《SET BREAK - 3》
「……起きねえな、狗上。このベッドけっこう硬いのにスヤスヤ寝てやがる」
「昨日、優姫ちゃん移動中もずっと寝てたのになぁ。なに、悠坊なんか知ってんの? もしかして眠れなかったんじゃなくて悠坊が寝かせなかったとか?」
「そんなことはねえと思うけどな……お互いに10時くらいには寝たはずだし」
「……………………」
「なんだよ、その目は」
「……ゆ、悠坊、お前……ウチが運転席で寝てる間に、後ろで何してやがった……?」
「特になにも? まあ、ちょっと外に出ていろいろとな」
「外ぉ!? お前いきなり外はやべーだろ!」
「……なんの話だ? 狗上から身の上話を少し聞いたくらいで、すぐに寝たんだけど」
「ふーん、あっそ」
「露骨に興味を無くすな! どんな勘違いしてやがった!?」
「それにしても優姫ちゃん、こうしてみるとめっちゃ美人だよなー。寝顔でもこんなに可愛いってなかなかねえぞ。赤ちゃんみたいにシーツひっつかんで丸まってるのもグッド」
「丸まって寝る人は寒がってるんだっけ? 昨日ってそんなに冷えたか?」
「いんや、ウチは掛け布団もなしにそのまま寝たけど全然問題なかった。ほれほれ」
「脈絡もなくタンクトップから横乳を見せるな。こっちはあと数時間後に試合なんだぞ」
「いつまでも、あるとおもうな、あねのちち」
「そもそもねえさんは姉じゃねえし、乳を俺の所有物にした覚えもねえよ!」
「……こんなに騒いでも、ビクともしねえんだなこの子」
「あのアラーム爆撃で起きないなら、そりゃ無敵だよな……」
「ふうむ……やっぱ優姫ちゃん、緊張してんのかな」
「……あー、なるほどな? たしかに、緊張して指先冷えたりする人いるもんな。そっか、だから丸まって寝てんのか」
「――なあ、悠坊」
「お?」
「お前がこの大会に引きずり込んだんだから、いろいろと責任とってやれよな?」
「……なんか引っかかる言い方だけど、ハナからそのつもりだよ。とりあえず、こいつの緊張ほぐすのは俺の仕事だ。ついでにこうして起こすのもな! おい狗上、起きろ。さすがに時間がヤバいって。着替えとかいろいろあるだろ、くじょ――痛ぇぇぇぇぇぇッ!?」
「おー、きれいな張り手。両国目指せるんじゃね?」




