あらすじ
現代の黒人医師ハンス・コハンは、満洲族の金志元らと中国大連にて民主革命を計画した。そこで迫害される少数民族や子供たちのために医療を行うのがハンスの使命だ。
しかし、一人だけタイムスリップしてしまう。
ハンス医師と出会った連合艦隊作戦参謀の秋山真之中佐と満洲軍総参謀長の児玉源太郎大将は、日露戦争を遂行する。難攻不落の二〇三高地を僅か四時間で落とした児玉は「神算」と称された。酷い頭痛に悩んでいた児玉はハンス医師の治療を受けた。
騎兵の秋山好古少将が守る黒溝台にロシア軍が攻めて来た。未来のAKM自動小銃二〇〇〇挺を与えられた秋山らは、マイナス二十度の夜間進撃を行い、敵将グリッペンベルク大将を討ち取った。左腕に弾丸を受けた秋山はハンス医師の治療を受けた。
劣勢となったロシア満洲軍総司令官のクロパトキン大将は、ハルビンまで後退したところで罷免され、残軍はリネウィッチ大将の下でウラジオストク(浦塩)に籠城する。
浦塩救援に向かうバルチック艦隊を日本の連合艦隊は未来タンカーのレーダーで探知し、三十時間で撃滅した。傷病兵たちは未来の薬で治療された。
小村寿太郎外務大臣は、講和全権として米国ポーツマス軍港にてロシア全権のウィッテと対峙し、有利な講和条件を引き出した。ストレスと腸チフスで倒れた小村はハンス医師の治療を受けた。
明石元二郎大佐の秘密工作でロシア革命が誘発され、ソビエト臨時政府が樹立した。
シベリアに逃れた皇帝ニコライ二世は、四弟のミハエル大公に譲位して、敵国だった日本に亡命した。ハンス医師は血友病のアレクセイ皇子を治療した。
明治天皇と先帝ニコライは、大津事件を経て十五年ぶりに握手を交わした。
ハンス医師がタンカーに乗ると再びタイムスリップしてしまった。現代へ戻ったハンス医師は世界が変わったことに気付く。そこは満洲国となって繁栄していた。過去世界で児玉将軍がハンス医師の志を継いで民主革命をやってくれたのだろう。
思い出されるのは一緒に戦った一年と五ヶ月である。




