表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられたメッセージの小屋  作者: Takara yume
生きた鏡

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/110

秘密を抱く花束

クララは小屋で赤いバラの花束を見つける。花びら一つ一つには特別な思い出が宿っており、触れると過去の声が合唱の儀式のように解き放たれ、部屋は生きた記憶の空間へと変貌する。

クララは強烈で馴染みのない香りに目覚めた。小屋の階段を降りていくと、テーブルの上に赤いバラの入ったバスケットが置いてあった。まるで見えない手で置かれたかのような、みずみずしく生き生きとした香りだった。


彼女はゆっくりと近づいた。花々は息をしているようだった。花びらの一つ一つが柔らかな光を放ち、指先で触れると、ささやきが聞こえてきた。


思い出して…


部屋は反響で満たされた。それはただの言葉ではなく、宙に漂う記憶の断片だった。過去の訪問者の笑い声、かつて暖炉のそばで歌われた歌、宙に漂う約束。


半透明の蝶が花束の上を舞い、花びらに触れるたびに、光り輝くイメージが浮かび上がった。抱擁、別れ、共有された秘密。根の存在が身をかがめ、バラの上に葉を落とした。その瞬間、花束は閃光を放ち、小屋全体を照らした。


クララは目を閉じた。花束は歌い始めた。人間の声ではなく、愛情の合唱のように。バラの花束は一つ一つが特別な思い出であり、それらが合わさって空気を揺らす旋律を奏でていた。


「なぜこれを見せてくれるの?」クララは優しく尋ねた。


花束は合唱のように囁き返した。「思い出は枯れないから。誰かが丁寧に触れると、光へと変わるのよ。」


クララは微笑んだ。小屋には物だけでなく、時が来れば明らかになる生きた秘密も隠されているのだと、彼女は理解していた。赤いバラの花束は飾りではなく、集合的な記憶への架け橋だった。


部屋は最後にもう一度震え、バラはまるでその役割を終えたかのように、籠の中に静かに収まった。クララは沈黙を守った。花びらの一つ一つが、今も息づく物語の守護者であることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ