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神算日露戦争  作者: いばらき良好
第5章
27/33

5の2 ロシア革命なる

 韓国には国家財政という観念がなく、王族や大臣が勝手にお金を使い、勝手に税を取り立てていた。そんな韓国へ日本は毎年五百万円(現二千億円)もの財政補填をして、懸命に破綻を防いでいた。

 しかし、韓国はロシアにさまざまな利権を売り渡してしまった。これが日露戦争の原因である。

 日本は韓国をそのままには放置できない。

 桂タフト協定および日英同盟、ポーツマス条約で、米英露から韓国保護を認められた日本は、元老の伊藤博文を「韓国保護全権」として派遣した。


 十一月十日に、伊藤と林権助駐韓公使は、韓国皇帝に明治天皇の親書を捧呈した。

 同時に韓国閣僚を参内させた。参政(首相)韓圭咼(咼のうえに卜がつく)、外相朴斉純、内相李址鎔、度支相(蔵相)閔泳綺、軍相李根沢、法相李夏栄、学相李完用、農相権重顕。

 そして御前会議が開かれたが、日本の韓国保護案は否決された。

「もちろん考えはある」

 日本のメンツを潰された伊藤は、韓国駐劄軍司令官の長谷川好道大将を参内させた。

「長谷川大将、王宮を封鎖せよ」

 日本軍による王宮封鎖は、皇帝軟禁に等しい。

 そして伊藤は、韓国の置かれた立場を文書にして述べた。言葉の違いから些事や言葉尻を取られたくなかったからであり、漢文は日韓の共通語である。


一、国家予算について、韓国は日本の支援無しで成立しないこと。

一、外交上、ロシアの言いなりだったのを日本が救ったこと。

一、戦争でなく、日本は平和的に条約を結びたいこと。


「韓参政、これを皇帝陛下にお届け下さい」

 老練な伊藤の威圧感に韓国側は恐怖した。

 皇帝は「李一族の身分保障」を要求した。

 伊藤は自ら筆を取って修正を行い、皇帝もしぶしぶ許可。

 韓参政は抗議を示して毒を飲み、自害して果てた。

 あとを継いだ朴外相が、伊藤全権とともに調印した。


――――――――――――――――――――

   朝鮮善後条約

一、大韓帝国初代皇帝高宗(李載晃)は皇太子純宗(李拓)に譲位する。

二、純宗は国号を伝統ある「朝鮮」に戻し、二十七代朝鮮王と称す。

三、王世子は七弟の英親王(李垠)とする。

四、朝鮮王から大日本帝国天皇に主権を移す。

五、朝鮮総督府を設立して指導・保護・管理を行う。

――――――――――――――――――――


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