでここはかなり明るい。奥の虹流水だって見えるはずだし……わかりますよね? ダンジョンだって。
植物植えまくって森みたいになってますけど。
”まって……理解が追いつかない”
”マジでダンジョンなんだが?”
”魔石水晶埋まってるんだけど……これ、かなり深層じゃないの?”
”おいここ、ハイル洞窟の未踏破エリアだろ! 草なんか生えないぞ、ここ!”
”え、マジのダンジョンなの?”
「あ、はい。ここ、八年前に突然自宅の玄関に繋がってしまいまして……私、ずっと庭が欲しかったので、ここで園芸を始めよう、って……」
”理由がww”
”いや地質的にむりじゃね? そのダンジョン、土というか石でしょ”
”おい、八年前のアーカイブ見てきたんだが。この人、最初の二年間土壌改良しかしてないぞ”
”二年?!”
”その頃みてない”
”全然きづかなかった”
”いっつも手元ばっかり映すからー”
”200人達成記念どっかいったな”
そ、そうですよね。
土をなんとか頑張ってた頃なんて視聴者さん、いっつもゼロでしたから。皆さん知らないですよね。
ええ……ど、どうしましょ。なにか視聴者数が、ものすごいことに……わ、まだ増えてく。
”とんでもない園芸チャンネル”
”まって。うしろ……なんかいない?”
”うしろ?”
”うしろて?”
”なんかってなによ”
「後ろ……ですか? ああ! 今日はチョコパイさんが来てますね!」
”ちょこぱい?”
”なにそれ”
”チョコパイ”
「はい! なんでもここは寝心地がいいそうで! たまに来るんです。声かけてみますね!」
こういうとき、スマホで撮影は便利だな。簡単に持ち運べるし。
”まって、でかい”
”なんかいる!”
”えぐいえぐいえぐい”
”でかい”
”え……ドラゴンじゃね?”
「チョコパイさん! チョコパイさん! ご挨拶しませんか?」
『……カエデか。我をペチペチするな』
のそりと、チョコパイさんが首を上げた。
顔だけで私より数倍大きい。そんなチョコパイさんが首をあげると、私は思いっきり見上げる形になってしまう。
ちゃんと映ってるかな?
うう、やっぱり大きい……。
「チョコパイさん、ご挨拶どうぞ!」
『なんだ……またお前が好きな”配信”というやつか』
”エンシェントドラゴン?!”
”ドラゴンだ”
”エンシェントドラゴンだぞ、それ”
”なんでチョコパイ”
”伝説級の希少種!”
”ホンモノ初めて見た”
『もう良いか。我は寝にきたのだが』
「あ、はい! ありがとうございました!」
ふぅ。コメントが見れなかったので不安でしたが、ちゃんと映せたみたいです。
チョコパイさんはエンシェントドラゴンって言うんですね。
”なんで普通なんだこの人”
”エンシェントドラゴンをぺちぺちしてたの?”
”えぐい”
”チョコパイ意味がわらかん”
「あ、チョコパイは私がつけました! その、黒かったので!」
"意味わからなくて草"
”もっと意味わからん”
”エンシェントドラゴンってしゃべるんだ”
”草”
”そんな可愛い見た目じゃなかった”
わ、わ……そうこうしてる間に、フォロワーさんも大変なことに……あれ? 200人達成記念だったはずですよね?
桁が……え?
「えっと……じゃあ、そろそろいいですかね? あの今日はもう一本、苗木を植えようかと……」
”続けるの?”
”エンシェントドラゴンほったらかしw”
”カエデさん、そいつ伝説ですよ”
”戻ったw”
”まって、続けたw”
「あ、はい。チョコパイさんはもう四年くらいここにいますし、今更といいますか……他にも色々きます、し」
”他にも来てるwww”
”どんだけ居心地いいんだ?”
”そりゃハイル洞窟に森があったら、居心地いいだろ”
”四年は草”
ど、同接数が……とんでもないことに!
こ、怖い! 怖くなってきました!
な、苗! 苗植えて落ち着こう!
「……そ、それではやっていきますね!」
”やっていくな”
”次からアニマルチャンネルか……”
”登録しました”
”毎秒来ます”
”伝説の配信ここですか?”
”わたしがきた”
”ここ?”
収益化、できました!




