表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられたメッセージの小屋  作者: Takara yume
生きた鏡

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/110

物体の歌

街でクララは、日常の物が自分にさりげなく反応していることに気づき始めた。それは目に見える魔法ではなく、記憶を秘めているような、さりげない仕草だった。

陶器のカップを手に取り、テーブルに置くと、かすかな音が聞こえた。その音は珍しかった。まるで船室のランプがひとりでに点灯するのを思わせるリズムだった。クララはその反響に気づき、微笑んだ。


彼女の部屋では、時計が独特のリズムで時を刻んでいた。刻む音は、まるで彼女の呼吸に合わせているかのように、より深く感じられた。クララは、それが単なる機械ではなく、時間もまた記憶を宿していることを思い出させるものだと理解した。


引き出しを開ける時でさえ、木のきしむ音は短いささやき、まるで歌のようだった。言葉はなかったが、その仕草だけでクララは仲間意識を感じた。船室で感じていたように、物はもはや生きていなかったが、微妙な反応をすることを学んでいた。


日が経つにつれ、クララは驚かなくなった。彼女は注意深く耳を澄ませるようになった。ドアの擦れる音、本を閉じる音、グラスに水が落ちる音。それぞれの物が、短く静かな歌を歌い、彼女を経験へと繋いでいた。


クララは、非凡なものを探す必要はないと悟った。記憶は日常の中に宿り、認識されるのを待っている。そして、そうすることで、街は目に見えない仲間意識に満ちた空間へと変貌を遂げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ