表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられたメッセージの小屋  作者: Takara yume
生きた鏡

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/96

魂のため息

雪が静かに舞い降りる中、クララはハートで飾られたカップを見つめている。森は彼女に深い思索のひとときを与え、一呼吸ごとに、内に息づくものの象徴となる。

テーブルはまだセッティングされていたが、クララはもう食べていなかった。デザートは思い出、同伴は存在だった。そして今、残っているのはため息だけだった。空虚なジェスチャーではなく、魂のこだまとして。


小屋の窓が静かに開き、涼しい空気が優しく流れ込んできた。クララは何か新しいものの香りに導かれるように立ち上がった。庭の中央、木のテーブルの上には、白いハートで飾られた赤いカップが置かれていた。そこから立ち上る湯気は、消えるどころか舞い上がるように渦を巻いていた。


半透明の蝶がカップの縁に舞い降りた。地面から根を張った存在が現れ、冷たくはないが温かい雪の結晶を落とした。それぞれの結晶は、まるでため息をついているかのように、きらめきを放っていた。


クララは近づき、カップを手に取った。温かさは深く、しかし肉体的なものではない。それは宙に浮いた愛情だった。飲みながら、彼女はそれが単なる飲み物ではなく、液体の記憶だと感じた。


一体何のため息をつくのだろう?と彼女は優しく尋ねた。


森は幾重にも声を振り絞って答えた。


あなたが言わなかったこと、今も生きていること、待ち受けていること。


雪はゆっくりと降り積もった。クララは目を閉じた。心の中で何かが揺れ動いた。それは悲しみでも喜びでもなく、ただ認め合う気持ちだった。ため息は空虚なものではなく、肯定の気持ちだった。


蝶は空中で舞い、カップに火花を落とした。湯気は宙に浮かぶイメージへと変化した。クララが誰かを抱きしめている。腕ではなく、視線で。根の存在はハート型の小枝をテーブルに置いた。


小屋が震えた。中から、ため息を遮ることなく伴奏するかのように、柔らかなメロディーが流れ始めた。クララは、魂は言葉ではなく、間を通して語るのだと理解した。


「愛は大切よ」と森は囁いた。「そして、すべてのため息は歌の一部なの。」


クララは微笑んだ。その出来事は終わりではなく、合唱の息吹だった。言葉を必要としない魂が表現し、森が判断を必要とせずに耳を傾ける瞬間。


カップはまだ湯気を立てていた。雪はまだ降り続いていた。ため息はまだ生きていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ