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光一と啓介がうなずき、脚がすくんで動けない翔太をかかえるようにして立ちあがらせたとき、どこかでギーッと、古びた金属製の門扉があくような音がした。
「ふふふっ」
誰かが笑ったかと思うと、どすん、どすんとなにか巨大なものを落としたような音がし、まだらに汚れた床が揺れ、少女の悲鳴がそれにつづいた。
「やだっ! いやだっ!」
狂ったように叫んでいる。
コンクリートの床の上で、なにかが引きずりまわされている。
暗がりだ。
すべては、そこから聞こえてくる。
少年たちと少女が入っていった工場の奥のほうで、なにかが起きている。