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廃工場にて  作者: Sigint
7/13

07

「……ゆるして、ごめんなさい」

 工場の奥のほうから、泣き声が聞こえてくる。

「ごめんなさい。ごめんなさい、ごめん、あっ、ああっ……」

 すべてをあきらめたような、大きなため息が漏れて、嗚咽がやんだ。

 と思うと、ばきっと木が割れるような破裂音がして、なにやらドロドロしたものが、暗がりのそとにまでとび散ってきた。

 壁にはりついた白い塊が、ずるずると垂れて、コンクリートの床の赤い粘液の中に落ちた。

 きれいなピンク色のなにかが、ひくひく動いて、その粘液に波をうっている。

 うっすら聞こえていた低い音が、少しずつ高まり、あたりの空気を震わせはじめた。

 誰かが、獣のようにうなって、ときどき喉を鳴らしている。

 コンクリートの床を、なにかがガリガリひっかいている。

 床の上の少年といっしょに、それらがこっちへ近づいてくる。

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