97校時目 私と3年H組・第1章
それは八月に入って間もない頃……
「おーいイボ痔! 仕事入ったぞー」
いつものように私の所属する事務所「スモモもモモプロダクション」の社長兼マネージャー・内野乙人が仕事を取ってきました……つーか、
「私の名前はイボ痔じゃねーよ!」
仕事仲間じゃなかったら絶対殴っているわコイツ! 一応、食いっぱぐれしない程度に仕事取って来るから我慢しているけど……。
ただ仕事と言っても私の場合、活動範囲が「県内限定」なので自ずと活動内容は限られてしまいます。
東京みたいに地下アイドルが活動できるような場所もなく、知事が非常事態宣言を出すほど高齢化と若者の人口流出による過疎化が進むこの山梨……こんな僻地でできるアイドル活動といったら、地区のお祭りでお年寄り相手に歌うくらいです。
「で、仕事って……どこのお祭り?」
「おぅ、それがだな……高校の学園祭だ!」
――げっ!!
実は地区のお祭りの次に多い仕事が、地元の高校や大学の「学園祭」です。でも私は全国区になった「Φブレイク」の元メンバーとはいえ、まだグループがご当地アイドルだった時代……県外出身者の占める割合が多い大学だと「誰コイツ? 知らねー」と言われて終了です!
一方、高校だと知名度はあるものの、私と同世代のせいかとにかく連中は遠慮がなくてタチが悪いんです! トップシークレットのハズなのになぜか私がイボ痔だという情報を知っていて、コールの中に「イボ痔」「切れ痔」というワードが入っていたり、うちわに「痔を治して」とか書いてきやがる……マジでムカつく!
まぁ中には、釜無高校の「らぁてるちゃん」みたいなファンもいるけど……。
「高校かぁ、もうほとんど出尽くしたし……何かやだなぁ」
すると内野がとんでもないことを言ってきました。
「いや心配するな! 今回は県外の高校だぞ」
「えっ、ちょっと! 何で県外の仕事取って来るのよ!」
県外はマズいです! なぜなら県外だと車で長距離移動になってしまう! 長時間座っていると私のお尻の「アレ」が爆発する可能性があるんですよ!
「えっ、ダメか?」
「ダメでしょ! 私がΦブレイク卒業した理由知ってるクセに!」
「そっかー、じゃあ先方にキャンセルの連絡しなきゃな……えーっと、○○県の私立虻野丸女学園高等部、養護教諭の鳥居地先生っと……」
――!?
「ちょっと待て! 誰からだって!?」
「あぁ……確かオマエの従姉だっけ?」
「ニーナねーちゃんじゃねーか! それを先に言えバカ内野!!」
養護教諭の鳥居地先生こと鳥居地新名は私の従姉です! 小さい頃はよく遊んでくれてとても仲のいい……私の憧れのおねーちゃんなんです!
「えっ行くの?」
「行く行く行くっ!! 行くに決まっとろーがこのバカッ!」
ニーナねーちゃんからのオファーだったら、たとえケツがビッグバン起こしてでも行くに決まってるよぉっ!
「そっか……実は明日、その学校から学園祭実行委員の生徒さんが打ち合わせに来るんだけどな……オレはあいにく他の仕事が入ってるから萌海、悪いがオマエが相手してやってくれ!」
えっ、直接来るの? Ziimとかオンライン会議でも良くね?
つーかそこまで話進んでんじゃん!!
翌日、私は学園からやって来た……とってもカワイイ生徒さんと打ち合わせをしました。その話はジ回! お楽ジみにー!




