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廃工場にて  作者: Sigint
4/13

04

 急ごう。

 そういわんばかりに、光一がぐいと腕に力をこめたとき、暗がりから影がとびだしてきた。

 さっきの少女だ。

 セーラー服の女の子だ。

 はだけたスカーフをなびかせて、何度も何度もころびそうになりながら、少女はけっきょく這うようにして工場内を横切り、雑草の生いしげる正門のほうへと消えていった。

 あいかわらず、どすん、どすんと床が揺れている。

 コンクリートの床の上で、なにかが引きずりまわされている。

 あっけにとられ、立ちつくす三人のもとへ、暗がりから声が届いた。

「すいません、ごめんなさい、ゆるして」

 嗚咽を漏らしながら、誰かが必死にあやまっている。

「ごめんなさいっ、ほんとうにごめんなさいっ、ごめんなさい……」

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