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「薄明ちゃん。どこ?」
目が覚めると布団の中に薄明はいなかった。
ねぼすけの薄明が白兎姫よりも早く目覚めることは今までに一度もなかったことだった。
白兎姫はなんだかとても不安な気持ちになった。
薄明がこのままどこかにいなくなってしまうような気がした。
家の外に出る降る雪は止んでいた。
山小屋の外に出ると世界は真っ白だった。太陽の光を浴びて、きらきらと真っ白な大地は輝きを放っている。
その雪の上には足跡があった。
その足跡を追いかけていくとその先に薄明はいた。
薄明を見つけると白兎姫はなにも言わずにそのまま薄明の小さな体に飛び込むようにして抱きついた。(そのあとで二人は美しい雪の中で、はしゃぎながら一緒に遊んだ)
この風景を見て君はなにを思う? 僕は君のことがすごく心配だよ。白兎姫。
清らかで冷たい真っ白な世界の中で楽しそうに笑っている白兎姫を見て薄明はそんなことを思った。
それから冬の季節が終わるまでの間、薄明はずっと白兎姫と一緒にいた。