永遠と暗い街の会長
来ていただき感謝したします!読んでいただけると有難いです。
ー暗闇の街中ー
暗闇の街。入口から見てもかなり暗いというのに
入ってみるともっと暗く感じる。
生川の予想だと、暗い原因が工場の排気ガスだとか言っていた。
暗い理由なんて会長も誰もわからないらしい。
まぁそんなことはどうでもいい。
一番気になるのはこの街、暗闇の街は地図に載っていないらしい。
暗闇の街で門番的な仕事をしていた生川によると
暗闇の街に越してくる人や警官以外の人を見たことがないらしい。
というか車すら警官の車以外が通るところを見たことがないみたいだ。
『まぁ、あたしが見逃してるだけかもしれんけどね。』
そう生川は云う。
それが真実かどうか俺にはよくわからないが。
まぁそんなこともどうでもいい。
早く会長に会ってみたい。
そんな事を思いながら生川に連れられていると、
2mはゆうに超えていそうな体格をした大男とぶつかった。
「いてて...」
『いてぇな...』
恐ろしく低い声でそう大男が云った。
『おいお前』
「はいぃ!?」
って生川。見てないで助けてくれよ。俺殺されちゃうよ?
そう涙目で視線を生川に向けると
まるで大丈夫だなんていうかの様にグッドサインをした。
あぁ。俺の人生これにておしまいって事かよ。
まだ俺反省しきれていないぞ?最悪だ。
『大丈夫か?そんな青ざめた顔をして』
「え?」
予想外だった。
『え?って、まさかお前俺に殺されるかと思っていたのか?』
「はい...」
『はっはっは!俺がそんな事するわけがないだろ!』
そうか。そういえばここのルールで人殺しは駄目なのか。
そもそも人殺しなんてしちゃあ駄目だわ
「すみません。勘違いしてしまって。」
『大丈夫だ!てかため口でいいぞ?生川とはため口で話しているんだろ?
この街ではため口が基本だ!覚ておけ!』
「よくわかったよ。それじゃあため口でいかせてもらうぜ。
俺は二之部友弘っていうんだ。よろしく」
『そうかそうか!俺は葛城 誠ってんだ。よろしく!』
そう大男は云った。体格と名前が一致しねぇなぁ...
『お前、これからゴトさんのとこに行って手続きしに行くんだろ?』
「ああ。そうだな。」
『よし。それじゃ行ってこい!』
そう葛城が云うとグーを出してきた。
「おう。」
俺もそれに応えてグーを出してグータッチをした。
それからしばらく、生川が
『かっつー見た目に反して結構人柄がいいんよねー』
かっつーって葛城の事か。
生川はなんて呼ばれてるのだろうか
「なぁ生川さん。ちょっと訊きたいことがあるんだけど。」
『なんだい?二之部さん。付き合ってくれっていう告白は断らせてもらうぜ。』
そんな事言うとしてもこんな時に言わねぇよ...
「生川さんは何て呼ばれているんだ?」
『あたし?あぁ。あたしはめぐって呼ばれてるねー』
「なんかあだ名をつけるときに法則性がありそうだな」
『おっ!よく気が付いたな!そうだ大正解だ。
男の場合は苗字からあだ名を作って、
女の場合は下の名前からあだ名がつくられているんだ。』
「へぇ。なんでなんだ?」
『いや知らん。なんか気が付いたらそんな感じになってたんだよね』
気が付いたらって...なんか自由だな。
『おっ!ついたぞ!ここがゴトさんが住んでいるビルだ!』
うん。正直な感想を言おう。
「ビル...?にしては小さくないか?なんか喫茶店あるし...
どっかの某探偵事務所かよ!?」
『ゴトさんによるとその某探偵事務所をモデルに建ててもらったらしいぞ!』
それって色々大丈夫なのかよ...
『それじゃ入るか!』
「よし!」
階段を上り、扉を開けた先には
『おう。よく来たな。』
暗闇の街会長後藤和義が座っていた。
そして顎に手を当てて指を組んでいた。
生川が
『ゴトさん。二之部さん連れてきたよ!』
「初めまして。二之部友弘という」
『ああ。よろしく。すでに生川から聞いていると思うが、後藤和義という。』
『そんじゃ、あたしの役割はこれにて終了ってわけだ。
じゃあね!にの!ゴトさん!』
『ああ。』
「にのって俺の事か?」
『そうだよ?あんた以外にいるのか?』
「まぁそうか。そんじゃあな。めぐ」
そう俺が言うと生川ははにかんだ笑顔で帰っていった。
「え~っと、住民登録はどうやってやるんだ?」
『この紙に色々書いてもらうだけでいい。』
え~っと、書くのは名前と、好きな食べ物だけ?
少なすぎだろ。小学生が書く自己紹介のあれかよ。
「なあ後藤さん。訊きたいことがあるんだけどいいか?」
『簡潔に話してもらえるとありがたい』
「わかった。なぁ後藤さん。後藤さんってどんな罪を犯したんだ?」
『俺は国家転覆をしようとして他国と手を組んだら捕まった。』
あ、思い出した。結構やばい事件だったはず。
「確か京都の清水寺を爆破したんだよな?」
『よく知ってるな。』
「知ってるどころか、
そのとき清水寺の近くにいて爆破音聞いたし、ニュースも見たからな」
どうりで名前に聞き覚えがあったのか。
「よし書けた。これでいいか?」
『ああ。これで良い。二之部。お前※バタースコッチパイが好きなんだな。』
「え?はい。母がよく作ってくれたもんで」
『そうか。実は俺も好きだ。』
なんか可愛いな
『そういえば、この街の事についてはもう生川から聞いてるな?』
「うん。大体はよくわかったよ」
『そうか。それは良かった。まぁわからんことがあれば遠慮なく聞いてくれ。』
「ありがとう」
『それに、この街の地図を渡しておく。』
「地図か」
『ああ。これから二之部には住む場所と働く場所を決めてもらう。』
「まぁ生きるためには必要だもんな」
『その地図に不動産や店が載っているから、自分で探して見つけるんだな。』
大変そうだなぁ
『ただ』
「ただ?」
『どうしても見つからないというなら俺に訊いてくれ。そこまで連れてってやる』
優しすぎでしょこの人。
国家転覆も人のためを思って行動したのかな。
「ありがとう。それじゃあ俺行ってくるわ」
『ああ。』
そう言って俺は会長のビルから出て行った。
※バターとキャラメル風味のフィリングをパイ生地で包んだお菓子
ここまで読んでいただきありがとうございます!何か指摘する部分があれば良ければ教えていただければ幸いです。