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生きた鏡

クララは小屋でアンティークの鏡を見つける。自分の姿を見つめると、そこにはただ映る自分の姿だけでなく、これまで抱いたことのない夢や、まだ決断していない決断も映し出される。鏡はまるで未来の可能性を秘めているかのように、クララと共に呼吸している。

静かな夜、クララは一度も開けたことのない部屋を探検した。中央には埃のベールに覆われた背の高い鏡が置かれていた。暗い木製の枠には、絡み合った根のような彫刻が施されていた。


クララは近づいた。鏡は誰かがこっそりと手入れをしていたかのように、清潔だった。覗き込むと、自分の顔は映らなかったが、呼吸のリズムに合わせて揺れる光が見えた。


「あなたは何者なの?」クララは優しく尋ねた。


鏡がかすかな音を立てた。クララは驚き、一歩後ずさりした。ガラスが呼吸しているのだ。そして、息をするたびに、様々なイメージが浮かび上がってきた。最初は夢だった。黄金色の蝶が舞う野原を、クララの名前を歌う声とともに歩く夢。そして、ある決断。森へと続く小道を選び、その背後には何もない小道が広がっている。


「あなたは、私が何者になれるかを見せてくれているの?」


鏡が優しく震えた。クララは手を伸ばしてガラスに触れた。そうするうちに、イメージは次第に鮮明になっていった。小屋に留まり、物や生き物たちの世話をする未来。そして、かつて聞いた響きを携えて遠くの村へと旅立つ未来。


部屋の花々は、まるで耳を澄ませているかのように、彼女に向かって頭を下げた。空気は合唱のようなささやきで満たされた。「夢は種、決断は道。」


クララは目を閉じた。鏡は彼女と共に呼吸し、一呼吸ごとに異なる光を映し出した。彼女は、まだ選択すべきではないことを理解した。鏡は答えを求めるのではなく、耳を傾けるように求めているのだ。


目を開けると、鏡は再び彼女の顔を映したが、輝きは違っていた。クララは感謝の気持ちを込めてその顔に触れた。彼女は、また鏡を見るだろうと分かっていた。決断するためではなく、まだ生まれていない未来に耳を傾けることを学ぶために。


部屋は静まり返ったが、今やその静寂は鏡の形をとった。

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