隠された泉の歌
クララが広場に着いた時、広場はほとんど人影がなかった。夜明けの光が家々の端をかすかに照らし、中央の噴水が動き始めていた。彼女を立ち止まらせたのは水の音ではなく、歌へと変わっていくようなささやき声だった。水の流れは、まるで古代の声のように、柔らかくも力強く絡み合っていた。
クララは近づき、耳を澄ませた。水は勢いよく流れ落ちるのではなく、まるで一滴一滴が目に見えない言葉を語りかけているかのように、リズミカルに流れていた。彼女は身をかがめ、尋ねた。
「今、何を歌っているの?」
ささやき声は次第に大きくなった。クララは、噴水が単なる装飾ではなく、記憶の守護者なのだと悟った。それぞれの流れには、生きた経験の断片、決して消えることのないこだまが宿っていた。
突然、小さな女の子が噴水のそばに現れた。彼女の瞳は澄んだ水面を映し出し、声はかろうじて聞き取れるほどのささやき声だった。
「噴水は誰も覚えていないことを歌っているの」と彼女は言った。「夜に消え去った声を宿しているのよ」
クララは驚きの目で彼女を見つめた。女の子が水に触れると、歌声はさらに力強くなった。クララは、水はただ流れるだけでなく、語りかけているのだと理解した。
空気は冷たくなったが、噴水は温かさを保っていた。クララは目を閉じ、広場に身を委ねた。一つ一つの歌声は心臓の鼓動のようで、ささやき声は心地よい存在のようだった。
涙が溢れた。それは悲しみの涙ではなく、憂鬱の涙だった。クララは、隠れた噴水の歌は空虚なものではなく、何かに根ざしているのだと悟った。
彼女は長い間広場に留まり、一つ一つの音、一つ一つの間を耳を澄ませた。時間が止まったように感じられた。クララは、水は単なる装飾ではなく、仲間であり、約束なのだと理解した。
彼女が広場を去っても、ささやき声は彼女の心に残り続けた。クララは深く息を吸い込み、歩き続けた。噴水は彼女の背後にあったが、その歌声は、決して消えることのないこだまのように、彼女の心の中で生き続けていた。




